「親にどういう仕事をしているのかってうまく説明ができないんですよね」 通常国会の開会を目前にした1月。1人の「トンビ」が遠い目をしてつぶやいた。 スーツに身を包み、メモ帳片手に国会内を飛び回る。彼らは記者ではない。 各省庁に所属する官僚で、国会で日々情報戦を繰り広げている。 (金澤志江) 至上命令は“法案を会期内に成立させること” 防衛増税や少子化対策について議論が交わされる代表質問を控えたこの日。国会内のとある部屋の前にその姿があった。 議員だけによる話し合いやマスコミ向けの会見で部屋の中に入ることができない場合、扉の近くに立ち、外に漏れ伝わる内容を聞きながら忙しくメモを取る。 必死なのは彼らが各省庁にあげる情報が法案の可決・成立に向けた重要な役割を果たすからだ。 国会に提出された法案はすべてが成立するわけではない。法案そのものに不備があったり、スキャンダルが明るみに出たりして審議が進ま