特集「「心」とは何か」では、「心」という概念が何を意味するのか、そしてその意義について、心理学を中心に「心」を扱う諸学問それぞれの立場から考えます。 今回は、分析形而上学、精神医学の哲学がご専門の後藤真理子先生に、精神疾患とは何かというテーマでご執筆いただきました。 後編はこちら! はじめに──良い土地に家を建てた方がいい気がするどうも皆さん初めまして。哲学研究者の後藤と申します。このコラムのテーマは見て分かるとおり、「精神疾患とは何か」です。「何って言われても、……病気としか言いようなくない?」という感じになる問いですね。どう考えて、どう答えればよいのか分からないと面食らう人もいるかもしれません。 といっても、精神疾患それ自体は私たちにとって意外と身近な存在です。というのも、日本人の精神疾患生涯有病率は22.9%という統計データがあるからです[1]。このデータに則るならば、私が(まあ場所