本研究では、新型コロナウイルス(COVID-19) 危機が、日本の労働市場にもたらす多面的変化、特にさまざまな属性(性別・教育水準・雇用形態・産業・職業)の労働者に対して与える影響を分析する。 はじめに、2017年就業構造基本調査を用いて、COVID-19危機の影響を受けやすい労働者の属性を特定する。その上で、感染拡大初期の消費支出データ(JCB 消費Now)を用いて、異なる属性の労働者に対してのCOVID-19危機による影響の差異を考察する。 分析の結果、COVID-19危機は低所得者層により大きな打撃を与え、労働市場における格差拡大につながる可能性の高いことが鮮明となった。 -今回のCOVID-19危機は、過去の経済危機とは異なり、人との接触を伴うサービス業などの産業で、在宅勤務が困難な職業に従事する労働者への影響が、大きいと考えられる -そのような最も危機に脆弱なタイプの仕事に就いて