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内田樹の検索結果201 - 240 件 / 636件

  • 日本学術会議問題について - 内田樹の研究室

    神奈川新聞のインタビューで日本学術会議問題についてコメントをしたものを再録。 日本学術会議の新会員任命拒否に対して、多くの学会が次々と抗議の声を上げ、政府と学術団体の対立は収束する気配がありません。 菅政権はなぜ発足早々にこのような政治的緊急性のない事案に手を出したのか。なぜ学術団体からの激しい反発を予測できなかったのか。単に「政治センスが悪い」というのも一つの解ですが、それよりは主観的には合理的な行動のつもりだったと考えたほうが引き出せる知見は多いと思います。 菅政権が最優先する政治課題は「統治コストの最少化」です。どうやって統治コストを最少化するか。前政権の官房長官として首相が学んだのは、反対派の異論をすべて黙殺して、国民の間に政治に対する諦めと無力感を蔓延させるという手でした。 安全保障関連法案でも、特定秘密保護法案でも、国民の過半数が「採決を急ぐべきではない」と意思表示する中、前政

    • 2019-nCoVについてのメモとリンク(中澤港)

      リンク集目次 国内外の状況 政府機関・国際機関等 学術情報 疫学論文 分子生物学/ウイルス学論文 臨床論文 インフォデミック関係 ワクチン関係 変異株関係 時系列メモ目次 新型コロナウイルス(2020年1月6日,11日) インペリグループによる患者数推定(2020年1月18日) 患者数急増,西浦さんたちの論文(2020年1月20日,23日) WHOはPHEIC宣言せず(2020年1月23-24日) 絶対リスクと相対リスク(2020年1月26日) 研究ラッシュが起こるかも(2020年1月27日) なぜ新感染症でなく指定感染症なのか? なぜ厚労省令でなく閣議決定なのか?(2020年1月27日) コロナウイルスに対する個人防御(2020年1月27日) 国内ヒト=ヒト感染発生(2020年1月28日) フォローアップセンター設置,緊急避難等(2020年1月29日) PHEICの宣言(2020年1月3

      • 【炎上】京都精華大・白井聡、安倍総理辞任会見に涙したユーミンに「早く死んだほうがいい」と暴言 : モナニュース

        2020年08月31日18:05 【炎上】京都精華大・白井聡、安倍総理辞任会見に涙したユーミンに「早く死んだほうがいい」と暴言 カテゴリネットウォッチコラム・話題 Comment( 180 ) 転載元:http://hayabusa3.2ch.sc/test/read.cgi/news/1598853264/ 1:2020/08/31(月) 14:54:24芸能界にもアベノショック…松任谷由実、会見見て「泣いちゃった。切なくて」 https://news.line.me/issue/oa-sanspocom/ta7bxwovm1er ↓ 白井 聡 1日前 荒井由実のまま夭折すべきだったね。本当に、醜態をさらすより、早く死んだほうがいいと思いますよ。 ご本人の名誉のために。 https://www.facebook.com/satoshi.shirai.18/posts/4268478399

          【炎上】京都精華大・白井聡、安倍総理辞任会見に涙したユーミンに「早く死んだほうがいい」と暴言 : モナニュース
        • 「夜もすがら 物思ふ頃は 明けやらで」 俊恵法師 鴨長明の師でもあった - 安心感の研究 by 暖淡堂

          百人一首第85番目の歌の作者は俊恵法師しゅんえほうしです。 東大寺の僧にして、歌人でもありました。 今回は俊恵法師について紹介します。 俊恵法師とは 生年は1113年、没年は1191年。 父は源俊頼(百人一首74番の歌人)です。 dantandho.hatenadiary.com 出家後、白河にあった自房を歌林苑と名付け、そこで盛んに歌会や歌合を行いました。 また俊恵法師は鴨長明の師としても知られています。 sirdaizine.com 俊恵法師が自らの歌林苑で歌合を行っていた頃は、次第に平家の権勢が頂点を極めていった時期。 時代の大きな変わり目を生きながら、歌道を極めていったということでしょう。 百人一首に選ばれている歌は、女性の視点で書かれたものですね。 歌道に打ち込んだ達人による一首。 時代背景 鴨長明の名前が出てきました。 「方丈記」の作者ですね。 この「方丈記」で書かれている時代

            「夜もすがら 物思ふ頃は 明けやらで」 俊恵法師 鴨長明の師でもあった - 安心感の研究 by 暖淡堂
          • 大阪万博は中止すべきだ - 内田樹の研究室

            大阪・関西万博のための政府支出の「全体像」を政府が示した。インフラ整備費に8390億円、会場建設費などの直接経費に1647億円(会場建設費783億円、日本館関連360億円、途上国支援240億円、警備費199億円、万博の機運醸成38億円、誘致費用27億円など)。この他、間接的インフラ整備費約9兆円、各府省の事業費3.4兆円が示された。正気の沙汰とは思われない。 半年だけ開催される「お祭り」に10兆を超える公金が投じられる。万博の経済波及効果は当初は6兆円超と言われていたが、だんだん縮んで2兆円になり、それも言われなくなった。その一方で、桁外れの税金がこの「高い可能性で失敗が予測されているイベント」に注ぎ込まれている。繰り返し言うが、正気の沙汰とは思われない。 だいたい「機運醸成38億円」とは何か。その費目の存在そのものが開催まで500日を切ったがまったく機運が盛り上がらない現実をはしなくも露

            • 『武道的思考』韓国語版序文 - 内田樹の研究室

              みなさん、こんにちは。内田樹です。 これは『武道的思考』という僕の書き物の韓国語版です。原著は2010年に出たので、これは15年前の本ということになります。 さいわい、武道についての原理的な知見を記したものですから、時事性や速報性とは無縁です。それくらいの時間のせいで「時代遅れ」になるということはありません。 僕の考える「武道的思考」というのは東洋に固有の考え方です。ですから、日本だけでなく、韓国でも中国でも、たぶんベトナムやタイにも、このような人間の捉え方は(多少の地域的な違いを伴いつつ)、それぞれの文化の深層に確実に伏流していると思います。ですから、韓国の方でもお読みになれば、「なんとなく、わかる」ということがあると思います。 ただ、韓国ではたぶんそれを「武道的思考」というようなかたちで提示する人はこれまでいなかったのだと思います(韓国の武道界のことは僕はよく知らないのですが、僕のこの

              • 「統一地方選」 維新と黒岩祐治の“性情”不安【適菜収】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

                維新の快進撃と黒岩祐治の下品メール騒動で終わった統一地方選前半戦。哀しみを通り越して笑うしかない状況だが、これが現実である。日本をダメにしたのは誰なのか? 維新や黒岩の増長を許す社会の空気とはなにか? 近著『日本をダメにした新B層の研究』で、売国政治屋・マスコミをのさばらせた近代大衆社会の末路を鋭く分析した適菜収氏の「だから何度も言ったのに」連載第37回。 大阪府知事・吉村洋文 ■維新という絶望的に古い集団 第20回統一地方選の前半戦となる9道府県知事選と6政令市長選、41道府県議選、17政令市議選が9日に投開票された。選挙戦では維新の吉村洋文が「昔の古い政治の時代に戻すのはまっぴらゴメン。大阪を強くしたい」と発言。嘘、デマ、プロパガンダを流し、大衆を誘導。古い政治、20世紀の悪夢を繰り返しているのが、維新の会であり、吉村洋文である。各地の街頭演説では、昔の大阪市は大赤字でそれを立て直した

                • 天皇の政治へのコミットが、2010年代になぜ突如として期待されたのか 佐々木俊尚の未来地図レポート vol.675|佐々木俊尚

                  特集 天皇の政治へのコミットが、2010年代になぜ突如として期待されたのか 〜〜「20世紀の神話」は今こそ終わらせるとき(第6回) 天皇崇拝というと、復古主義的な右翼の考えだというのが以前は一般的でした。象徴天皇ではなく、戦前のように日本の君主として戴く。明治憲法の「大日本帝國ハ萬世一系ノ天皇之ヲ統治ス」「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」への復古です。 ところが、最近はそういう復古主義がまったく別のところから現れてきていて、驚かされます。たとえば東京オリンピックの直前、立憲民主党の川内博史衆院議員が、こうツイートしてニュースになりました。 川内さんはその日のうちにこのツイートを削除し、西日本新聞に「陛下を政治利用するつもりは一切なく、利用できる立場でもない。誤解されたくないので、削除して撤回した」と説明していますが、こういう「天皇の発言に期待する」「天皇を忖度する」という姿勢は今になって始ま

                    天皇の政治へのコミットが、2010年代になぜ突如として期待されたのか 佐々木俊尚の未来地図レポート vol.675|佐々木俊尚
                  • 格差について - 内田樹の研究室

                    階層格差が拡大している。所得格差の指標として用いられるジニ係数は格差が全くない状態を0、一人が全所得を独占している状態を1とするが、日本のジニ係数は1981年が0.35、2021年は0.56と上がり続けている。この趨勢はこの先も止まらないだろう。「一億総中流」と呼ばれた国の面影はもうない。 日本における格差拡大の要因は何か。それは雇用形態の変化である。かつては終身雇用・年功序列という雇用の仕組みが日本のどの企業でも支配的だった。 もうその時代を記憶している人の方が少数派になってしまっただろうが、あれはずいぶんと気楽なものだった。植木等の「ドント節」(作詞青島幸男)は「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ」というインパクトのあるフレーズから始まる。もちろん誇張されてはいるが、それなりの実感の裏付けはあった。 60年代はじめのサラリーマンの日常を活写した小津安二郎の映画では、サラリーマンたちは

                    • 【内田樹氏に聞く(上)】 五輪中止で電通倒産との内部情報(ニュースソクラ) - Yahoo!ニュース

                      仏文学者で作家の内田樹氏に、「コロナ後の社会」を聞いた。東京一極集中や教育の在り方、オリンピックの開催の行方と電通、政治・経済等の動向に至るまで“内田節”で、ざっくばらんに語った。コロナ禍の現在とその後の社会は、現在とは一変せざるを得ないのではないかという。(聞き手は角田裕育) ▼オリンピックはどうなる? ーーオリンピックは来年出来るのでしょうか? 内田 アメリカ国内の感染が収まらなければ、選手団が来ない。アメリカが参加しないオリンピックをNBCが放映する意味がないので、アメリカは五輪中止を求めてくるんじゃないですか。ヨーロッパの国も、ブラジルも、インドも年内の選手選考は無理でしょう。日本政府と組織委が開催にこだわっているのは、止めたら電通が潰れるからじゃないですか。 ーー復興五輪ということで石原慎太郎都知事(当時)が、東日本大震災直後に提案したと記憶していますが。 内田 復興に充てるはず

                        【内田樹氏に聞く(上)】 五輪中止で電通倒産との内部情報(ニュースソクラ) - Yahoo!ニュース
                      • ハラスメントについて - 内田樹の研究室

                        早稲田大学の大学院で指導教授からハラスメントを受けて、当該教授と大学当局を訴えていた深沢レナさんから裁判闘争への支援を求められて、一文を寄稿した。もうだいぶ前のことで、去年の7月に書いたものである。その裁判が先日地裁判決が下って、元教授と大学当局に罰金刑が課された。控訴するつもりはなさそうなのでこれで裁判は終わるのだろうと思う。でも、これは金を払って頭を下げれば済むという話ではない。もっと奥の深い話である。 教育の場におけるハラスメントはまことに扱いの難しいものである。というのは師弟関係というのは対等の市民と市民がとりむすぶ「社会契約」ではないからである。そこにはある種の絶対的な非対称性がある。それが師弟関係の生命線なのである。そのことを理解していないと、師弟関係で起きるハラスメントの本質はわからない。 繰り返すが、師弟関係は社会契約ではない。教わる側が「これこれの代価を払うので、これこれ

                        • 文化資本議論の推移

                          文化資本。 この言葉はフランスのピエールという社会学者が提唱した概念らしいが、 最近のネットinJAPAN feat.はてなでは 「東京は文化資本が豊富だと自慢する東京人の傲慢さ」 「地方にも素晴らしい文化資本があり、東京と差がないどころか優位性がある」 みたいな話がよく上がってくるのを見かける。 けど、この話ってちょっと前までは「地方民が東京との文化資本格差を嘆く」って構図だったはずでは…? そう思って試しにはてブでざっと検索してみた。 日本で文化資本の研究が盛んになったのは90年代頃からのようだが、 2010年代以前には内田樹がブログで使ってるのがよくヒットするものの、まだ一般に広まってるワードとは言えなかったようだ。 また、この頃はあくまで単語として出てくるだけでそれ自体をテーマとしているわけではなく、都市部と地方の地域間格差などについても特に触れられてはいない。 そこから2010年

                            文化資本議論の推移
                          • 安倍夫妻なぞと癒着のユーミン音楽を、なぜ反骨の宮崎駿は採用するか?差し替え、まったなし? - INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

                            ……安倍夫妻と親交が深いシンガー・ソングライター、松任谷由実(66)はニッポン放送「松任谷由実のオールナイトニッポンGOLD」で、「テレビでちょうど(会見を)見ていて泣いちゃった。切なくて」と思いを吐露。安倍氏とは「私の中ではプライベートでは同じ価値観を共有できる、同い年だし、ロマンの在り方が同じ」と明かし、「辞任されたから言えるけど、ご夫妻は仲良しです。もっと自由にご飯に行ったりできるかな」などとねぎらった。 www.sanspo.com さて自分はユーミンの曲……って、思えば数曲ぐらいしか知らないっちゃ知らないんだけど、それでもとにかく、アベ夫妻と親交があるのである。 怒りの声が、多数寄せられている。 記事を読んで愕然とした。この約8年間、安倍首相のやってきた何を見て、ユーミンは「(安倍首相と)同じ価値観、ロマンが同じ」と言うのか。切り取られた言葉なので分からないけど、沢山の罪を犯して

                              安倍夫妻なぞと癒着のユーミン音楽を、なぜ反骨の宮崎駿は採用するか?差し替え、まったなし? - INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-
                            • だから「生ぬるい追及」しかできない…朝日新聞が認めない「統一教会側との談合」という信じがたい過去(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース

                              世界平和統一家庭連合(旧統一教会)日本本部(=2022年7月20日、東京都渋谷区) - 写真=時事通信フォト ■いつもの社説も生ぬるい 朝日新聞が統一教会に怯えている。 そんな“風評”が飛び交うのには理由がある。 【写真】朝日新聞東京本社ビル 7月8日、安倍晋三元首相暗殺事件が起きて、山上徹也容疑者の動機が宗教団体への恨みであると警察情報が伝えられると、ネットではすぐにその宗教団体が「統一教会」だと指摘された。 他のメディアも次々に報じ始めたのに、朝日新聞の紙面に統一教会が登場するのは7月12日付である。 ようやく社説で取り上げたのが7月22日。「旧統一教会 政治との関わり解明を」が掲載されるが、 「選挙活動の組織的支援や政策への介入など、教団と政界の関係は種々取りざたされる。岸信介元首相以来の付き合いといわれる自民をはじめ、各党・各議員は自ら調査し、結果を国民に明らかにする必要がある。

                                だから「生ぬるい追及」しかできない…朝日新聞が認めない「統一教会側との談合」という信じがたい過去(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース
                              • リチャード・ワイズマン博士 著『運のいい人の法則』より。運も実力のうち? それとも、実力も運のうち? - 田舎教師ときどき都会教師

                                運がいい人のキャリアを大きく左右するのは、ビジネス界だけの話ではない。一九七九年に映画監督のジョージ・ミラーは、新作『マッドマックス』の主役にふさわしい俳優を探していた。戦いに疲れて傷ついた、しかしタフな男が理想だった。オーディション前日の夜、メル・ギブゾンという無名のオーストラリア人俳優が、通りで三人の酔っ払いに襲われた。顔をはらし、疲れきったようすでオーディションに現われたギブゾンを見た瞬間、ミラーは彼を主役に決めた。 (リチャード・ワイズマン博士『運のいい人の法則』矢羽野薫 訳、角川文庫、2011) こんにちは。96年に公開された、キャメロン・クロウ監督の『ザ・エージェント』に「This Is gonna be a great day.」という台詞が出てきます。字幕はたしか、 素晴らしい1日にしよう。 台詞の主はトム・クルーズだったでしょうか。あるいはレネー・ゼルウィガーだったでしょ

                                  リチャード・ワイズマン博士 著『運のいい人の法則』より。運も実力のうち? それとも、実力も運のうち? - 田舎教師ときどき都会教師
                                • 2021.8・13 『日本の覚醒のために』 - カメキチの目

                                  久しぶりに内田樹さんの本を読んだ。 『日本の覚醒のために 内田樹講演集』という。 「覚醒」という言葉は使いたくなかったが、現在の日本、とくに政治と (それを支える)メディアの「劣化」にはガマンならないのであえて使ったという ----- 私が内田さんに傾倒するのは、この人の考えかた、発想が、そのものごとにとって もっともたいせつにしなければならないことは何か?と気づかされることだ。 ものごとの「本質」みたいなものに目を向けることのたいせつさ。 (内田さんは達人級の合気道の先生でもあり、養老さんが解剖を専門の仕事とされ「身体」からの 発想をだいじにされるのとよく似ている) 本からの話題、①アメリカの言いなり、②寺を見なおす、③コミュニケーション ④呪いの四つにしぼり、次回から書きます。その前に、 前に読んだ本『内田樹による内田樹』(多くの著作のうち自選した数冊を紹介) のなかの『先生は偉い』で

                                    2021.8・13 『日本の覚醒のために』 - カメキチの目
                                  • 「教授とは社会を見るまなざし、文化を見るまなざしでつながることができた」後藤正文が語る、社会に生きる人間としての自分と坂本龍一 | TURN

                                    「教授とは社会を見るまなざし、文化を見るまなざしでつながることができた」 後藤正文が語る、社会に生きる人間としての自分と坂本龍一 後藤正文が初めて本名名義でのアルバム『Recent Report I』を発表した。ASIAN KUNG-FU GENERATIONでもGotchでもなく、ただ、後藤正文として。だが、その作品を耳にすれば、これを何も纏わない自身の名前で制作する必要があったことに気づくだろう。そのくらいプライヴェートなアルバムであり、現代に生きる個人の想いがそのまま音に反映された作品だ。 ここには歌もなければメロディもない。リズムやビートもない。一般的な概念としてのポップス、ロック的な形式やスタイルもない。自らフィールド・レコーディングを重ねて収集した音のカケラを取り込みながらスタジオに籠ってたった一人で制作したという今作は、強いて言えば、いわゆるドローン作品、あるいはアンビエント

                                      「教授とは社会を見るまなざし、文化を見るまなざしでつながることができた」後藤正文が語る、社会に生きる人間としての自分と坂本龍一 | TURN
                                    • 2020.4.28 レヴィナス - カメキチの目

                                      カメキチの目 内田樹さんはしばらく前までは大学の教師で、 世界(とくにフランス)の思想・哲学の専門家。 内田さんは、レヴィナスという哲学者を(学問の上だけで なく人生の)恩師として尊敬し、慕っておられる。 私は「レヴィナス」という名前自体が初耳だった。 だから、著作にはよくレヴィナスが出てくる。 (『内田樹による内田樹』にも当然でてきた。最後はレヴィナスについての2冊) レヴィナスは難解と言われているらしいのですが、内田さんはまったくの初心者で あっても納得がいくよう、わかりやすく述べておられます。 (読者にわかりやすい書き方をとても意識して書いておられる気がする) 読者がわからないと本を書く意味がないと、暗におっしゃっているかのようだ。 私は、文学、絵画、彫刻、工芸、音楽、映像などの芸術は感覚、感性で感じるもの だから理解できる・理解できないというレベルのものではないと思う。 が、芸術で

                                        2020.4.28 レヴィナス - カメキチの目
                                      • 資産防衛のために寝当直医が読んだ本 その163 - 寝当直医の資産防衛

                                        街場の現代思想 内田 樹さん著 街場の現代思想 (文春文庫) [ 内田 樹 ] 人生の良きメンターである Marshal 先生からご紹介いただいた本です。 文化資本に気づき、子供に身に着けさせたいと奮闘しているMarskoinがモヤモヤ悩んでいる時に教えていただきました。 「プチブル」を自覚し 今の自分の立ち位置やふるまい方、教育の仕方 次世代により強固に固定化されるだろう階層のなるべく上に位置できるよう いろいろな気づきをくれる本です。 文化資本を自然に身に着け文化資本を意識していない階層 文化資本に気づきそれを意識しもがいている階層 文化資本が見えていない(興味の対象や身の周りにない)階層 文化資本に気づいてしまった人には超お薦めの1冊です! とても面白く役に立ちます!! あ 文化資本のことだけではなく いろいろと書いてあって面白いですよ。 P157 結婚とはごくたまに愉しいこともある

                                          資産防衛のために寝当直医が読んだ本 その163 - 寝当直医の資産防衛
                                        • 日本は帝国の属領から脱却できるか? - 内田樹の研究室

                                          『月刊日本』5月号は「ウクライナ後の世界」を特集した。そこにロングインタビューが載ったので、転載しておく。 ―― ウクライナ戦争は世界の在り方を変えました。しかし何がどう変ったのかは、まだよく分かりません。内田さんはこの戦争で世界はどう変わると思いますか。 内田 ウクライナ戦争は「国民国家の底力」を明らかにしたと思います。冷戦後、国民国家はその歴史的役割を終えて、ゆっくり消滅していくと考えられていました。経済のグローバル化によって国民国家は基礎的政治単位であることを止めて、世界は再びいくつかの帝国に分割されるようになる。S・ハンチントンの『文明の衝突』(1996年)はいずれ世界が七つか八つの文明圏に分割されるという見通しを語ったものですが、多くの知識人がそれに同意しました。 ウクライナ戦争は「ウクライナはロシア帝国の属領であるべきか、単立の国民国家であるべきか」という本質的な問いをめぐるも

                                          • 農を語る 後編 - 内田樹の研究室

                                            地方を見捨てるようになった日本人 内田 かつての自民党の支持基盤は農村部でしたけれども、農村部は衰退しているから政治的な発言力がどんどんなくなっています。そうすると、地方にいい顔をしなくてもいいということになりますよね。能登半島地震にしても、元の姿に復興する気がありませんし。 藤井 農業の議論とも全く同じだと思いますが、二〇一一年の東日本大震災のときにも棄民的な発言が結構ありました。「東北なんて田舎だから放っておけばええやん」と経産省の役人が言っていて、それが大問題になって懲戒処分になりましたよね。当時は復興しないといけないという気持ちがあったわけですが、それから十三年経った今は平然と「あそこは田舎だから復興しなくていい。カネも無尽蔵にあるわけではないのだから復興するところとしないところを分けよう」という議論がなされています。そこで、僕はそんなことを政治家が言っているのはおかしいという記事

                                            • 朴先生からのご質問「原理主義について」 - 内田樹の研究室

                                              さてここで第二番目の質問です。 マルクス主義あるいはフェミニズムへの盲信と、内田先生のレヴィナス信奉との根本的差異をお聞きしたいと思います。いや、私にはなんとなくわかるんですが、内田先生はレヴィナスへの「帰依」、批判者への「筆誅」という言葉をお使いになるので、韓国読者に対しては、そのへんをクリアしていただければと思います。 二番目の質問にお答えします。朴先生はもう「なんとなくわかる」とお書きになっていますけれど、その通りです。僕の答えはいつもと同じです。僕がある種のマルクス主義者やある種のフェミニストに対して異議を申し立てしているのは、その「原理主義的」な姿勢が不適切だと思うからです。 マルクス主義もフェミニズムもすぐれた思想であり、それまではっきりとは意識化されてこなかったさまざまな社会的な不正や非道を前景化して、社会を「より住みやすいもの」にしたことについては多大な功績があります。僕は

                                              • 病と癒しの物語  『鬼滅の刃』の構造分析 - 内田樹の研究室

                                                Twitterにも書いたけれど、ある大学から入試問題に使ったので、過去問集に採録したいという連絡があった。いったい何を使ったんだろうと思って見たら「週刊金曜日」に寄稿した『鬼滅の刃』論だった。ずいぶんとレアなアイテムを探し出して作問したものである。2020年12月に書いたものなので、何を書いたかすっかり忘れていたので、HDをサルベージして探し出して読んでみたら結構面白かったのでブログに再録。 マンガについて書くのは久しぶりである。数年前に集英社が『ONE PIECE strong words』という本を出すことになり、そのときにONE PIECE論を書いたのが最後。尾田栄一郎さんの『ONE PIECE』は世界累計発行部数4億7千万部という桁外れのヒット作品であったので、版元から「どうしてそんなに売れるのか」について理由を考えて欲しいと言われて書いた。不思議な注文である。たぶん「ただすごく売

                                                • 台湾海峡の危機 - 内田樹の研究室

                                                  山形新聞に毎月連載しているコラムの4月寄稿分(2021年4月13日) 台湾海峡の緊張が高まっている。4月7日に12機の戦闘機を含む15機の中国機が台湾の防空識別圏に侵入した。米海軍の駆逐艦が台湾海峡を通過したことへの反応と見られる。中国政府は「米国が台湾海峡の平和と安定を危険にさらしている」とコメントし、これを承けて台湾の外交部長(外相)は中国による台湾侵攻の危機が高まっているという米軍の見解を紹介した上で「そうした事態になれば台湾は最後まで戦う」と述べた。台湾海峡の緊張はかなりシリアスなレベルに達してきた。 中国の台湾への軍事侵攻はあり得るのか? 米国の外交・軍事専門家の間ではしだいに「あり得る」という意見が増えている。 先月号の『フォーリン・アフェアーズ・レポート』の巻頭論文は中国は2027年までに軍の近代化を終え、台湾をめぐるアメリカとの紛争で「想定できるあらゆるシナリオで中国が支配

                                                  • マイケル・サンデル 著『実力も運のうち』より。能力主義は正義ではない。 - 田舎教師ときどき都会教師

                                                    GDPの規模と配分のみを関心事とする政治経済理論は、労働の尊厳をむしばみ、市民生活を貧しくする。ロバート・F・ケネディはそれを理解していた。「仲間意識、コミュニティ、愛国心の共有 ―― われわれの文明のこうした本質的価値は、ただ一緒に財を買い、消費することから生まれるのではありません」。その価値観を生むのはむしろ「十分な給料が支払われる尊厳ある職です。働く人が『自分はこの国をつくるのに手を貸した。この国の公共の冒険的大事業に参加した』と、コミュニティや、家族や、国や、それに何よりも自分自身に向かって言えるような職なのです。 そのように語る政治家は、いまではほとんどいない。ロバート・F・ケネディ以降何十年も、進歩派の大半はコミュニティや愛国心や労働の尊厳をうたう政治を放棄し、代わりに出世のレトリックを駆使してきた。 (マイケル・サンデル『実力も運のうち』ハヤカワ文庫、2023) おはようござ

                                                      マイケル・サンデル 著『実力も運のうち』より。能力主義は正義ではない。 - 田舎教師ときどき都会教師
                                                    • 「兵庫県知事選挙に関する迅速かつ厳正なる捜査を求める請願署名」に一筆した - しいたげられた🍄しいたけ

                                                      他県のことは他県民が決めることとはいえ、兵庫県知事選その後をめぐる動きが気になって、ずっとそれなりにウオッチしている。 現知事に対しては、個人的に思うところあれどひとまず措く。知事選のキープレイヤーの一人に、「こいつだけは、どうしても許せない」と思わずにいられない人物がいる。ほんらい私以上に兵庫県政とは無関係であるはずなのに、支持者を巻き込んでしゃしゃり出て、人死にの原因を作ったとまで言われている。 この人物に関する記事を集めたら 一昨日付け拙過去記事 のトランプ氏の記事以上に集まりそうだが、それをやっていたら1日や2日は軽くかかってしまう。後述の理由により手早くエントリーを上げたいので、今は1件だけ関連記事のブログカードを貼る。よく言われることだが、かつ個人的には意外なことであるが、くだんの騒動に関しては産経新聞があんがい詳しく報道してくれている。 www.sankei.com 以上は前

                                                        「兵庫県知事選挙に関する迅速かつ厳正なる捜査を求める請願署名」に一筆した - しいたげられた🍄しいたけ
                                                      • 「虎の威を借りる狐」の話~なぜ「党派性」が強い人は断言的口調で語り意見を絶対に修正できないのか~ - 頭の上にミカンをのせる

                                                        もう100億回は書かれていることだと思いますが「自分の頭で調べたり考えたりしない人ほど、断定的な物言いをする」という傾向がどんどん強くなっていきました。 2014年段階で「自分で思考しないでただ人の言ったことを通過させるだけのBOT人間」という存在は周知の存在となっており「はてな村奇譚」でも語られていました。 はてな村奇譚上 作者:小島アジコAmazon 最近はさらに悪化しており、内田樹が「虎の威を借りる狐の意見」として表現したよりおぞましいものの影響が強くなってきているように思います。「虎の威を借りる狐」たちが、そのお手軽さゆえに発言量の多さによって「虎」を駆逐するようになってきている気もします。 というわけで、古い本ですが「日本辺境論」を振り返ってみましょう。 日本辺境論 (新潮新書) 作者:内田 樹新潮社Amazonこの本が出たタイミングが内田樹が輝いていた最後の時期だったなあと思い

                                                          「虎の威を借りる狐」の話~なぜ「党派性」が強い人は断言的口調で語り意見を絶対に修正できないのか~ - 頭の上にミカンをのせる
                                                        • 内田樹氏×中田考氏。アメリカの撤退とタリバンの復権、アフガニスタン情勢にみる中国の影響力。台湾情勢はどうなる? - 政治・国際 - ニュース

                                                          週プレNEWS TOPニュース政治・国際内田樹氏×中田考氏。アメリカの撤退とタリバンの復権、アフガニスタン情勢にみる中国の影響力。台湾情勢はどうなる? イスラーム法学者・中田考氏(左)と、思想家の内田樹氏(右) 2021年8月、アフガニスタン情勢が急展開した。アフガニスタンに駐留する米軍・NATO(北大西洋条約機構)軍が同国から撤退を始めると、首都カブールがあっけなくタリバンの手に落ちた。あわてる欧米諸国をよそに、タリバンへの支援声明をいち早く出したのが中国だ。 アフガン情勢はこの後、どんな展開を見せるのか。そしてタリバン政権に接近する中国の意図とは──。9月17日に集英社新書『中国共産党帝国とウイグル』(橋爪大三郎・中田考)を上梓したイスラーム法学者・中田考氏と、思想家・内田樹氏が対論。 ■誰も予想できなかったカブール陥落 内田 こんなに早くアフガニスタンが落ちるとは、誰も予想できません

                                                            内田樹氏×中田考氏。アメリカの撤退とタリバンの復権、アフガニスタン情勢にみる中国の影響力。台湾情勢はどうなる? - 政治・国際 - ニュース
                                                          • 小田嶋隆さんのとあるツイートにドン引きしてしまった…… - 頭の上にミカンをのせる

                                                            この件についてのはてブコメントの酷さの裏付けみたいなツイートを見かけた。 バカな発言をたしなめた相手に被害者ヅラをされた場合、そのまま黙っていると加害者認定されてしまう。 ここは、「違うぞ」と強く言い張っておかねばならない。 私が加害をしているのではない。 君が自分のバカな発言の報いを受けているという、それだけの話だ。 そこのところを間違えてはいけない。— 小田嶋隆 (@tako_ashi) December 26, 2020 ちょっとこれはうげーってなるわ…。 多分だけど、今でもはてブコメントで4℃の彼女を叩いてる人、完全にこの意識なんだろうな。 つまり、自分のツイートの加害性を完全に否認してる。はてブ民はそういうとこだぞほんまに。 小田嶋隆さん自体は結構好きなんですが ブログのアーカイブを見てもらえればわかっていただけると思うが、私は小田嶋隆さんの文章がかなり好きな方である。 今まで何

                                                              小田嶋隆さんのとあるツイートにドン引きしてしまった…… - 頭の上にミカンをのせる
                                                            • 自民内で癒着議員と癒着なし議員で対立へ(ニュースソクラ) - Yahoo!ニュース

                                                              安倍元首相銃撃事件について、内田樹氏に聞いた。内田氏は「犯人に同情する余地はない」としながらも、統一教会が深く権力に食い込み、様々な圧力を加えて来たことを問題視すると同時に、統一教会に関与した議員がいる野党の弱腰などを痛烈に批判し、今後の裁判や政局を予想した。(聞き手は角田裕育) ― 安倍首相と統一教会の関係がクローズアップされていますが、内田さんは旧統一教会とのかかわりはありましたか? 内田 統一教会と勝共連合の名を知ったのは1970年代はじめです。でも、名前だけで実体は知りませんでした。学部の頃は新左翼の時代ですから、原理研の活動する余地なんかありませんでした。 院生になった頃にはじめて「原理」という名前を学生たちの口から聞くようになりました。勝共連合が60~70年代の全世界的なベトナム反戦運動や、学生運動・市民運動・労働運動、革新自治体の広がりといった「左傾」に対抗するために日韓の極

                                                                自民内で癒着議員と癒着なし議員で対立へ(ニュースソクラ) - Yahoo!ニュース
                                                              • 公共と時間について - 内田樹の研究室

                                                                大阪市を廃止することの可否を問う住民投票が近づいてきた。議論のほとんどが「コスト」をめぐっている。しかし、行政システムの改変に際して経済合理性だけを基準にしてものを決めるのはとても危険なことである。それについて考察した部分を『日本習合論』から引用する。 今の日本と、僕が育った頃の日本を比較して、最も違ったのは、ものごとの価値や、あるいは言動の適否を考量するときの時間の長さだと思います。ある行き方を選択をした場合、それが適切だったかどうかを「いつ」の時点で判断できるか。その適否判断までのタイムラグは歴史的環境によってずいぶん変化します。でも、これほど時間意識が伸縮するものだと知りませんでした。 今はものごとの理非や適否を判定するまでのタイムラグが非常に短くなっています。せいぜい一年あるいは四半期、場合によってはもっと短い。そこで決着がついてしまう。ある政策決定を下した場合に、それが適切だった

                                                                • 斎藤幸平 著『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』より。環境問題も労働問題も教育問題も、システムの問題。 - 田舎教師ときどき都会教師

                                                                  うちに閉じこもらずに、他者に出会うことが、「想像力欠乏症」を治すための方法である。だから、現場に行かなければならない。現場で他者と出会い、自らの問題に向き合って「学び捨てる」ことが、新しい人々とのつながりを生み、新しい価値観を作り出すことにつながる。その小さな変化が誰もがもう少し生きやすい社会を作ることにつながっていく。それって素晴らしいし、実際やってみると楽しいこともたくさんある。だとしたら、やるしかない。 (斎藤幸平『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』KADOKAWA、2022) こんにちは。学校に閉じこもらずに、他者に出会うことが、「想像力欠乏症」を治すための方法であると、私もそう思っているし、おそらくは授業力向上にもつながるので、先週、東京は品川区の中延にある隣町珈琲まで足を運んで、内田樹さんと斎藤幸平さんの対談「移行期を生き延びる思想」を聞いてきました。ちなみ

                                                                    斎藤幸平 著『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』より。環境問題も労働問題も教育問題も、システムの問題。 - 田舎教師ときどき都会教師
                                                                  • 特集ワイド:この国はどこへ これだけは言いたい 言論への信頼、取り戻せ 思想家・内田樹さん 71歳 | 毎日新聞

                                                                    事件が社会を映す鏡であるならば、あの凄惨(せいさん)な事件から考えるべきことは何なのだろう。安倍晋三元首相が凶弾に倒れてから1週間がたち、いわば情報の洪水によって伝わってくる話も多いが、私の頭の中の霧が晴れることはない。現代社会を自在に読み解いてきた思想家、内田樹さん(71)が語る言葉を聞きたくなった。 神戸市で武道と哲学のための塾「凱風館」を主宰している内田さんとは、東京にある別宅でお会いした。内田さん、ちょっと寝不足気味の様子ながら「暴力が事件化する時は、言論の力が弱っている時だと思うんです」と、いきなり鋭く切り込んできた。銃撃事件の構図や背景が次第に明らかになっていく中で、内田さんは情報を集め、考え続けているのだという。

                                                                      特集ワイド:この国はどこへ これだけは言いたい 言論への信頼、取り戻せ 思想家・内田樹さん 71歳 | 毎日新聞
                                                                    • 受験についてのインタビュー - 内田樹の研究室

                                                                      ある教育雑誌から受験についてのインタビューを受けたので、採録。 ――今の教育や受験制度についてどう思われますか。 内田 受験は、同学齢集団内部で「誰でもができること」を「他の人よりうまくできる」競争です。でも、「競争」と「学び」は違うものです。そして、僕が経験に言えるのは、相対的な優劣をどれほど激しく競わせても、それによって集団全体の知的なパフォーマンスが向上することはないということです。競争を強いると個人的には力を伸ばす人もいますが、集団全体としては弱くなる。 僕がかかわっていたフランス文学研究の世界でも、就職が難しくなってきてから、受験同様、研究者の間で優劣を競うようになりました。限られた教員の専任ポストを巡っての競争ですから、当然厳密な査定が必要になります。そして、精度の高い査定をするためには、「研究者ができるだけ多い分野」で「他の人より優れた業績」を上げることが求められます。当然で

                                                                      • アメリカと中国のこれから『月刊日本』ロングインタビュー - 内田樹の研究室

                                                                        ― アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席がそれぞれ新体制をスタートさせ、米中覇権争いは新たな局面に突入しました。 内田 世界のこれからについては三つのシナリオがあります。「アメリカ一人勝ち」と「米中二極論」と「多極化・カオス化」の三つです。ここ数年は「米中二国が覇権を競う」という二極論が支配的でしたけれど、僕は「多極化しつつ、米中の競争ではアメリカ優位」というシナリオが現実的ではないかと思っています。アメリカが抱えている最大の問題は「国民の分断」ですけれど、これについてはアメリカに過去にいくども分断を克服した「成功体験」がある。この点で言えば、危機に対する「レジリエンス」(復元力)は中国よりアメリカのほうが強いように見えます。 アメリカは建国以来「自由」と「平等」という二つの統治原理の葛藤に苦しんできました。自由と平等はもともと相性が悪い。「水と油」の関係です。個人が最大限の自由

                                                                        • 米国のパンデミックが収束しない理由、内田樹と岩田健太郎が指摘

                                                                          朝日新聞出版が運営するニュースサイト。 from AERAdot. 『週刊朝日』や『AERA』を発行する朝日新聞出版のwebサイト「AERAdot.」とのコラボレーション連載。 バックナンバー一覧 コロナ・パンデミックは、「医療は商品である」という原理の無効性を可視化させた。そう語るのは、思想家の内田樹さんと医師の岩田健太郎さんだ。二人の対談が収められた『コロナと生きる』(朝日新書)から、なぜアメリカのパンデミックは収束しないのか、その背景について紹介する。 *  *  * コロナが晒した新自由主義の限界 内田:医療費の増加は、ここ20年ぐらい日本が抱える財政上の最大の問題とされてきました。国家財政を逼迫させているのは医療費である、だから医療費削減を達成することが焦眉の課題なんだと、政府も経済評論家も口を揃えて言い続けてきた。その結果、病床数を減らし、保健所を減らし、医薬品や医療器材の備蓄

                                                                            米国のパンデミックが収束しない理由、内田樹と岩田健太郎が指摘
                                                                          • 東京五輪の中止を求める署名キャンペーン、再び始まる-内野日誌

                                                                            ▽あまりアクセスしていないフェイスブックのタイムラインを眺めていると、誰かが東京五輪中止の署名を求めるキャンペーンをシェアしていた。前にもこのブログで宇都宮健児さんが立ち上げたキャンペーンは取り上げたのだけど、中間報告と要望書はIOC、IPC、東京都に提出されている。100万筆くらい集めていれば何か影響を与えていたかもしれないけれど、残念ながら中止にはなっていない。署名はまだ続いていて現在43万筆ほど。中止を求める声はもっと多いはずなのだけど、なかなかもどかしいものだ。更なる賛同者を集めるためのシェアかと思ったら、どうやらまた別のキャンペーンが立ち上がっているらしい。 呼びかけ人として上野千鶴子さんや内田樹さんなど著名な方々が名を連ねている。まだ始まったばかりであるし、既に宇都宮健児さんのキャンペーンがあるので、どのくらい数字を伸ばすのかは分からないけど、大きなうねりになることを期待したい

                                                                              東京五輪の中止を求める署名キャンペーン、再び始まる-内野日誌
                                                                            • 危機の危機 - 内田樹の研究室

                                                                              『新潮45』という雑誌が以前存在した。ある時期から極右的な論調に変わって、質の悪い記事を掲載するようになってそのうち廃刊になった。まだまともな雑誌だった頃にはよく長いものを書かせてくれた。これもその中の一つ。2012年の2月に書いたので、もう10年前になる。朴東燮先生が「読みたい」と言うのでHDの筐底を探して見つけ出した。10年経ってもリーダブルなような気がしたので、再録する。 先日、哲学者の鷲田清一先生と「3・11後の日本の危機的状況」について対談する機会がありました。僕がホスト役で、鷲田先生から話を聞き出すという趣向の会でしたので、冒頭で僕が「われわれは今、ポスト・グローバリズムの世界という、前代未聞の歴史的状況に投じられています。さて、これから、いったいどうやって、この危機を生き抜くべきなのでしょうか?」というようなよくある定型的な問題提起を不用意に口にしてしまいました。すると、鷲田

                                                                              • 無意味耐性の高い人たち - 内田樹の研究室

                                                                                8月6日の広島での平和記念式典で、菅首相がスピーチの一部を読み違えたことが報道された。「原爆」を「原発」、「広島」を「ひろまし」と読むなど7カ所で首相は読み違えをした。だが、問題は核廃絶に向けた日本の立場を示す約120字を読み飛ばしたことである。 そこには「わが国は、核兵器の非人道性をどの国よりもよく理解する唯一の戦争被爆国」「『核兵器のない世界』の実現に向けた努力を着実に積み重ねていくことが重要」などの文言が含まれていた。そこを読み飛ばしたせいで、首相のスピーチは「日本は非核三原則を堅持しつつ、核兵器のない、核軍縮の進め方を巡っては各国の立場に隔たりがあります」という意味不明のものになった。原稿が糊でくっついてはがれず、一枚飛ばしてしまっただけで、「完全に事務方のミス」というのが政府の言い訳である。 なるほど、そうなのか。だが、私たちがここから知れるのは、首相がこのスピーチの草稿に事前に

                                                                                • 「自粛警察」の心理は関東大震災時の自警団のそれに近い - 読む・考える・書く

                                                                                  「自粛警察」の異常行動が頻発 一部の暴力的な人間が攻撃性を抑制できなくなっている? いわゆる「正義の暴走」なのか? 「官許の暴力」を振るう自粛警察は関東大震災時の自警団に似ている 「自粛警察」の異常行動が頻発 コロナ問題によるイライラが募るなかで、「自粛ポリス」とか「自粛警察」と呼ばれる人たちの異常行動が頻発している。 www.sankeibiz.jp 「うるさい。こっちはコロナでイライラしているんだ」。休校中の4月、友人数人で公園内のグラウンドでサッカーをしていた東京都内の男子高校生(16)は、高齢の男性から注意を受けた。その数日後には、「サッカーをやっている人がいる」と通報があり警察官が駆けつけた。 その場には男子高校生ら以外に人はおらず、大声も出していなかった。「やめろと強制はできないが、注意をしてくださいといわれた」と警察官。「サッカーをしていただけで通報されるなんて、監視されてい

                                                                                    「自粛警察」の心理は関東大震災時の自警団のそれに近い - 読む・考える・書く