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内田樹の検索結果241 - 280 件 / 330件

  • 「憲法には究極の理想を盛り込めばいいのだ」という発想は、むしろ『立憲主義』から遠い、という話〜5月3日に寄せて - INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

    続いて信濃毎日に「憲法記念日によせて」760字。憲法と現実は「乖離していて当然」という話を書きました。「憲法は空語である。空語で何が悪い」という話です。なんとか宣言というのはすべて空語です。人権宣言も独立宣言もシュールレアリスム宣言も未来派宣言も、すべて空語です。— 内田樹 (@levinassien) May 2, 2023 ※以下、内田氏の連ツイで続いています。クリックすれば読めます。一応、この記事も後ろにつけておこうかな… 「憲法は理想を宣言するものだから現実とは乖離していて当然で、憲法の条文を変える必要はない」というのは、一つの立場としてはありですが、それは「立憲主義」とは全く違う別な何かでしょう。 (今の条文を維持するという意味では「護憲主義」の一種かも知れませんが)https://t.co/LslR7C3dDo— Shin Hori (@ShinHori1) May 2, 20

      「憲法には究極の理想を盛り込めばいいのだ」という発想は、むしろ『立憲主義』から遠い、という話〜5月3日に寄せて - INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-
    • 外交について - 内田樹の研究室

      尖閣列島近海での巡視船と中国漁船の衝突事件をめぐって、日中の外交関係が緊張している。 外交関係の要諦は「自国の国益を守る」という目標をできるかぎり遠く、広い射程でとらえることである。 日本の場合の「国益」と中国の場合の「国益」理解は深度も射程もずいぶん違う。 そのことを勘案せずに、「同じようなことを考えている」二国が綱の引き合いをしていると考えると、外交交渉は行き詰まる。 日本と中国はこの問題についていくつか「違うこと」を考えている。 それは、言い換えると中国の「国益」と日本の「国益」がゼロサム的な関係ではないレベルが存在するということである。 そこに指をかけて、こじあけるしか外交上のデッドロックを解決する方途はない。 日本と中国の国情の最大の違いは、中国の統治形態が日本に比べるときわめて不安定だということである。 『街場の中国論』にも書いたことだが、中国の為政者は外交上の失敗によって、「

      • 内田樹の研究室: 「下流生活者」たち

        2024 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 2023 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5月 - mai 6月 - juin 7月 - juillet 8月 - août 9月 - septembre 10月 - octobre 11月 - novembre 12月 - décembre 2022 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5月 - mai 6月 - juin 7月 - juillet 8月 - août 9月 - septembre 10月 - octobre 11月 - novembre 12月 - décembre 2021 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5

        • 大飯原発再稼働について - 内田樹の研究室

          野田首相が大飯原発の再稼働に向かう決意表明を行った。 首相は記者会見で「原発を止めたままでは、日本の社会は立ちゆかない。原発は重要な電源だ」とし、「国民の生活を守るため再稼働すべきだというのが私の判断だ」と断言した。 その根拠として、首相は政府が一年以上かけて安全対策を講じたことを挙げて、「原発の安全性は実質的に確保された」とした。 首相が「国民の生活」と言うのは、長期的には電力料金の値上がりによるコストの上昇、それによる製造業の国際競争力の劣化、それによる生産拠点の海外移転、それによる産業の空洞化、それによる雇用の喪失というスパイラルのことであり、短期的には「突発的な停電が起これば、命の危険にさらされる人もいる」という生命リスクのことである。 橋下徹大阪市長も、再稼働反対を撤回した根拠として、「病院はどうなるのか、高齢者の熱中症対策はできるのか。そう考えると、原発事故の危険性より、目の前

          • 国民国家とグローバル資本主義について - 内田樹の研究室

            ある通信社から、選挙結果について、新政権がどのような方向をとるかについてコメントを求められた。 それについてこんなことを書いた。 大づかみに言うと、いま日本を含めて地球上のすべての人々は「国民国家とグローバル資本主義の利益相反」という前代未聞の状況を前にしている。 国民国家というのは、別に太古から存在したものではない。1648年のウェストファリア条約で基礎づけられた近代の統治システムである。 常備軍と官僚制を備え、領域内の人々は「国籍」というものを持ち、その領域に排他的に帰属しているという意識を持つ(それ以前、例えばカール五世はネーデルランドで生まれて、スペイン王で、神聖ローマ皇帝で、パリに住んでいた)。 国民国家が標準的な政治単位になってそろそろ400年である。賞味期限が切れかけてきたらしく、20世紀末になって脱領域国家的なグローバル資本主義が登場してきた。 ボーダーレスに人・モノ・資本

            • カジノについて - 内田樹の研究室

              朝日新聞にカジノ法案についての意見を聴かれましたので、こんなことをお話ししました。 2014年10月21日の朝刊に掲載されたものです。 「実は、身内にかなりのギャンブル依存症がいます。優れたビジネスマンですし、他の面ではいたってノーマルな人物なのですが、ことギャンブルとなると熱くなる。若いころは給料日に競馬場へ行って1日でボーナスをすってしまうというようなこともありました。海外出張の時はカジノに通っていました。なぜそんなふうにお金を無駄に使うのか聞いたことがあります。これで負けたら全財産を失うという時のヒリヒリする感じが『たまらない』のだということでした」 ――依存症は青少年や地域社会、治安への悪影響と並んで反対派、慎重派が最も懸念する点です。やはりカジノはやめたほうがいい、と。 「僕は別に賭博をやめろというような青臭いことは言いません。ただ、なぜ人は賭博に時に破滅的にまで淫するのか、その

              • 「父」からの離脱の方位 - 内田樹の研究室

                『1Q84』は記録的な売れ行きらしい。 今の段階で、発売一週間で96万部。 ミリオンを超えることは確実で、『ノルウェイの森』の450万部という記録を塗り替えるかもしれない。 おそらくメディアはこれから、この本の文学作品としての意味より、なぜこれがこれほどの社会的な「事件」を引き起こしたのかの方に多くの紙数を割くようになるだろう。 メディアが『1Q84』を「事件」として扱い、膨大な非文学的言説が行き交うようになる前の短い空白の間に、この作品についてまだ誰の感想も聞いていないイノセントな状態で、自分ひとりの感想を書き付けておきたい。 ムラカミ・ワールドは「コスモロジカルに邪悪なもの」の侵入を「センチネル」(歩哨)の役を任じる主人公たちがチームを組んで食い止めるという神話的な話型を持っている。 『羊をめぐる冒険』、『ダンス・ダンス・ダンス』、『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』、『アフ

                • ガラパゴス化の症状としてのグローバリズムについて - 内田樹の研究室

                  広島学院の文化祭で、中高生1000人ほどをお相手に講演。 文化祭のキックオフイベントである。 高校生を講堂に集めての講演は何度か経験があるが、中学生ははじめて。 でも、関係ない。 子供たちは「彼らの知性に対する敬意」が示される限り、その限界まで理解力を押し上げてくる、というのは私の揺るがぬ確信である。 「子供にもわかるように話す」人間の話を聴いているうちに知性的、情緒的な成熟が果たされるということはない。 一期一会。1000人の少年たちが私の話を70分間静かに聴いて下さるというのである。 このチャンスを逃すことはできない。 君らの理解力を限界まで高めないと「ついてこられない」話をしようではないか。 というわけで、まず国際関係における「移行期的混乱」についてお話しする。 来年のアメリカ大統領選挙の見通しについて、中国の産業空洞化について、EUの瓦解の可能性について、プーチンの資源外交と北方領

                  • ナマケモノでいいじゃないですか - 内田樹の研究室

                    ようやく授業が終わる。 今日から冬休みである。 なんとか生きて冬休みを迎えることができたことをとりあえず言祝ぎたい。 しかし、この二ヶ月実によく働いたものである。 『日本辺境論』を出したせいで、販促活動がばたばたと重なり、たいへんな日程になってしまった。 それも一段落。 辺境ネタでは養老先生と二回対談した(『新潮45』と『AERA』) どちらもたいへん面白かった。 昨日は『サンデー毎日』の取材。 雑誌の4頁を使って本の宣伝をしてくれるというありがたい企画である。 いろいろなメディアからの取材を受けたり、書評を読んで感じるのは「日本人よ、がんばれ」という叱咤激励型の言説に日本人自身がもううんざりしているということである。 叱咤激励的であるという点では右翼も左翼も変わらない。 「今の日本はダメだ」という点では進歩的反動的、老いも若いも、みな口調が揃っている。 「いいじゃん、もう、これで」という

                    • ノーベル文学賞の日 - 内田樹の研究室

                      今日はいよいよノーベル文学賞の発表である。 村上春樹氏ははたして今年ノーベル文学賞を受賞するであろうか。 物理学賞、化学賞と立て続けに日本人受賞者が輩出しているので、今年は「日本イヤー」になるかも知れない。 というわけで、新聞社から「村上春樹ノーベル文学賞受賞のコメント」の予定稿を求められる。 今回は S 新聞、K 新聞、Y 新聞の3紙から求められた。 S 新聞には過去2回書いているので「三度目の正直」。 私のような門外漢に依頼がくるのは、批評家たちの多くがこの件についてのコメントをいやがるからである。 加藤典洋さんのように、これまで村上文学の世界性について長期的に考えてきた批評家以外は、村上春樹を組織的に無視してきたことの説明が立たないから、書きようがないのである。 だが、説明がつかないから黙っているというのでは批評家の筋目が通るまい。 批評家というのは「説明できないこと」にひきつけられ

                      • 『内田樹&名越康文の辺境ラジオ』で語られたAKBとEXILE論がものすごく的確だった。

                        どうも鳥井(@hirofumi21)です。 以前もご紹介したことのある、『内田樹&名越康文の 辺境ラジオ』という不定期のラジオ番組が、昨年末も放送されました。 MBSラジオ1179ポッドキャスト | 内田樹&名越康文の 辺境ラジオ【2013年12月29日 放送分】 今回もまた紹介せずにはいられない内容盛りだくさんで、特に今のAKBやEXILEを観て感じる違和感について、ものすごく的確な言葉で表していたので、皆さんにもぜひご紹介しておこうと思います。 ちなみに、以前『辺境ラジオ』について書いた記事はこちら。 本当にオススメのPodcast番組!【学び編】 ルーティンの生活が自分の世界を変える。 海外を旅しているかの様に感じてしまう大阪という街の違和感とは。 反知性主義・反教養主義の象徴がAKBとEXILEの量産である。 話題は、後半の「日本の教育システム」に及んだ時です。 今の日本の教育行政

                          『内田樹&名越康文の辺境ラジオ』で語られたAKBとEXILE論がものすごく的確だった。
                        • 厭味なインタビュイー - 内田樹の研究室

                          取材が続く。 火曜日が講談社の Grazia、水曜がリクルートの受験雑誌、木曜が朝日新聞。 取材のお題はそれぞれ「30代女性の生き方」「親は受験生をどう育てるべきか」「モンスター・ペアレンツ」 まことにさまざまである。 どのメディアに対しても基本的には同じことをお答えする。 「そういうことはあまり問題にしないほうがいいですよ」である。 これらの問いはいずれも「人間の生き方」「育児戦略」「公民としてのあり方」については「あるべきかたち」が存在し、「あるべきかたち」ではないことがさまざまな不幸を生み出しているという論理形式を前提している。 このような信憑を刷り込まれることで一部の人間は向上心を掻き立てられるが、ほとんどの人(「向上心はなくはないが、行動が伴わない」タイプの人たち)はあまり幸福にはならない。 そういう人たちの前に「成功事例」をニンジンのようにぶら下げてもあまり「いいこと」はない。

                          • 国旗問題再論 - 内田樹の研究室

                            卒業式での君が代斉唱時の不起立を理由に、東京都教委が定年後の再雇用を拒否したのは「思想や良心の自由」を保障した憲法に違反するとして都に賠償を求めていた訴訟について、30日最高裁判決が下った。 「校長の教職員に対する起立斉唱命令は合憲」とする判断を下し、原告の上告を棄却した。 判決は「起立斉唱行為は卒業式などの式典での慣例上の儀礼的な性質を有し、個人の歴史観や世界観を否定するものではない」とした。 しかし、起立斉唱行為は教員の日常業務には含まれず、かつ「思想と良心に間接的制約となる面がある」と留保を加え、「命令の目的や内容、制約の様態を総合的に考慮し、必要性と合理性があるかどうかで判断すべき」との判断基準を示した。 今回の判決では、公務員は職務命令に従うべき地位にあるということを根拠に、「間接的制約が許される必要性や合理性がある」と判断して、教委による処分を違憲とした東京地裁判決を取り消した

                            • 内田樹教授の寄稿「壊れゆく日本という国」について一言 - Tsugami Toshiya's Blog

                              十分に推敲できていませんが、これはちょっと一言言わせてもらいたい。 本5月8日付けの朝日新聞オピニオン欄に神戸女学院大学の内田樹名誉教授が「(寄稿 政治を話そう)壊れゆく日本という国」と題する寄稿をしている。内田氏の文章は嫌いではないが、この寄稿についてだけは、一言言いたい。 グローバリゼーションへの評価が一方的すぎる 貿易や投資の障壁を多角的に削減する自由貿易の取り組みが世界経済を成長させてきたことは事実である。その障壁の除去、冷戦の終結に伴う国際貿易投資参加国の拡大、製造業、輸送、通信、金融面の技術革新などがグローバリゼーションの現象を生んだ。そのおかげで、世界中の途上国で何億人もが貧困や病気、無就学といった悲惨から解放されている「正の側面」はいっさい評価されないのだろうか? 或いは、内田氏はグローバリゼーションというより、その根底にある自由貿易や市場経済原理を信じられないのかもしれな

                              • 資本主義末期の国民国家のかたち - 内田樹の研究室

                                ●資本主義末期の国民国家のかたち ご紹介いただきました内田でございます。肩書、ごらんのとおり、凱風館館長という誰も知らないような任意団体の名前の長を名乗っておりますので、こんなきちんとした学術的な集まりに呼ばれると、いたたまれない気持ちになります。 私は、基本的に全ての問題に関して素人でございまして、ですから、おまえのしゃべることには厳密性がないとか、エビデンスがないとか言われても、それはそうだよとしか言いようがありません。ただ、素人には素人の強みがありまして、何を言っても学内的な、学会内部的なバッシングを受けることはない、いくら言ったって素人なんだからいいじゃないかで全部済ませられる。 大学の教師というのは誤答を恐れる傾向がありまして、大風呂敷を広げることについては強い抑制が働く。私はその点で抑制のない人間でございまして、ほんとうは私のような野放図な人間がもう少しいたほうが、世の中、風通

                                • 川内原発再稼働について - 内田樹の研究室

                                  13日の朝日新聞に掲載された「川内原発再稼働について」の寄稿のロングヴァージョンです(紙面では行数が少し減りました)。 九州電力川内原発の再稼働に同意した鹿児島県の伊藤祐一郎知事は7日の記者会見で自信ありげに再稼働の必要性を論じていました。 私は「事態は『3・11』以前より悪くなってしまった」と感じました。 原発で万が一の事故があれば、電力会社も国の原理力行政も根底から崩れてしまう。「福島以前」には原子力を推進している当の政府と電力会社の側にもそのような一抹の「おびえ」がありました。でも、東京電力福島第一原発の事故は、その「おびえ」が不要だったということを彼らに教えました。 これまでのところ、原発事故について関係者の誰ひとり刑事責任を問われていません。事故処理に要する天文学的コストは一民間企業が負担するには大きすぎるという理由で税金でまかなわれている。政府と東電が事故がもたらした損失や健康

                                  • 不便さと教育 - 内田樹の研究室

                                    丸善が出している『學鐙』という雑誌に教育論を寄稿した。 一般の方にはあまり手に取るチャンスのない媒体なので、ここに採録しておく。 不便さと教育 というタイトルを頂いて原稿を書くことになった。たぶん「教育と効率」の背馳について論じて欲しいというのが編集部の趣旨であろうと思うので、それについて書くことにする(違ったらごめんなさい)。 教育と効率は本質的になじまない。というのは、効率というのは、「単位時間内の仕事量」を以て考量するものであるが、教育がそのアウトカムを計測するときの時間の幅は原理的に「その人が死ぬまで」というもので、「単位時間」を切り出すことができないからである。 もちろん、無理をすれば単位時間を切り出して(「1時間以内の」とか「一学期以内の」とか「卒業時までの」とか)教育のアウトカムを考量することもできないことではない。 けれども、そこではじき出された数値は、教育を受ける本人にと

                                    • 404 Blog Not Found:This one works! - 書評 - 3語で9割通じる英会話

                                      2008年02月17日23:00 カテゴリ書評/画評/品評Logos This one works! - 書評 - 3語で9割通じる英会話 Can't agree more -- though my reason is different. 3語で9割通じる英会話 デイビッド・セイン 小学生に英語を必修させる必要があるのか? (内田樹の研究室) 文科省は学習指導要領を改訂し、小学校五年六年から英語を必修化することを決めた。 愚かなことである。 But if you can't beat them and decide to join them, this book is for you -- and your kids. 本書、「3語で9割通じる英会話」は、文字通り、やたら使える--そして使う--3文字フレーズをぎっしり収録した一冊。 目次 はじめに "初対面"がラクになるとっさの一言 も

                                        404 Blog Not Found:This one works! - 書評 - 3語で9割通じる英会話
                                      • 知識についての知識について - 内田樹の研究室

                                        毎日新聞の次は『新潮45』。 総合雑誌の廃刊休刊相次ぐ中で苦戦中の『新潮45』も12月号からリニューアルするそうである。 野木正英さんが編集部に参加する。 野木さんは旧友故・竹信悦夫と高橋源一郎さんと灘の同期である。 このトライアングルがどんな過激で愉快な中学高校時代を過ごしていたのかについては源ちゃんと私の対談(『ワインコイン悦楽堂』)に詳しい。 そういうご縁があるので、竹信への供養もかねて、リニューアル『新潮45』に一臂の力を仮すことにしたのである。 野木さん、編集長の宮本さん、三重さん、そしていつもの足立さんが御影においでになる。 インタビューのお題は「呪いのコミュニケーション」。 話頭は転々で何を話したのかよく覚えていないのだけれど、その中で「知識がある」ということが今ほど無意味になった時代はないということを話した。 20年ほど前の学会では、学会発表のあとの質疑応答で「重箱の隅をつ

                                        • シンギュラリティと羌族の覚醒 - 内田樹の研究室

                                          安田登さんをお招きして、ご高著『あわいの時代の「論語」』刊行記念3時間セミナー(ほぼしゃべりっぱなし)というイベントを凱風館で開いた。 頭の中に手を入れて引っ掻き回されるようなわくわくする経験だった。 備忘のために、すごく興奮した話題を一つだけ書き止めておく。 それはsingularityはAIが人類史上初めてではなく、3回目という話。 一度目は数万年前に頭蓋骨が巨大化したとき、二度目は文字が発明されたとき。 その時、安田さんから周りの人たちと「文字が発明されたときに、文字がなかった時代と何が変わったのか?」相談してみてくださいと言われて、隣に座っていた光嶋くん、神吉君、浅野パパと3分間ほどブレーンストーミングをした。 文字の出現というのは脳内に記憶しておくべきことを外部記憶装置に転写することができるようになったわけだから、脳内の「デスクトップ」が広く使えるようになったというのがとりあえず

                                          • 「国民生活」という語の意味について - 内田樹の研究室

                                            野田首相の大飯原発再稼働について国民に理解を求める声明が発表され、それについての評価を東京新聞から求められた。 声明の全文を読まないとわからないので、全文のpdfファイルを送って貰って読んだ。 驚嘆すべき文章であった。 このようなものを一国の国論を二分しているマターについて、首相が国民を「説得」するために語った言葉として公開してよいのか。 私は野田さんという人に個人的には特に好悪の感情を抱いていなかったが、この声明を読んで「誠実さを欠いた人だ」という印象を持ってしまった。 その所以について述べたい。 そのためには、首相の所信表明演説の全文を読んでもらう必要がある。 【野田総理冒頭発言】 本日は大飯発電所3,4号機の再起動の問題につきまして、国民の皆様に私自身の考えを直接お話をさせていただきたいと思います。 4月から私を含む4大臣で議論を続け、関係自治体のご理解を得るべく取り組んでまいりまし

                                            • 従属と謝罪について - 内田樹の研究室

                                              朝日新聞に「安倍首相の靖国参拝」についてコメントを求められたので、すこし長めのものを書いた。もう掲載されたので、ブログでも公開することにする。 東京裁判は戦後日本に対して二つの義務を課した。 一つは、敗戦国として戦勝国アメリカに対して半永久的に「従属」の構えをとること。 一つは侵略国としてアジアの隣国(とりわけ中国と韓国)に対して半永久的に「謝罪」の姿勢を示し続けること。 従属と謝罪、それが、東京裁判が戦後日本人に課した国民的義務であった。 けれども、日本人はそれを「あまりに過大な責務」だと感じた。二つのうちせめて一つに絞って欲しいと(口には出さなかったが)願ってきた。 ある人々は「もし、日本人に対米従属を求めるなら、日本がアジア隣国に対して倫理的疚しさを持ち続ける義務からは解放して欲しい」と思った。別の人々は「もし、東アジアの隣国との信頼と友好を深めることを日本に求めるなら、外交と国防に

                                              • 東北論 震災・原発事故 (内田樹の研究室)

                                                ご近所の灘校の文化祭で東北研究のパネル発表をするということで、インタビューを受けた。なかなか白熱したインタビューで、「東北とは」という切り口でものを考えたことがあまりなかったので、新鮮だった。 インタビュアーは高校生。 ―まず先生は震災当時はどこにいらっしゃったのですか。 3月11日はスキーに信州に行った帰りで、電車が止まって、直江津で足止めを食らってました。よく事情が分からなくて、夜中も余震が凄かったし。阪神大震災以来だから恐怖心を感じました。翌日電車が動いて1日遅れでこっちに帰ってきました。 ―先生は阪神淡路大震災も経験なさってるわけですよね。その時と比べてみてどうですか。 何が違うかと言うと、天変地異のレベルの話じゃなく、それに対処するときの政治と社会の問題だと思います。今回の対応の悪さって、桁外れなんじゃないかな。日本の社会全体としての復興に対する、支援に対する態度っていうのがひど

                                                • 反省しない人々 - 内田樹の研究室

                                                  海の日。 世間は休みであるが大学は開校日である。 どうして国民の休日に大学の授業があるかというと、文科省が「すべての曜日半期15回必ず授業をやるように」と強く要望しているからである。 月曜日は休日に当たっていることが多いので、15回やろうと思うと、8月中旬まで補講をしないといけない。 亜熱帯の日本でどうしてお盆のころまで授業をしなければならないのかと思うのだが、日本人の壊滅的な学力低下に対して文科省はとりあえず「15週確保」しか思いつかないのである。 14週を15週にしたくらいで学生の学力が上がるなら誰も苦労はしない。 15週にして学力が上がるなら、20週にすればもっと上がる道理である。月月火水木金金一年365日休みなしで授業をすればさらに学力は上がる道理である。 もちろんそんなことをしても学力低下は止まらない(やれば、わかる)。 教室で眠る生徒や、遊ぶ学生や、そもそも学校に来ない子どもが

                                                  • 内田樹の研究室: ナショナリズムと集団性

                                                    2024 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 2023 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5月 - mai 6月 - juin 7月 - juillet 8月 - août 9月 - septembre 10月 - octobre 11月 - novembre 12月 - décembre 2022 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5月 - mai 6月 - juin 7月 - juillet 8月 - août 9月 - septembre 10月 - octobre 11月 - novembre 12月 - décembre 2021 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5

                                                    • ガラパゴスも住めば都 - 内田樹の研究室

                                                      「ガラパゴス化する日本」をどうやってグローバル化するか。 という問題設定を自明のものとすることに対して私はいささか懐疑的である。 ガラパゴスでいいじゃないか、と思うからである。 誰かがガラパゴス的な役割を演じないと、全地球的なシステムにとってバランスが悪いのではないか、と思うからである。 「ガラパゴス」にしか育たない植物があり、そこでしか棲息できない動物があり、そこにしか見られてない固有の進化の歴程がある。 世界中の人が罹患するウィルスの特効薬が「ガラパゴス」だけにいる珍妙な粘菌からしか採取できず、「ガラパゴスがあってほんとうによかったね」と人々が手を取り合って泣き崩れる・・・というようなことだって「絶対、ない」とは言い切れない。 私は「生物学的多様性」をシステム全体の安定のためにつねに配慮するという立場の人間である。 限られた資源を非競争的に配分し、できるだけ多くの生物種が共生できるよう

                                                      • 「疎開」のすすめ - 内田樹の研究室

                                                        「疎開」を勧めている。 政府や自治体の方からいずれ公式にアナウンスがあると思うけれども、東北関東の大震災の被災地への救援活動を効率的に実施するためにも、被災地や支援拠点となる東北関東の都市部から、移動できる人は可能な限り西日本へ移動することを勧めたいと思う。 いま被災地と、その周辺には限られた資源しかない。特に燃料の不足が顕著である。東日本一円では自動車による移動がしだいにむずかしくなりつつある。東海地方にまで地震が広がって、新幹線をふくむ交通インフラの運転も安定していない。 できれば、移動手段に十分な余力があるうちに、移動できる人は西に移動することが望ましいと思う。 福島の原発については、危機的状況をすみやかに脱することを私も願っているが、主観的願望と客観的状勢判断は混同すべきではない。万が一、放射性物質の広域への飛散が始まったときに起こるパニックを想定すれば、「パニックがまだ起こらない

                                                        • 誰か教えて - 内田樹の研究室

                                                          ドキュメンタリー映画『靖国 YASUKUNI』の上映が予定されていた映画館五館が、嫌がらせや営業妨害を懸念して、上映を取りやめた。 同じような事件は年初にもあった。 日教組の教研集会会場に予定されていたグランドプリンスホテル新高輪が同じ理由で使用を断ったのである。 右翼の街宣車が集まって、顧客や周辺住民に迷惑がかかるからという理由だった。 そのとき、グランドプリンスホテル新高輪関係者に訊きたかったことがあるので、忘れないうちに書いておく。 グランドプリンスホテル新高輪は日教組をこの場合「顧客」には算入しなかったと解釈してよろしいのか、ということである。 予定していた集会が中止になることによって日教組が蒙る損害は「顧客の迷惑」にはカウントされない、と。 つまり、利用者のうち誰が「顧客」であり、誰が「顧客」でないかは、グランドプリンスホテル新高輪が利害得失を勘定して決定する。ということでよろし

                                                          • https://twitter.com/levinassien/status/1601746927426510849

                                                              https://twitter.com/levinassien/status/1601746927426510849
                                                            • 無謬の政治家の陥穽について - 内田樹の研究室

                                                              石原慎太郎東京都知事が知事職を辞任して、国政進出めざして新党の党首となることになった。 「第三極」を結集するとして、維新の会、みんなの党との連携・連帯を模索しているが、政策の擦り合わせがうまくゆかない。 原発稼働にしても、TPPにしても、消費増税にしても、領土問題へのアプローチにしても、三党間にはかなりの隔たりがある。 政策上の差異は調整可能であるということで、とりあえず維新の会と石原新党は連携の方向だと今朝の新聞には書いてあった。 維新の会はたしか、その前日に政策上100%の一致がない政治組織とは組織的な連携はしないということを各地の「維新の会」に対して通告していたはずだが、石原新党とはOKらしい。 政策上の差異は調整可能なのか、調整不可能なのか。 判断はケースバイケースであるらしい。 まあ、好きにすればいいと思うけれど、政党が重要な政治的決定を下すときの根拠についての説明をそのつどころ

                                                              • 続・日本社会はフルボッコ先を求めている - やまもといちろうBLOG(ブログ)

                                                                情報カスケードという言葉があって、まあ一般的には「情報不足の状態から積み重なる判断が、最終的に真実とは程遠いまったく違った結論に至り、それが信用される過程」って意味合いで使われるかな、と。 で、まず亀田問題を例に取るけど。フルボッコ先の対象としてのクオリティは非常に高い。日本人はたいていああいうのが好きではないが、目新しさを感じているときは持ち上げられて注目される傾向にある。日本人でなくてもそうだ、日本社会以外でも存在する、という議論もあるけど、まあその辺は広告業界に詳しい人がそのうちはっきり否定するだろうし、そう思っている人はその他大勢だろうからまあいいや。 私の思うところ、社会問題としての亀田問題というのは、放送法で公的に保護されている業界であるテレビ局が、反社会勢力と結びついて興行を行っている亀田ジムを持ち上げ、その過程で、公共の電波に暴力団が一同に介している映像を国民に流した、とい

                                                                  続・日本社会はフルボッコ先を求めている - やまもといちろうBLOG(ブログ)
                                                                • 『アメリカは内戦に向かうのか』バーバラ・F.ウォルター - 内田樹の研究室

                                                                  原題はHow civil wars start 「どのようにして内戦は始まるのか」。アメリカのことだけを論じているわけではない。「内戦論」である。さまざまな国におけるこれまでの内戦を統計的に分析して、どういう条件が整うと内戦が始まるのかを解説する。 これまでの世界各地の内戦を分析する箇所での筆致は学術的で抑制的である。しかし、ひとたび話題がアメリカに及ぶと、文体がいささか感情的になってくる。学術的な書き物の場合、筆者が個人的な恐怖や不安をあらわにすることはふつうしない。個人的感情を抑えて論文は書かれなければならないと大学院では教える。もちろん筆者ウォルターも大学教師だから、そういうルールは熟知しているはずである。でも、内戦の切迫が彼女の自制心を乱している。「アメリカにおける第二の南北戦争勃発の危険性に危機感を募らせるようになった」(21頁)からである。 でも、私はそのことをこの書物の瑕疵だ

                                                                  • 内田樹の研究室: うなぎくん、小説を救う

                                                                    2024 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 2023 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5月 - mai 6月 - juin 7月 - juillet 8月 - août 9月 - septembre 10月 - octobre 11月 - novembre 12月 - décembre 2022 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5月 - mai 6月 - juin 7月 - juillet 8月 - août 9月 - septembre 10月 - octobre 11月 - novembre 12月 - décembre 2021 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5

                                                                    • 相互扶助と倫理について - 内田樹の研究室

                                                                      片山さつき議員による生活保護の不正受給に対する一連の批判的なコメントが気になる。 「相互扶助」ということの本義に照らして、この発言のトーンにつよい違和感を持つのである。以下は朝日新聞の報道から。 人気お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さんの母親が生活保護を受けていたことが、週刊誌報道をきっかけに明らかになった。4月12日発売の週刊誌「女性セブン」が最初に匿名で報じた。「推定年収5千万円」の売れっ子芸人なのに母親への扶養義務を果たさないのは問題だ、と指摘した。翌週にはインターネットのサイトが河本さんの名前を報じ、今月2日に自民党の片山さつき参院議員が「不正受給の疑いがある」と厚生労働省に調査を求めたことをブログで明かすと、他の週刊誌や夕刊紙が相次いで取り上げた。 報道を受け、所属事務所よしもとクリエイティブ・エージェンシーは16日、コメントを発表。河本さんの母親が生活保護を受けていたことを認

                                                                      • 内田樹せんせが斜め上の角度からカジノ法案をDISる一部始終 - やまもといちろうBLOG(ブログ)

                                                                        他山の石と申しますか、専門外のことを概念だけで分かった気になって語ると馬鹿と思われるということを噛み締めながら書くエントリーなんですが。 もちろん、細かいことを言い出すと一杯反論できます。 そもそもカジノの収益というものは負け金ではなく賭け金の総額に対するチャージであり、滞在型リゾート(IR)においては賭けの負けを収入の担保にしているのではなく宿泊や飲食、観光などもすべて踏まえて一人当たりの集客利益を念頭においており、カジノというのはいくつもある「日本にいる楽しさ」のひとつの具であるわけです。 このあたりの話は『プレジデント』に先日書きました。 【告知】雑誌『プレジデント』に「お台場カジノ」関連の記事を寄稿しました http://kirik.tea-nifty.com/diary/2013/12/post-9e37.html 「お台場カジノ」は本当に実現するか http://preside

                                                                          内田樹せんせが斜め上の角度からカジノ法案をDISる一部始終 - やまもといちろうBLOG(ブログ)
                                                                        • なんでもどこでもだれとでも?勘弁してください! : 404 Blog Not Found

                                                                          2010年05月16日21:30 カテゴリPsychoengineering なんでもどこでもだれとでも?勘弁してください! 思わずうなずいてしまいそうだが… 言葉の力 (内田樹の研究室) 「生きる力」とは平たく言ってしまえば「何でも食える」「どこでも寝られる」「誰とでも友だちになれる」というベーシックな三種の能力にほぼ尽くされる。 もう一度考えてみよう。 地球で最も繁栄しているのはなんといっても昆虫。内田センセイも師として仰ぐ養老先生もそう答えるはずだが、昆虫といえば偏食でも有名だ。アゲハの芋虫はカラタチの葉しか食べず、モンシロチョウの青虫はキャベツばかりを食べ、そしてカイコ食べるのはもっぱら桑の葉だ。それしか彼らにとっての必須栄養素を得る方法がないというのではあればとにかく、そうでないことはリンゴを食べるカイコもいることからわかる。 そしてもちろん、昆虫は偏食な奴ばかりではない。ゴキブ

                                                                            なんでもどこでもだれとでも?勘弁してください! : 404 Blog Not Found
                                                                          • Who is to blame? (内田樹の研究室)

                                                                            社保庁問題がメディアを賑わせている。 これだけのミスが累積するのだから、構造的にもいろいろとむずかしい問題がある制度なのであろうが、それにしてもここまで問題を深刻にしたのは歴代の社保庁の役人たちのメンタリティの問題だろう。 そして、そのメンタリティは悲しいかな程度の差はあれ私たちの社会の全域に瀰漫しつつある。 それは「前任者の不始末をなんで私が尻ぬぐいしなくちゃいけないんだ」という不満に「理あり」とする態度である。 「この不祥事の責任を問う」という言葉は勇ましいし、合理的に聞こえるけれど、実際には責任の淵源を探ってゆくと、最後に発見されるのは、誰でもやるようなわずかな事実誤認や見落としだけである。 ほとんどすべてのシステムトラブルは誰でもするようなケアレスミスから始まる。 そんなものにシステムをクラッシュさせるような力はない。 システムをクラッシュさせた責任は、「起源」にはない。 このこと

                                                                            • 科学と生活のイーハトーヴ » 女性の自己実現と、不幸の取り引き

                                                                              どんどん不幸になっていく米国の女性たち - JBPress  「母親の自己実現のために」育てられた子どもが背負う呪縛 - シロクマの屑籠(汎適所属) というふたつの記事を読んで、割り切れない思いが残りました。 「女の身でありながら」仕事と育児、さらに趣味の時間を楽しもうとしていると、しばしば「自己実現第一のスーパーウーマンを目指している」ととらえられがちで、何やら落ち着かない気持ちになるからだろうと思います。 自己実現とは本来、人が生きていくためのポジティブな力になるものであるはずですが、なぜか「“女性の”(あるいは母親の)自己実現」という文脈で語られる場合、「自己中心」「自己満足」「なんでもほしがる欲張り」といった否定的な意味合いが強くなるような気がします。 つまり、「“女性の”(あるいは母親の)自己実現」とは、「する必要がないことを無理してやっている」という主張とすりかえるよ

                                                                              • 内田樹は3年前に何と言っていたか?

                                                                                はてなブックマークで内田樹の参院選についての感想記事が人気を集めている。 参院選の総括http://b.hatena.ne.jp/entry/blog.tatsuru.com/2013/07/23_0850.php現に、今回の参院選では「ねじれの解消」という言葉がメディアで執拗に繰り返された。それは「ねじれ」が異常事態であり、それはただちに「解消されるべきである」という予断なしでは成り立たない言葉である。だが、そもそもなぜ衆参二院が存在するかと言えば、それは一度の選挙で「風に乗って」多数派を形成した政党の「暴走」を抑制するためなのである。選挙制度の違う二院が併存し、それぞれが法律の適否について下す判断に「ずれ」があるようにわざわざ仕立てたのは、一党の一時的な決定で国のかたちが大きく変わらないようにするための備えである。言うならば、「ねじれ」は二院制の本質であり、ものごとが簡単に決まらないこ

                                                                                • 学力テストについて - 内田樹の研究室

                                                                                  07年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)と1964年度の全国テストを社会環境を加えて分析したところ、学力を左右する要因として離婚率・持ち家率・不登校率の3指標の比重が高まっていることが、大阪大などの研究グループの調査でわかった。 いずれも、家庭、地域、学校での人間関係の緊密さに関する指標で、研究チームは「年収などの経済的要因よりも、人間関係の『つながり格差』が学力を左右する傾向にある」と指摘。(毎日新聞、11月17日朝刊) ひさしく「学力格差は経済格差」であると言われてきた。 金持ちの子どもは「教育投資」額が貧乏人の子どもよりも大であるので、学力が高いというのである。 この「要するにすべては金の問題だ」という薄っぺらなリアリズムに過去20年ほど私たちの教育論は振り回されてきた。 それによって、学力のない子どもたちは「自分たちは学力がないのではなく、端的に金がないのだ」というふうに