『岸辺露伴は動かない』(NHK総合)における実写化で、最も待望視されていたエピソードは「六壁坂」だった。昨年、筆者が脚本の小林靖子にインタビューした際(参考:『岸辺露伴は動かない』脚本・小林靖子が大事にした荒木飛呂彦イズム 「台詞に“ッ”を入れちゃう」)、「実写化してみたい話は?」という問いかけに返ってきたのも「六壁坂」。そして、その後に続いたのが「あれは不気味で映像で観てもすごそうだなって。でも、ちょっと年末には向かないですね(笑)」という所感である。 そう、「六壁坂」は多くの原作ファンに期待されながらも、誰もが実写化は難しいと容易に想像できるエピソードでもあった。「不気味」な要素はいくつかある。その一つが、止まらない釜房群平(渡辺大知)の血だ。 六壁坂村で300年続く味噌づくりで成功した大郷家の一人娘・大郷楠宝子(内田理央)。そこでバイトの庭師として働き、楠宝子のボーイフレンドでもある