今年3月に公開された「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」だが、2か月を経た現在も公開中だ。「シン・エヴァ」は、内容・興行ともに「批判してはいけない」絶賛ムードに染まっているかに見える。旧シリーズの完結編として1997年夏に公開された「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」がどんな作品だったのか再評価するのは、今をおいてほかにないだろう。 消化不良に終わったテレビ版25~26話を、本来あるべき姿にリメイクした映画作品が「Air/まごころを、君に」で、テレビでは明確に描かれなかった「人類補完計画」の全貌が明らかになる……のだが、途中から実写映像が混じりはじめ、映画は具体性を失っていく(手持ちカメラでロケしてきたかのような地方都市の風景は、庵野秀明監督の故郷・山口県宇部市ではないだろうか?) このコラムでは、ハイクオリティのセルアニメとして完結させることが十分に可能だった「A