宮崎駿が注目していた画面の変化 2013年、この年に現時点での最後の長編監督作となっている『風立ちぬ』を発表した宮崎駿は、かねてから敬愛し、つい先ごろ亡くなった昭和史家の半藤一利と対談を行っている。NHKの番組でも放送され、『腰抜け愛国談義』という文庫にもまとめられたこの対話のなかで、宮崎は、近年の「画面」に起こっているある変化について語っている。冒頭から長い引用で恐縮だが、該当部分を抜き出してみよう。 宮崎:ウォルト・ディズニーでも、いまはみんなコンピュータでやる3Dのほうに移っています。[…] 自分たちは長らく、鉛筆やペンで描いたものを、透明のセルに写して筆を使って絵具を塗ってという、ものすごくアナログな作業をしてきました。それがある日デジタルになったんです。色を塗らなくなりました。コンピュータで色をつける。[…] 半藤 そうすると、いまはあんまりお描きになることはないんですか。 宮崎