東京・下町の中小企業チームが開発した無人海底探査機「江戸っ子1号」が二十二日、房総半島沖で海底八、〇〇〇メートル地点の調査を開始する。オール国産と低コスト化にこだわった町工場の技術と夢を、約五十キロの機体に積み込み、未知の海域に挑戦する。 (臼杵秀之) きっかけは、大阪の町工場などが二〇〇九年一月に打ち上げた小型衛星「まいど1号」。「町工場として負けてられねえ。大阪が空なら、東京は海だ」。杉野ゴム化学工業所(東京都葛飾区)の杉野行雄社長(64)の呼びかけで、同五月にプロジェクトが始動した。 中心となったのは都内と千葉県の五社。プラスチックの金型設計、耐圧ガラス製造、精密機械の加工など得意技術を持ち寄り、四年かけて研究。海洋研究開発機構や東京海洋大、芝浦工業大も協力し、神奈川県・相模湾などで実験を繰り返した。 最も難航したのは、機材を収めるガラス球。当時、海底八、〇〇〇メートルの水圧に耐える