「命を最優先に」という言葉には確かにそうだとしか言えない説得力があります。しかし、命というのはとても抽象的な言葉ですから、よくその意味を考えてみなければなりません。私たちが本当に最優先しているものはなんなのでしょうか。 例えば90歳のおじいちゃんが半年の余命宣告をされているとします。延命治療を行えば余命があと一年延びます。一年半です。しかし延命治療を行えば家族と会話をすることは難しくなります。生物学的な命が命の定義だとするならば、延命することが命を最優先することになります。しかしそんな選択を皆がするとは限りません。人は命と同じぐらい生き方も大切にしているからです。短い時間でいいから最後は家族と話をしながら過ごしたいと考えおじいちゃんも家族も延命を避け、それを医療機関も社会も許容するのならば少なくとも「生物学的な命は優先されず別の何かが優先された」ということになります。私はその別の何かとは「