コロナ禍を予見したかのようなリアルさで、感染症爆発下を必死に生き抜く人々の姿を描いた『リウーを待ちながら』。その作者である朱戸アオさんは今、「生物としての自分」に向き合わざるを得ない心境にあるといいます。 それはなぜか。「生き物として逃げられないもの」と折り合いをつけるにはどうしたらいいのか──。 『科学とはなにか』を上梓したばかりの佐倉統さんはもともと、進化生物学の分野から研究の道に入りました。『インハンド』の連載を終えたばかりの朱戸さんに語ったのは、「人間の幸福を進化論で考える視点」……!? (構成/中川隆夫) 「生物としての自分」と向き合う 朱戸 『科学とはなにか』でお書きになっていた、「最新の科学的知見を取り込んで人生観や社会観をアップデートしていく」というご指摘が、強く印象に残りました。ほんとうにそうですよね。 私はいわゆるワーキングマザーなんですが、子供を産んで育てていると、「