並び順

ブックマーク数

期間指定

  • から
  • まで

81 - 120 件 / 309件

新着順 人気順

短篇集の検索結果81 - 120 件 / 309件

  • 完読総評! 池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 全冊 - ウラジーミルの微笑

    輝く時間を分けあった あの日を胸に今日も生きている 2017年7月13日に最初の一冊を読んで、約5年半もかかったこの企画。途中に『失われた時を求めて』を再読したり、ナボコフ・コレクションを読んだり、まるっきり初心者から1年かけて将棋の段位を取得したり、さんざん寄り道をしてようやく完結をした。1記事5000字として、42作品*121万字。原稿用紙500枚分だから、厚めの文庫本1冊分は書き散らかしたことになる。 既に、第1集、第2集、第3集とそれぞれの総括記事を挙げているので、各作品の短評等はそちらをご参照いただきたい。 これとは別に今回は総まとめとして、いくつかの観点から本全集を眺めなおし、最後に本全集の企画全体に対する感想を述べて締めくくりとしたい。 面白かった作品3選 最初は、記事としては一番面白みのない「面白かった作品」から。何が面白くないって、セレクトがあまりにベタで、我ながら恥ずか

      完読総評! 池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 全冊 - ウラジーミルの微笑
    • カズオ・イシグロ大体読んだけど好きかわからなくなった

      「わたしを離さないで」(2005)臓器移植のために育てられた人間の子どもから大人になるまでの記憶を綴る。 確かに美しい小説だ。子供から大人になるにつれて、見える世界は広がっていく。たとえそれがどれほど酷なものであろうとも、子供たちはそれを受け入れねばならない。語り手は振り返り、ひとつの出来事を大切に手の中で壊れやすい卵を計るように並べている。 読者も少しずつ、まるで語り手と一緒に育っていったかのように、事の真相を知らされていく。細やかな、性格を端的に示すエピソードをミルフィーユのように繊細に重ね、誰もが持つ幼いころの記憶を登場人物とシンクロさせる手際は見事と言っていい。主役三人の性格の違いとそれによっておこる対立の見事さは、この小説をSFというよりも性格劇に分類したくなるほどだ。夢中になってはまる本とは違うけれど、読む価値はとてもある。 しかしながら、感情の描写や文章のリズムがうますぎるあ

        カズオ・イシグロ大体読んだけど好きかわからなくなった
      • 2020年のベストSFは? 『SFが読みたい!』ランキング発表!(国内&海外トップ10)|Hayakawa Books & Magazines(β)

        今年も恒例のSFガイドブック『SFが読みたい! 2021年版』が発売となりました! 2020年は新型コロナウイルスの流行という未曾有の状況でしたが、そんななかでも数々の傑作SFが刊行されてきました。その全書籍を対象に、作家や書評家などSFのプロの方々100名近くにご投票いただいたアンケート結果を掲載する本書。その国内・海外のベストSFを特別公開します! ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ベストSF 2020[国内篇]1『オクトローグ 酉島伝法作品集成』酉島伝法/早川書房…275点 2『アメリカン・ブッダ』柴田勝家/ハヤカワ文庫JA…211点 3『暗闇にレンズ』高山羽根子/東京創元社…207点 4『日本SFの臨界点[恋愛篇・怪奇篇]』伴名練=編/ハヤカワ文庫JA…204点 5 《星系出雲の兵站》(全9巻)林譲治/ハヤカワ文庫JA…189点 6『歓喜の歌 博物館惑星Ⅲ』菅浩江/早川書房…141点 7『人間た

          2020年のベストSFは? 『SFが読みたい!』ランキング発表!(国内&海外トップ10)|Hayakawa Books & Magazines(β)
        • 壊れた美学、焚書ポピュリズム、フェミニズムSF……『ニューロマンサー』『華氏451度』『侍女の物語』『折りたたみ北京』#闇のSF読書会③|Hayakawa Books & Magazines(β)

          闇の自己啓発会による #闇のSF読書会 。第3回となる今回はウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』、レイ・ブラッドベリ『華氏451度』、マーガレット・アトウッド『侍女の物語』、ケン・リュウ編『折りたたみ北京』を取り上げます! *前回はこちら ■『ニューロマンサー』 壊れた美学江永 『ハーモニー』で混乱しながら話をし過ぎました。バランス悪くなって申し訳ないです。『ニューロマンサー』にいきましょう。私はこういう身体改造っぽいイメージがある作品が好きだというのは前に言った気がするんですが、これは文体も好きです。 暁 世間一般ではやや難解といわれる文体ですよね。 江永 なんというか、具合悪い文章ですよね。例えば「空港の十キロ手前から、列車は減速を始めた。ケイスが見つめる中、陽が昇る。少年時代の風景の上、でこぼこした鉱滓や精錬所の錆びた骨格の上」(第二部「買物遠征(ショッピング・エクスペディション

            壊れた美学、焚書ポピュリズム、フェミニズムSF……『ニューロマンサー』『華氏451度』『侍女の物語』『折りたたみ北京』#闇のSF読書会③|Hayakawa Books & Magazines(β)
          • バックパッカーのリアルな生態を描き出す、小説家による旅行記──『四分の一世界旅行記』 - HONZ

            この『四分の一世界旅行記』はSF・奇想短篇集の『半分世界』でデビューし小説家として活躍している石川宗生によるバックパッカーとしての旅行記である。四分の一世界旅行記と題されているように、訪問する場所は中央アジア、コーカサス、東欧の15カ国。世界一周でもなければ、アマゾンの奥地にひそむ巨大ナマズを見つけるみたいなビッグ・テーマや企画がある旅ではない。旅が好きな作家が行った、気ままで地味な旅行記だが、それがなんだかおもしろい。 いまのご時世、インターネットに情報は溢れかえっており、旅先でそうそう絶体絶命のピンチに陥ったりすることもない。言葉が通じなくても、スマホで翻訳すればやりとりできる。ある意味、現代は魅力的な旅行記を書きづらい時代である。本書でも本当にたいしたことは起こらないのだけれども、その分、旅の細かなディティール──何を食べたとか、どんな人と出会ったとか、ちょっとした困りごと、悩みごと

              バックパッカーのリアルな生態を描き出す、小説家による旅行記──『四分の一世界旅行記』 - HONZ
            • 韓国の注目作家が紡ぐ、科学的でエモーショナルな絶品SF短篇集──『わたしたちが光の速さで進めないなら』 - 基本読書

              わたしたちが光の速さで進めないなら 作者:キム・チョヨプ発売日: 2020/12/03メディア: 単行本(ソフトカバー)2020年は10年の区切りということもあって素晴らしいSF短篇アンソロジーが多数刊行され、SF短篇集も豊作だったのだけどここにきてまた凄いSF短篇集が刊行された。韓国の作家キム・チョヨプによる『わたしたちが光の速さで進めないなら』だ。 1993年生まれで本書(原書は2019年刊行)がデビュー作とバリバリの新人なのだけれども、技術的には円熟の域だ。ファースト・コンタクトあり、言語SFあり、コールドスリープ、マインドアップロードあり、テクノロジーによって変容していく人間の姿や社会を描き出していくサイバーパンク的な要素も各作品に共通していて──と、SFでは定番のネタを毎回「こう演出するのか〜!!」と驚かせてくれた。 毎回読後には現代の物語、感覚だな……と納得させてもくれ、凄い凄

                韓国の注目作家が紡ぐ、科学的でエモーショナルな絶品SF短篇集──『わたしたちが光の速さで進めないなら』 - 基本読書
              • 「久しぶり、また会えて嬉しい」――『2000年代海外SF傑作選』編集にあたって(選者・橋本輝幸)|Hayakawa Books & Magazines(β)

                ゼロ年代に発表された海外SF短篇を選りすぐった日本オリジナル・アンソロジー『2000年代海外SF傑作選』発売(11/19・木)までもう少し! 本日は本作の編者を務めた橋本輝幸氏による、収録作品見どころガイドを掲載いたします! 『2000年代海外SF傑作選』収録作品リスト公開 橋本輝幸(SF書評家) 前回からはや3カ月、読者の皆さまが目次の公開はまだかと気を揉んでいただろうことは想像に難くありません。このたびようやく、『2000年代海外SF傑作選』の目次をシェアできる段階までこぎつけました。早川書房の皆さま、翻訳家の皆さま他、ご尽力くださった全ての関係者の方にこの場を借りてまずは御礼申し上げます。 それではさっそくですが、『2000年代海外SF傑作選』に収録される、00年代を代表するSF作家たちの9篇をご紹介します。 1「ミセス・ゼノンのパラドックス」エレン・クレイジャズ/井上 知訳★初訳

                  「久しぶり、また会えて嬉しい」――『2000年代海外SF傑作選』編集にあたって(選者・橋本輝幸)|Hayakawa Books & Magazines(β)
                • 《ウィッチャー》ワールドの原点とその本質的な魅力を味わえる、入門にうってつけの一冊──『ウィッチャー短篇集1 最後の願い』 - 基本読書

                  ウィッチャー短篇集1 最後の願い (ハヤカワ文庫FT) 作者:アンドレイ サプコフスキ早川書房Amazonポーランドの作家アンドレイ・サプコフスキによるファンタジィ小説シリーズ《ウィッチャー》は、小説も世界的なベストセラーであるが、本作を原作としたゲームの三部作が爆発的にヒットし本邦でも有名になった作品だ。中でもゲーム完結編となる3は、オープンワールドRPGのトップとして挙げる人が多いほど中身も傑作であった。 ゲーム完結後、Netflixでドラマも始まり(先月第二シーズンが公開)、本邦で止まっていた長篇の翻訳もリスタートし完結巻の5巻まで刊行され──と様々な展開が進行中の本作だが、その流れに乗って短篇集もこうして翻訳されることとなった。邦訳としては長篇の後の刊行になるが、作中の時系列的にも原書的にもこの短篇集の方が先であり、いわば《ウィッチャー》ワールドの原点を味わえる作品集になっている。

                    《ウィッチャー》ワールドの原点とその本質的な魅力を味わえる、入門にうってつけの一冊──『ウィッチャー短篇集1 最後の願い』 - 基本読書
                  • 現代韓国のSF作家らに多大な影響を与え、韓国SFの代名詞と言われる作家ペ・ミョンフンの代表作──『タワー』 - 基本読書

                    タワー 作者:ペ・ミョンフン河出書房新社Amazonこの『タワー』は、韓国を代表するSF作家の一人ペ・ミョンフンの代表作といえる連作短篇集だ。最初、それ以外の前情報は一切仕入れずに読み始めたのだが、すぐに面食らってしまった。いったいこれは何の話なんだ……? と。舞台は674階建て、人口50万人にもおよぶ巨大タワー「ビーンスターク」。その時点で異様な存在だが、その中では地上では理解もつかぬ人々とその行動が展開するのである。 東方の三博士──犬入りバージョン たとえば一篇目の「東方の三博士──犬入りバージョン」ではビーンスタークミクロ権力研究所のチョン教授が、酒に電子タグをつけてタワーの上流社会に流通させ、それがどこに贈られていくかで権力構造を把握しようとする実験が語られていく。 イ博士はミクロ権力研究所に入ってもう三年めだった。彼はチョン教授の話を聞くたびに、こいつは天才なのかいかさま師なの

                      現代韓国のSF作家らに多大な影響を与え、韓国SFの代名詞と言われる作家ペ・ミョンフンの代表作──『タワー』 - 基本読書
                    • 山田風太郎賞受賞! 日露戦争から太平洋戦争まで、満洲の架空都市を舞台に日本SF界の新星が描いた『地図と拳』――その構想は? | ダ・ヴィンチWeb

                      トップインタビュー・対談山田風太郎賞受賞! 日露戦争から太平洋戦争まで、満洲の架空都市を舞台に日本SF界の新星が描いた『地図と拳』――その構想は? 先ごろ第13回山田風太郎賞を受賞した『地図と拳』(集英社)は、日露戦争から太平洋戦争までの日本の灰色の時代を通して、満洲にある架空都市〈仙桃城(シエンタオチョン)〉にひき寄せられた人々によって紡がれる歴史大河小説だ。 著者・小川哲さんはSF小説『ユートロニカのこちら側』(早川書房)でデビュー後、長編『ゲームの王国』(同)で第38回日本SF大賞と第31回山本周五郎賞を受賞し、『嘘と正典』(同)では第162回直木三十五賞候補と最も注目される作家の一人。 雑誌『小説すばる』での連載開始から休載を挟み4年の歳月をかけて刊行された『地図と拳』(集英社)について小川哲さんに話を聞いた。 (インタビュー・構成・撮影=すずきたけし) ――『地図と拳』は日露戦争

                        山田風太郎賞受賞! 日露戦争から太平洋戦争まで、満洲の架空都市を舞台に日本SF界の新星が描いた『地図と拳』――その構想は? | ダ・ヴィンチWeb
                      • 東京創元社編集部・編『創元SF文庫総解説』第1回(全6回)l

                        2022年09月29日17:00 by 東京創元社 東京創元社編集部・編『創元SF文庫総解説』第1回(全6回) カテゴリSFファンタジイ・ホラー 【はじめに】 創元SF文庫は来年2023年、創刊60周年を迎えます。 1963年9月に創元推理文庫SF部門として誕生し、フレドリック・ブラウン『未来世界から来た男』に始まり、1991年に現行の名称への改称を挟んで、これまでに700冊を超える作品を世に送り出してまいりました。エドガー・ライス・バローズの《火星シリーズ》やE・E・スミスの《レンズマン》シリーズをはじめ、ジョン・ウィンダム、エドモンド・ハミルトン、アイザック・アシモフ、ロバート・A・ハインライン、レイ・ブラッドベリ、J・G・バラード、アン・マキャフリー、バリントン・J・ベイリー、ジェイムズ・P・ホーガン、ロイス・マクマスター・ビジョルド、そして近年にはアン・レッキーやN・K・ジェミシン

                          東京創元社編集部・編『創元SF文庫総解説』第1回(全6回)l
                        • ハヤカワ文庫の初歩から始めるミステリ講座公開!(前篇)|Hayakawa Books & Magazines(β)

                          ハヤカワ文庫のミステリフェアで店頭ブックレットでご紹介させていただいた「一緒に学ぼう! ハヤカワ文庫の 初歩から始めるミステリ講座」を大公開します。 ミステリを偏愛し編集してきた先生と、昨年からミステリの編集を始めた生徒、ふたりの掛け合いで、ざっくり基本の4ジャンルとその歴史、そして教科書となるような必読の名作ををご紹介していきます。 各作品については、noteのこちらもご参考ください。 → 「一緒に学ぼう! 初歩から始めるミステリ講座」フェア始まりました(前半) 「一緒に学ぼう! 初歩から始めるミステリ講座」フェア始まりました(後半) クラシック・本格ミステリ講座 *ミステリの歴史 先生 ミステリの歴史は、エドガー・アラン・ポー「モルグ街の殺人」(1841年)から始まります。そして、メルクマールとなるのは、1887年にアーサー・コナン・ドイルが科学的考察で事件を解決する名探偵シャーロック

                            ハヤカワ文庫の初歩から始めるミステリ講座公開!(前篇)|Hayakawa Books & Magazines(β)
                          • オンラインで読書会したら、すごく楽しかった

                            好きな本を持ち寄って、まったり熱く語り合うオフ会、それが [スゴ本オフ]。 いつもはワインやビール、サンドイッチや唐揚げを持ち寄って、食べながら飲みながら歓談するのだが、このご時世、無理というもの。 なので、オンラインでやってみた。 時間を決めてURLを伝えて、各人は自分のPCやスマホからアクセスする。オンラインミーティングみたく顔出してもいいし、エヴァンゲリオンよろしくSOUND ONLYも、ROM専ならぬBGM代わりに聞く専もあり。 テーマは「いま、何を読んでいる?」。 本を読む人は、言葉に力があることを知っている。心を削る物言いや、注意を擦り減らせるテロップのダメージ敏感だ。 だから、テレビを消して、SNSを閉じて、好きなものに没頭したくなる。そんな、自分を楽に、夢中に、解いてくれる本はなんだろうか? リアルに集まって話せない今だからこそ、ネットで交流してみよう。 もちろん、いつもど

                              オンラインで読書会したら、すごく楽しかった
                            • ハヤカワ文庫創刊50周年記念イヤーのお知らせ|Hayakawa Books & Magazines(β)

                              演劇雑誌と海外文芸の刊行を目指して1945年に創業した早川書房。探偵小説をミステリと、空想科学小説をSFと名付けて、戦後の日本に新しいエンタテイメント作品を広げようという理念でスタートしました。 そして1970年、ハヤカワ文庫SFの刊行が開始されました。記念すべき一作目はエドモンド・ハミルトン晩年の傑作『さすらいのスターウルフ』です。刊行時は、日本初のカラー口絵とモノクロ挿画入りの文庫として話題を集めました。 それから50年。おかげさまでハヤカワ文庫は2020年8月をもって創刊50周年を迎えます。SFやミステリのほかに、ノヴェルズやノンフィクションなど領域を広げながら、生き生きとした良質な読みものをいち早く読者にお届けするという姿勢で出版活動を続けてまいりました。 長きにわたり活動を継続できたのは、ひとえに読者の皆様のご愛読のおかげです。深く感謝申し上げます。 つきまして、昨年12月新刊、

                                ハヤカワ文庫創刊50周年記念イヤーのお知らせ|Hayakawa Books & Magazines(β)
                              • 技術がもたらした価値観の変容が事件へと密接に関わってくるSFミステリ短篇集──『ベーシックインカム』 - 基本読書

                                ベーシックインカム 作者: 井上真偽出版社/メーカー: 集英社発売日: 2019/10/04メディア: 単行本この商品を含むブログを見るベーシックインカムと言うと、普通は全国民に一律3万なり10万なりといった一定額を定期的に振り込み続ける、最低給付保障をさす言葉である。僕もつい先日これについての記事を書いたばかりだが、本記事で取り扱う『ベーシックインカム』は、森博嗣、西尾維新、清涼院流水ラインの最先端ミステリ『その可能性はすでに考えた』などで知られる井上真偽の最新作にして、SFミステリ連作短篇集である。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp 僕もこの作品は圧倒的なキャラの強さ、推理における演出のトンデモさとそれを支えるロジックの鮮やかさで大いに楽しませてもらった。そうはいっても、SFミステリはどうじゃろか……と思いながら読んだけれども、これがきちんとおもしろい。短篇はど

                                  技術がもたらした価値観の変容が事件へと密接に関わってくるSFミステリ短篇集──『ベーシックインカム』 - 基本読書
                                • 都市に人間が住めなくなるほど環境が悪化し、最後の原生地へと逃れた一群を描き出す、親子の愛憎の物語──『静寂の荒野』 - 基本読書

                                  静寂の荒野【ウィルダネス】 作者:ダイアン クック早川書房Amazonこの『静寂の荒野』は、ニューヨークを拠点とするアメリカ人女性作家ダイアン・クックのはじめての長篇作品である。長篇は初だが、短篇ですでにデビュー済み。本邦でもすでに短篇集『人類対自然』の邦訳が出ていたりと今注目の作家のひとりだ。 著者の中心テーマになっているのは、『人類対自然』、そして本作『静寂の荒野』のタイトルをみればわかるように、「自然と、その中で生きる人類の在り方について」といったあたりになるだろう。『人類対自然』の中では大洪水後の人々を描き出す「最後の日々の過ごし方」、漂流という極限状態を描き出す表題作などで、自然の中に生きる人間を描き出した。『静寂の荒野』では、環境汚染が深刻化し都市での生活すらままならなくなった世界で、あえて野生に身を晒す人々が描き出されていく。 近年気候変動による影響を中心的なテーマとして扱っ

                                    都市に人間が住めなくなるほど環境が悪化し、最後の原生地へと逃れた一群を描き出す、親子の愛憎の物語──『静寂の荒野』 - 基本読書
                                  • 移民から気候変動までギリシャの問題が色濃く反映された、傑作ぞろいのSFアンソロジー──『ギリシャSF傑作選 ノヴァ・ヘラス』 - 基本読書

                                    ギリシャSF傑作選 ノヴァ・ヘラス (竹書房文庫 ば 3-1) 作者:ヴァッソ・クリストウ竹書房Amazonこの『ギリシャSF傑作選』はその名のとおり、ギリシャのSF短篇が集められたアンソロジーである。版元は竹書房。流れ的にはイスラエルSF傑作選『シオンズ・フィクション』が2020年に同じく竹書房から刊行されたが、これが邦訳の刊行前から海外で評判を集めたらしく、すぐに非英語圏SFアンソロジーの売り込みがはじまった。 そして、訳者のひとり(にして代表的存在の)中村融さんがその英訳版を色々と読んでいき、頭ひとつ抜けていたのがこのギリシャSF傑作選だったのだという。実際、読んでみればこれが大変おもしろい。収録作は全11篇、ページ数は270程度だから長い本ではないのだが、どの作品も移民や気候変動などギリシャの「いま・ここ」の問題が取り扱われ、アテネなどギリシャの都市が重要なキイになる作品もいくつか

                                      移民から気候変動までギリシャの問題が色濃く反映された、傑作ぞろいのSFアンソロジー──『ギリシャSF傑作選 ノヴァ・ヘラス』 - 基本読書
                                    • 乗っ取り系ホラーアンソロジー - 村 村

                                      最近、架空のアンソロジーを考えることが流行っていると聞いたので。 saitonaname.hatenablog.com proxia.hateblo.jp ポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』が大ヒットしてから、富裕層に対する貧困層の反逆というテーマを通して様々な映画が語られるようになりました。やはり(自分よりは)恵まれている人の家を乗っ取るということは、人間が抱く願望の一つの類型なのかもしれません。 しかし、それは映画だけに限られた類型ではなく、ホラーやサスペンス小説でも脈々と受け継がれている水脈であることを忘れられがちでもあります。一番有名なのは、ヒュー・ウォルポール「銀の仮面」でしょうか。ジャンルを狭く取り過ぎた感はありますが、自分が好きなテーマなのでこのまま行きます。 ≪注意!≫ 家を乗っ取る話だとわかった上で読んだとしても面白さが変わらない小説を選んだつもりですが、小説を

                                        乗っ取り系ホラーアンソロジー - 村 村
                                      • 2010~20年に出た早川創元SFアンソロジー60点のうち、女子(に見えるキャラ)がメインの表紙は多く見積もり15点(25%)くらい。※ただし人型キャラが表紙にいる漫画的な絵柄の本のなかで若い女が描かれる確率は極めて高い - すやすや眠るみたくすらすら書けたら

                                        「上を向いて歩こう」の歌詞のすごいのは、あれだけ深く感情に訴えてくるにも関わらず主人公に何があったのかどころか年齢も性別も一切わからないように書かれているところで、極端な話、上を向いたら涙が溢れない構造をしている地球外生物でも成立する — 溝口力丸 (@marumizog) 2020年2月11日 むずかしい問題だなぁと思いました。一回消して書き直したけど、まだ気が立ってるからさらに書き直すかも。 1万6千字。⇒7/7 2万3千字 ⇒7/9 4万4千字。(追記2万字は数作の紹介です。集計結果・ぼくの結論は7/4が最新です) {比率が増大する作品の集計漏れがあったので再集計・計算し、題名をあらためました} 記事中に、いくつかのblogの文面やツイートを無断引用してます。削除をご希望されるかたはご面倒おかけしますがご一報ください。 Q.なんでそんな行為をしたんですか? A.引用とは無断でするもの

                                          2010~20年に出た早川創元SFアンソロジー60点のうち、女子(に見えるキャラ)がメインの表紙は多く見積もり15点(25%)くらい。※ただし人型キャラが表紙にいる漫画的な絵柄の本のなかで若い女が描かれる確率は極めて高い - すやすや眠るみたくすらすら書けたら
                                        • 韓国の注目の女性作家チョン・ソヨンによるSF・幻想系を中心に集めた極上のSF短篇集──『となりのヨンヒさん』 - 基本読書

                                          となりのヨンヒさん 作者:チョン・ソヨン,吉川 凪出版社/メーカー: 集英社発売日: 2019/12/13メディア: 単行本この『となりのヨンヒさん』は韓国の注目の女性作家チョン・ソヨンによるSF・幻想系を中心に集めたSF短篇集。こういっちゃあなんだけど「となりのヨンヒさん」というのはそそられるところのないタイトルだ。他の短篇も「養子縁組」、「デザート」、「帰宅」、「雨上がり」とかそっけないワンワードのものばかり。 なので、事前予想としてはうーん、なんともいえないけどめっちゃつまらなそうだなあと思っていたんだけど、実際に読み始めてみれば、日常の風景や違和感がSF的事象や幻想的事象の介在によって増幅される丁寧丁寧丁寧な短篇集で、夢中になってあっという間に読んでしまった。各題からも「文学寄りなのかなあ」と思いきや伴名練の「なめらかな世界と、その敵」的な「アリスのティータイム」であったり、多くの

                                            韓国の注目の女性作家チョン・ソヨンによるSF・幻想系を中心に集めた極上のSF短篇集──『となりのヨンヒさん』 - 基本読書
                                          • 巨匠・筒井康隆、ついに「最後の作品集」を11月1日に刊行!名作の登場人物たちも勢揃いする極上の掌篇小説25篇、タイトルは『カーテンコール』

                                            巨匠・筒井康隆、ついに「最後の作品集」を11月1日に刊行!名作の登場人物たちも勢揃いする極上の掌篇小説25篇、タイトルは『カーテンコール』 11月1日発売予定 カバーは仮のものです 今月24日に89歳の誕生日を迎える文壇最後の巨匠、筒井康隆さん。その巨匠自ら、「これがおそらくわが最後の作品集になるだろう」と宣言する『カーテンコール』が11月1日、新潮社より刊行されます。 〈巨匠、最後の挨拶〉のような本書は、この3年ほど書き継いできた25篇もの珠玉の掌篇小説(ショートショート)集。 前作の短篇集『ジャックポット』が、「現代絵画や現代音楽に張合う小説を」という試みの実験作が多かったのに比べて、今回の『カーテンコール』は読者を愉しませることに主眼を置いた、エンターテインメント色の強い作品ばかりです(タイトル通り、これまでの愛読者への最後の挨拶(カーテンコール)みたいに)。 もとより、ショートショ

                                              巨匠・筒井康隆、ついに「最後の作品集」を11月1日に刊行!名作の登場人物たちも勢揃いする極上の掌篇小説25篇、タイトルは『カーテンコール』
                                            • 「怠惰や狂気や邪悪の中にも人間の魅力は潜んでいる」――芥川賞作家・小川洋子に聞く創作の秘密 | インタビュー | Book Bang -ブックバン-

                                              小川洋子さん この11月に『約束された移動』を上梓した小川洋子さん。同書は2009年から2019年までに発表された“移動する”物語6篇を収録した傑作短篇集で、ハリウッド俳優Bと客室係、ダイアナ妃に魅せられたバーバラと孫娘など、ユニークで密やかな物語が収録されている。同書に収録する各作品について、短篇を書くことなど、さまざまな観点から小川洋子さんに話をうかがった。<全2回> (インタビュー 五所純子) *** ——『約束された移動』に収められた六篇に散りばめられている食べ物も魅力的でした。 食べ物を書くのはあまり得意じゃないんですけど、これもチェスと同じでね。登場人物に言葉を交わさないで同じところにいてもらうにはどうするか。そう、食べてもらうんです。 ——「約束された移動」の主任さんの部屋には手作りのフルーツポンチやサンドイッチがあって、想像の旅をする「私」が船を停泊させて休む場所のようでし

                                                「怠惰や狂気や邪悪の中にも人間の魅力は潜んでいる」――芥川賞作家・小川洋子に聞く創作の秘密 | インタビュー | Book Bang -ブックバン-
                                              • 筒井康隆さん、作家生活61年目の思い「長篇はもう書きません、と言うか、書けなくなりました」…単独インタビュー<3> - スポーツ報知

                                                筒井康隆さん、作家生活61年目の思い「長篇はもう書きません、と言うか、書けなくなりました」…単独インタビュー<3> 今年で作家デビュー61年目を迎えた筒井康隆さん(86)の最新作「ジャックポット」(新潮社刊)が17日、刊行された。収録された14本の短編は、言葉の洪水が続く超実験小説「漸然山脈」や自身が20歳だった時からの時代をノスタルジックに振り返る「一九五五年二十歳」など話題作がずらり。中でも出版前から大きな話題となっていたのが、昨年2月に食道がんのため急逝した長男で画家の筒井伸輔さん(享年51)への思いをつづった私小説的作品「川のほとり」。日本文学界の巨星が熱狂的ファン「ツツイスト」待望の新刊に込めた思いを聞いた。(構成・中村 健吾) <2>から続く 今回の短編集に収録された「蒙霧升降(ふかききりまとう)」「一九五五年二十歳」の2編は筒井さん自身のこれまでの人生回顧にも読める作品だ。多

                                                  筒井康隆さん、作家生活61年目の思い「長篇はもう書きません、と言うか、書けなくなりました」…単独インタビュー<3> - スポーツ報知
                                                • 『すずめの戸締まり』新海誠監督が影響受けた、オススメしている作品 - 社会の独房から

                                                  今もっとも勢いのあるアニメ映画監督といえば『君の名は。』『天気の子』そして『すずめの戸締まり』と大ヒットを続けている新海誠で異論はないと思う。 今回はそんな新海誠監督に影響を与えてきたり、オススメしている作品をまとめたので紹介していく。SF小説と、ダメな大人が出てくる作品が多め。 ダ・ヴィンチ 2022年12月号 より ダ・ヴィンチ 2022年12月号 [雑誌] 『三体』 劉慈欣著 三体 作者:劉 慈欣 早川書房 Amazon 中国のSF作家劉慈欣による長編小説。現代でSF小説といえば本作といっても過言ではない程有名なので、読んだことない人でもタイトルぐらい聞いたことある人は多いだろう。全5巻と長いのでAudibleで聞くのもアリ。映像化も予定されている。 本の雑誌であるダ・ヴィンチらしい質問としてオススメの本の質問に対して新海誠監督は『三体』と答えている。スペースでも同じようにオススメし

                                                    『すずめの戸締まり』新海誠監督が影響受けた、オススメしている作品 - 社会の独房から
                                                  • 宮内悠介最新作にしてカジノでの勝敗がすべてを支配する特殊国家を舞台にした国盗り賭博小説!──『黄色い夜』 - 基本読書

                                                    黄色い夜 (集英社文芸単行本) 作者:宮内悠介発売日: 2020/07/03メディア: Kindle版『黄色い夜』は宮内悠介によるギャンブルものの長篇(というほど長くない)小説である。舞台となっているのは東アフリカのエチオピアと国境を接するEという国家。そこは産業がカジノのみという特殊な国で、バベルの塔のような巨大な螺旋状の塔の中には上に行けば行くほど賭け金が上がるゲームみたいなカジノが巣食っている。最上階での勝負に勝つことさえできれば、「国さえも手に入る」と言われている。 下層階のカジノにはE国の庶民が集まり、酒を飲みながらゲームを楽しむ。が、階が上がるにつれて、賭けの金額は上がっていく。刺激に飢えたヨーロッパのハイローラーたちは、六十階のヘリポートに直接乗りこんでくる。そのさらに上、最上階では賭け金の上限がないという。仮に世界ランクの富豪が最上階に乗りこみ、全財産をルーレットの赤に賭け

                                                      宮内悠介最新作にしてカジノでの勝敗がすべてを支配する特殊国家を舞台にした国盗り賭博小説!──『黄色い夜』 - 基本読書
                                                    • 数学を通してミステリの自由に触れる、華文青春本格ミステリの傑作──『文学少女対数学少女』 - 基本読書

                                                      文学少女対数学少女 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:陸 秋槎発売日: 2020/12/03メディア: Kindle版この『文学少女対数学少女』は前漢時代の中国を舞台にした本格百合ミステリ『元年春之祭』や学園百合ミステリ『雪が白いとき、かつそのときに限り』の陸秋槎による最新の邦訳作品。推理小説大好きな文学少女と数学少女を軸にして、数学とミステリの相似を探りながら犯人当てゲームに興じていく、4篇から成る連作短篇集だ。 対、とついていると一つの事件に対して、別のアプローチを探る二人が推理合戦でもするようなイメージが湧いてくるが、タイトルは麻耶雄嵩の 『貴族探偵対女探偵』へのオマージュであって、対決というよりも協同して一つの事件や謎に別角度から向かっていく作品である。文学少女にして推理小説大好きな少女は著者と同じ陸秋槎という名前を冠され、自伝的な要素も盛り込まれているとあとがきでは語られている。

                                                        数学を通してミステリの自由に触れる、華文青春本格ミステリの傑作──『文学少女対数学少女』 - 基本読書
                                                      • 2021年「ひとり本屋大賞」発表 - いつか電池がきれるまで

                                                        www.hontai.or.jp shosetsu-maru.com 「2021年本屋大賞」は、明日、4月14日の14時半にオンラインで発表されます。 いよいよ明日!4月14日(水)本屋大賞の発表です!いったいどの本が大賞受賞となるのかお楽しみに! 14時半から発表会の様子をネット中継いたします!!https://t.co/2h8N0DM1QA pic.twitter.com/zDctTklQsi— 本屋大賞 (@hontai) 2021年4月12日 昨年に続いて、新型コロナウイルスの影響で、オンライン中継での発表です。 去年の4月の時点では、まさか1年後もこういう状況が続いているとは思ってもみませんでしたが、これはもう仕方ありません。 というわけで、今年も人の迷惑かえりみず、やってきました「ひとり本屋大賞」。 僕が候補作全10作を読んで、「自分基準」でランキングするという企画です。 あく

                                                          2021年「ひとり本屋大賞」発表 - いつか電池がきれるまで
                                                        • 『君の名は。』への評がいかに快挙か;訳文と感想(ネットで読めるグレッグ・イーガン氏の映画・創作観) - すやすや眠るみたくすらすら書けたら

                                                          録り貯めたお正月の特番を消化しているかたのなかには、3が日に地上波初放送された『天気の子』や8日新年一発目の『金曜ロードSHOW!』神木隆之介さんなど豪華吹替キャストによる『パラサイト』をご覧のかたもいらっしゃるんじゃないでしょうか? 今回の記事は、そんな新海誠監督の前作で神木氏主演『君の名は。』にたいするグレッグ・イーガン氏の評価がいかにすごいか、氏のインタビューやエッセイ(『Avatar Review(「アバター」批評)』『No Intelligence Required Her, Ex Machina and Interstellar(知性は不要――「her/世界でひとつの彼女」、「エクス・マキナ」そして「インターステラー」にとって)』)などを勝手に訳して、氏の映画観・創作観と比べることで確かめてみようという感じのやつです。 訳文本文7700字{2230字+5529字(原文730語+

                                                            『君の名は。』への評がいかに快挙か;訳文と感想(ネットで読めるグレッグ・イーガン氏の映画・創作観) - すやすや眠るみたくすらすら書けたら
                                                          • 【今週はこれを読め! SF編】「珍しさ」より「質」を重視した、選りすぐりの十篇。(BOOKSTAND) - Yahoo!ニュース

                                                            過去十年に発表された日本SFの傑作選。『2』は「新鋭篇」で、採られているのは次の10篇。 小川哲「バック・イン・ザ・デイズ」◎  宮内悠介「スペース金融道」◎  三方行成「流れよわが涙、と孔明は言った」  酉島伝法「環刑錮」◎  高山羽根子「うどん キツネつきの」◎  柴田勝家「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」◎  藤井太洋「従卒トム」◎  野﨑まど「第五の地平」◎  倉田タカシ「トーキョーを食べて育った」◎  小田雅久仁「11階」 伴名さんが「編者あとがき」で収録作選定の基準について、〔今回は明確に「珍しさ」より「質」に寄った〕と明言するとおり、〈SFマガジン〉もしくは大森望篇オリジナル・アンソロジー《NOVA》初出の作品、さもなくばすでに短篇集もしくは年刊傑作選に収録されている作品がほとんどである。◎をつけた作品については、過去に本欄でも書評している。 本欄未紹介の二篇は、三方行

                                                              【今週はこれを読め! SF編】「珍しさ」より「質」を重視した、選りすぐりの十篇。(BOOKSTAND) - Yahoo!ニュース
                                                            • 読書週間チャートでわかるおすすめ本特濃タイプ|深緑野分

                                                              Twitterで上げたおすすめ本チャートです。 該当のツイートはこちらです。 https://x.com/fukamidori6/status/1718217293271089575?s=20 #読書週間におすすめしたい本 ということでチャート作ってみたよ!!!5時間くらいかかったよ!!! みんな遊んでみてね!!! 画像なのでALT付けたいんですがチャートを文字数内に入れられなかったので、少し後で読み取れるよう文章化しますね。 https://t.co/r3LHG6RRiu pic.twitter.com/Un0z5JDsFr — 深緑野分 (@fukamidori6) October 28, 2023 画像だと読み取りができないのでこちらにテキスト版を上げますね。(ALTだと文字数が足りなかった……) 分岐は基本的にYES/NOの選択になります。テキスト版なので、一度進んでからいったん戻

                                                                読書週間チャートでわかるおすすめ本特濃タイプ|深緑野分
                                                              • 『半分世界』の石川宗生による極上の奇想短篇集──『ホテル・アルカディア』 - 基本読書

                                                                ホテル・アルカディア 作者:石川 宗生発売日: 2020/03/26メディア: 単行本この『ホテル・アルカディア』は、第7回創元SF短編賞を受賞し、奇想短篇集『半分世界』で東京創元社からデビューした石川宗生さんの集英社からの最新作。 『半分世界』は、吉田大輔氏が突然19329人に増えてしまった状況を描く「吉田同名」。道路側の前半分が綺麗サッパリ消失している奇妙な家と家族4人と、それを観察していったいこれはなんなのだ、なぜこんなことが起こっているのかと議論し生活をウォッチする人々の奇妙な物語が描かれていく「半分世界」など、何を食ったらそんなことを思いつくんだ的な着想から緻密にその世界のロジックを構築していく高い技術が冴え渡った短篇集で、とにかく一読して僕は大好きな作品・作家になった。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp で、第二作となるこの『ホテル・アルカディア』にも相

                                                                  『半分世界』の石川宗生による極上の奇想短篇集──『ホテル・アルカディア』 - 基本読書
                                                                • 現代SF界を代表する作家テッド・チャン、待望の新刊 世界最高水準の短篇集『息吹』12月4日発売決定!!|Hayakawa Books & Magazines(β)

                                                                  現代SF界を代表する作家テッド・チャン、待望の新刊 世界最高水準の短篇集『息吹』12月4日発売決定!! 『三体』と並んで刊行が待たれていた超話題作!! テッド・チャンをご存知ですか? いちばん有名な作品は第一短篇集『あなたの人生の物語』表題作。「あなたの人生の物語」は、2016年に「メッセージ」のタイトルで映画化(監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 出演:エイミー・アダムス、ジェレミー・レナーほか)されてアカデミー賞ノミネートなど高い評価を得ました。 「メッセージ」には、新海誠さん、樋口真嗣さん、押井守さんといった日本映画界を代表する監督がコメントを寄せていました。新海誠さんは同作について、「テッド・チャンの名作『あなたの人生の物語』の、想像よりもずっと誠実な映画化。良かった。好きです。」と賛辞を贈っています。 『あなたの人生の物語』は2003年に刊行され、翌年「ベストSF2004」第一位獲得。表

                                                                    現代SF界を代表する作家テッド・チャン、待望の新刊 世界最高水準の短篇集『息吹』12月4日発売決定!!|Hayakawa Books & Magazines(β)
                                                                  • 『特別編 響け!ユーフォニアム』石原立也(監督)×小川太一(副監督)インタビュー【スタッフ&声優 短期連載:第1回】 | アニメイトタイムズ

                                                                    『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』石原立也監督×小川太一副監督インタビュー|今まで“森”を見ていた久美子が、“林”も見るようになった――彼女がどこへ着地するのかの指標にもなる作品【スタッフ&声優 短期連載:第1回】 京都アニメーションのハイクオリティな映像でも大人気の『響け!ユーフォニアム』シリーズ、約4年ぶりの新作がついに完成! 作品集『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話』(著:武田綾乃)の中編を原作とする完全新作『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』が、2023年8月4日(金)から全国74館の劇場で上映されます。 主人公となる、北宇治高校吹奏楽部の黄前久美子は、2年生の秋を迎えて新部長に就任。部長としての最初の大仕事は、12月に開催される、小編成によるコンテスト「アンサンブルコンテスト」です。代表チームを決める校内予選に向け

                                                                      『特別編 響け!ユーフォニアム』石原立也(監督)×小川太一(副監督)インタビュー【スタッフ&声優 短期連載:第1回】 | アニメイトタイムズ
                                                                    • 津原泰水の本棚 - ラヂオデパートと私

                                                                      リブロ渋谷店にて先々月から先月いっぱい開催され、好評を得ました「津原泰水の本棚」。そこで配布されましたリーフレットの内容を、ここに転記します。 実際に書棚を眺めることはせず、すべて記憶から引き出しておりますので、もし内容にまつわる勘違いなど御座いましたら、陳謝致します。 *** 好きな本を列挙しているときりがないので、基本的に一作家一作、二十代までに読んで「津原泰水」を形成してくれた本、という制約をみずから設けました。三十以降に読んだけれど、いまなお入手可能であることを知り、つい嬉しく……という本もすこし加わっています。 〈国内篇〉はまるで教科書の文学史年表のようなセレクション、〈海外篇〉はSFが結構な比率を占めるという、自分でも意外な結果となりました。まず父親が集めていた文学全集で小説に触れ、大学時代は「二日に三冊」のペースで海外SFを勉強していたことを思い出すに、順当な結果とも申せます

                                                                        津原泰水の本棚 - ラヂオデパートと私
                                                                      • 婚活帰りにBL漫画を買う

                                                                        日曜日、婚活パーティーに行ったのだけれども、残念ながらマッチングしなかった。仕方がないことだけれども、こちらが気になった人に選んでもらえなかったのはちょっと寂しい。そういうわけで、繁華街のツタヤで漫画でも買って帰るつもりで足を運んだ。 本当だったら地元の有隣堂で買うつもりだったのだけれど、持っていた歴史の本は読み終えてしまっていて、帰りの電車で手持ち無沙汰になるのが嫌だった。ついでに、部屋を掃除して見つけたクオカードを使いたかった。残念ながら、ツタヤではクオカードが使えなかったけれども。 買ったのは中村明日美子の短編集で、2冊買ったから、日曜日の帰りの電車と、昨晩の仕事帰りに分けて読んだ。この人はまず絵がきれいだから額縁に入れて飾っておきたいし、BLもGLも、感情がこじれてもお互いが本当に好き合っているのが感じられて素敵で、シリアスもコメディもうまくて、芸風が広い。何度読んでも飽きないし、

                                                                          婚活帰りにBL漫画を買う
                                                                        • 2019-2022年のウェブ小説書籍化① 第二次ボカロ小説ブーム、ウェブ小説書籍化の歴史において一貫して重要なプレイヤーであり続けてきたスターツ出版の姿勢|飯田一史|monokaki―小説の書き方、小説のコツ/書きたい気持ちに火がつく。

                                                                          2019-2022年のウェブ小説書籍化① 第二次ボカロ小説ブーム、ウェブ小説書籍化の歴史において一貫して重要なプレイヤーであり続けてきたスターツ出版の姿勢|飯田一史 2019年から2022年までの時期の流れをひとことで言えば、有料販売に力を入れた広義のウェブ小説投稿サービスの登場が相次いだが、いまだ成功した事例は登場していない、ということになる。 とはいえ、この間の動きは、ひとことに集約できないほど多様なものだ。それらを紹介しながら、なぜ日本では有料ウェブ小説がなかなか根付かないのか、一般文芸系ウェブ小説が成功する見込みはあるのか、といったことも考えていこう。 なろう系ラノベの動き、「やる夫スレ」の書籍化 2016年には出版社主催の公募小説新人賞とウェブ小説書籍化の比較がされ、後者の勢いが語られていた。それが2019年にはウェブ発の書籍に対する語りが「どうなんですかね」「出すぎちゃったから

                                                                            2019-2022年のウェブ小説書籍化① 第二次ボカロ小説ブーム、ウェブ小説書籍化の歴史において一貫して重要なプレイヤーであり続けてきたスターツ出版の姿勢|飯田一史|monokaki―小説の書き方、小説のコツ/書きたい気持ちに火がつく。
                                                                          • E・P・ミッチェルー透明人間や時間旅行を『ウエルズより先に』書いた男がいた【創作系譜論】 - INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

                                                                            お馴染み、カスガさんのツイートから。 同氏のプロフィル twitter.com 過去の活躍 togetter.com ※「創作系譜論」は一種の準タグです。この言葉で検索すると関連の記事が見つかります #無料で読める小説 『ミッチェル短篇集』https://t.co/bdF2CxTrwZ H・G・ウェルズ以前にタイムトラベル、透明人間、冷凍睡眠、人工知能等のアイデアを描いた19世紀SFの失われた巨人、E・P・ミッチェル短篇の日本語訳。 特に以下の三作品は、現代のSFアンソロジーに載っていても違和感のない作品です。 pic.twitter.com/U555WngK3u— カスガ (@kasuga391) April 21, 2020 『逆回りした時計』https://t.co/5LRU3Yyaob 19世紀のアメリカ人青年ふたりが、「時間を逆行する時計」によって先祖の住む16世紀のオランダを訪

                                                                              E・P・ミッチェルー透明人間や時間旅行を『ウエルズより先に』書いた男がいた【創作系譜論】 - INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-
                                                                            • 金持ち父さんになるために… : 優待と配当が届きました〜( *´艸`)

                                                                              2021年06月19日17:23 カテゴリ株主優待配当金 優待と配当が届きました〜( *´艸`) 今日は游タイムまで330の『大海物語4スペシャル』から これが100回転手前で当たり 久々に早めの当たりですが通常 この梅では4000回転越え回して単発6回連続中 そして游タイムまで90ほどの『わんわんパラダイスV』 30回転ほどで当たりの通常からの引き戻しでラッシュ ショボ連だったけど300分の1とかで確変引けよですね 他に打ちたいの無いし即ヤメ そして帰りにポイントサイトの稼ぎでガソリン 3400dポイントでお支払いです 毎日すげ〜節約になるね 『PeX』や『PointExchange』は色んなサイトのポイントを一箇所に移せるので便利だよね ポイントサイトで小遣い稼ぎに興味ある方は サイドバーにお勧めサイト載せてるので見てみてね ちなみに今回は特別に僕が稼いでる順番にポイントサイトを紹介し

                                                                              • はるかな未来から少し先のニューノーマルまで、パンデミック後の多様な世界を表現する韓国SFアンソロジー──『最後のライオニ 韓国パンデミックSF小説集』 - 基本読書

                                                                                最後のライオニ 韓国パンデミックSF小説集 作者:キム・チョヨプ,デュナ,チョン・ソヨン,キム・イファン,ペ・ミョンフン,イ・ジョンサン河出書房新社Amazonこの『最後のライオニ』は韓国の作家6人がパンデミック、感染症をテーマに短篇を書いたSFアンソロジーである。韓国語の原書が刊行されたのは20年9月のことで、ようは世界が新型コロナウイルスの存在を知ってから書かれた作品ということになる。 近年、SF作家らに未来を予測、あるいは自由に想像してもらおうとする試みが世界で行われるようになっていて、日本でも日本SF作家クラブ編によるアンソロジー『ポストコロナのSF』が刊行されたが、本作もそうした流れに連なる一冊である。黙示録、感染症、ニューノーマルと作品は描き出すテーマと情景ごとに分けられており、ポストコロナにとどまらないSFが揃っていて大変おもしろかった。 この記事の最後で少し書いているが、2

                                                                                  はるかな未来から少し先のニューノーマルまで、パンデミック後の多様な世界を表現する韓国SFアンソロジー──『最後のライオニ 韓国パンデミックSF小説集』 - 基本読書
                                                                                • 中国の思想と文化が色濃く反映された、傑作ぞろいの中国史SFアンソロジー!──『中国史SF短篇集-移動迷宮』 - 基本読書

                                                                                  中国史SF短篇集-移動迷宮 (単行本) 中央公論新社Amazonこの『移動迷宮』は近年躍進著しい中国SFの中でも、中国の歴史を扱ったSF短篇を集めたアンソロジーである。SFジャンルは近年それなりに市民権を得てきたといっても、特に翻訳ではまだごく一部の出版社(早川とか東京創元社とか竹書房とか)が刊行することがほとんどだ。だが、本書は普段SFを出さない中央公論新社からの刊行で、その意味でも中国SFの翻訳刊行の輪が広がってきたな、という感じがある。*1 で、この『移動迷宮』だけれども、まず特徴は中国史を扱った作品を集めているところにある。とはいえ、中国史を扱った作品自体は、これまでのアンソロジーや邦訳作にも多数存在する。『時のきざはし 現代中華SF傑作選』の表題作は武帝が関係してくる歴史と時間についてのSFだし、『月の光 現代中国SFアンソロジー』には我々のよく知る歴史が逆行していく世界で中国史

                                                                                    中国の思想と文化が色濃く反映された、傑作ぞろいの中国史SFアンソロジー!──『中国史SF短篇集-移動迷宮』 - 基本読書