◇社会の支援こそ必要 知的障害や高齢という事情を抱えつつ、社会と刑務所を行き来する人たちがいる。なぜそうなるのか。身元引受先のない出所者の約15%を自立困難な障害者、高齢者が占めるとの試算もあり、社会支援の乏しさが背景に浮かぶ。裁判員裁判を通じて「罪と更生」が改めて注目される中、刑事司法と福祉のはざまに落ち込んだ「累犯者」の姿を追った。 ◇52歳・知的障害者「刑務作業楽しい」 被告席に立つのは3度目だった。今年1月、関西地方の簡易裁判所。京都府の男性(52)はさい銭を盗んだとして2度目の執行猶予中、今度は自転車窃盗の罪に問われた。知的障害があり、知能は5~9歳程度。 弁護人「自転車を盗んだらどうして裁判になるんですか」 男性「窃盗やから。紙(起訴状)に書いてますから」 弁護人「前の裁判で言われたことを覚えていますか」 男性「剣道の練習を頑張りなさいと」 どこかすれ違うやりとり。代わって検察