声かけや気遣う程度では、校長は責任を果たしたといえない この裁判で大きな争点となったのは、校長に注意義務(安全配慮義務)違反があったかどうかです。安全配慮義務とは、労働者の心身の健康を損なうことがないように注意する義務を使用者は負っているという考え方です。最高裁判例でも認められた法理で、民間(私立学校などを含む)はもちろん、公務員にも認められます。 当時の校長は「体調は大丈夫ですか」「仕事の進み具合はどうですか」「仕事の配分を考え、優先順位をつけて効率的に業務を進めてください」などの声かけを西本さんに頻繁に行っていました。こうしたことから、安全配慮義務は果たしていた、と府・学校は主張しました。 この主張を裁判所は退けます。判決文から引用します。 「校長としては、声かけや面談などを行うだけでなく、原告の業務負担を改善するための具体的な措置を講じる必要があったというべきであり、声かけや面談など