FGOアニメのマシュの声優は未来日本語に向かう音韻変化を遂げているが、イシュタルの声優は母音無声化しない保守的な日本語、さらにジャガーマンの声優は忠実にガ行鼻音化する極めて保守的な発音の日本語を使うため、彼らはどんなに若作りしようとババァ声に聞こえる
文字論研究史を概説している Daniels (63) に,日本語の仮名(平仮名と片仮名)がモーラに基づく文字であることが言及されている.この事実そのものは日本語学では当然視されており目新しいことでも何でもないが,音節 (syllable) ではなくモーラ (mora) という音韻論的単位が言語学に持ち込まれた契機が,ほかならぬ日本語研究にあったということを初めて知った.日本語の仮名表記や音韻論を理解・説明するのにモーラという概念は是非とも必要だが,否,まさにそのために導入された概念だったのだ. The term 'mora' was introduced into modern linguistics by McCawley (1968) to render a term (equivalent to 'letter') for the characters in the two Japa
※今回はあまりゆるくないですが、次回はこれを要約したゆるい動画が上がるので、途中で力尽きた方は次回をお待ちください! 【川原先生のX(Twitter)はこちら】 https://twitter.com/PhoneticsKeio 今回は初の試み「ちょいガチ言語学ラジオ」です。「"いっひき、にぴき"はなぜダメなのか」「音の並びは意外と制約だらけ」「激震を与えた最新理論 : 最適性理論」など音韻論の専門家・川原繁人先生をお呼びして音韻論について教わります。 【目次】 00:00 初の試み「ちょいガチ言語学ラジオ」 03:38 そもそも音韻論ってなに? 21:12 「にせたぬきじる」と「にせだぬきじる」 34:21 具体的なテーマ : 外来語からラップまで 47:46 音の並びは意外と制約だらけ 1:13:06 「いっひき、にぴき」はなぜダメなのか 1:27:25 激震を与えた最新理論 :
音韻論と音声学の違いがよく分からないのですが、具体例を用いて教えてください。 日本語の「シ」をキーボードから打ち込むときに "si" と打つのが音韻論的発想で、"shi" と打つのが音声学的発想です。どちらが正しいか間違いかという問題ではなく、同じ「シ」を表示させるための2つの異なるアプローチだということです(ローマ字の種別としては、前者が訓令式ローマ字、後者がヘボン式ローマ字と呼ばれています)。 私たちは、日本語「サ」「ス」「セ」「ソ」を発音するときに同一の子音を用いています。しかし、「シ」だけは異なっています。もしここで「サ」「ス」「セ」「ソ」と同じ子音を用いるならば、「シ」ではなく「スィ」の発音となるでしょう。「シ」の子音は、むしろ「シャ」「シュ」「ショ」と共通しているのです。 このように「シ」の子音は「サ」「ス」「セ」「ソ」の子音と異なるのだ、ということをめざとく(耳ざとく)指摘す
「特殊音節」の理解なのか、そもそも「音韻意識」が悪いのか?? ウチの末っ子くんがなかなか苦戦しております。 特殊音節には 「拗音(きゃ・しゅ・ちょ等)」 「促音(小さい〈っ〉」 「長音(ある音節の母音を長くのばした発音。おかあさん、ケーキ等)」 「撥音(〈ん〉と表記される音の名称。でんわ、びょういん等」 の4つとその組み合わせがあります。 音韻意識とは、 言語の音韻情報を意識し、それを利用することです。 例えば… 聴覚呈示された「た ぬ き」という単語を3つの音(「た」「ぬ」「き」)という音韻単位に分割できること(Segmentation) 「た ぬ き」の真ん中の音は「ぬ」であると単語中の特定位置にある音韻情報を抽 出すること(Isoration) 「た ぬ き」の「た」を抜かして答える(「ぬ き」)というように、単語中の特定音や特定位置の音を削除すること(Deletion,Elisio
JaLC IRDB Crossref DataCite NDL NDL-Digital RUDA JDCat NINJAL CiNii Articles CiNii Books CiNii Dissertations DBpedia Nikkei BP KAKEN Integbio MDR PubMed LSDB Archive 極地研ADS 極地研学術DB 公共データカタログ ムーンショット型研究開発事業
This study investigated cognitive processing during silent and oral reading. We focused on the allocation of cognitive resources required for reading comprehension and phonological representation. We examined the utilization of cognitive resources by observing the effect of concurrent tapping on the comprehension of visually presented sentences. We also analyzed the impact of the presentation of i
阿久津智著 定価10000円+税 A5判上製 408頁 ISBN978-4-8234-1227-1 白井敬尚形成事務所(ブックデザイン) ひつじ書房 Conceptual History of Phonetic and Phonological Terms Akutsu Satoru 【内容】 本書は、音声・音韻分野における用語の歴史に関する研究書である。本書では、語義や語形の変化の記述を中心とする従来の語史(語誌)研究に、専門的な概念の形成や名称の成立の過程を重視し、それを文脈の中で、他の語(概念)と対比しながら分析するという概念史的な方法を加えるという試みを行った。取り上げた用語は、「音声」「発音」「発声」「音節」「音素」「音」「音韻論」「音声学」「音韻学」「半濁音」「音韻」である。 【目次】 まえがき 凡例 I 総論 第1章 語史(語誌)と概念史 1 はじめに 2 語史(語誌) 2・
“古今文字集成”由Jerry設計、維護 Powered by PHP 7 and Bootstrap v3.3.6 歡迎轉載,功德無量! 轉載時請註明「轉載自“古今文字集成”」。 @2024,古今文字集成 域名:www.ccamc.co | www.ccamc.org 博客:blog.ccamc.co | blog.ccamc.org
Online ISSN : 1884-1236 Print ISSN : 0022-7668 ISSN-L : 0022-7668
ポストコロナ時代の日本の針路 「国力・国富・国益」の構造から見た日本の生存戦略(2021/3/16) ■ゲスト 船橋洋一(実業之日本フォーラム編集顧問、一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長、元朝日新聞社主筆) ■聞き手 白井一成(株式会社実業之日本社社主、社会福祉法人善光会創設者、事業家・投資家) 白井:実業之日本社は、雑誌『実業之日本』を創刊した1897(明治30)年6月10日を、創業の日と定めています。東京専門学校(現在の早稲田大学)出身の光岡威一郎が、親友で読売新聞記者だった増田義一と創刊したのですが、ほどなく光岡が病に倒れたため、増田が雑誌を引き継ぎ、出版社として大きく発展させます。 『実業之日本』は経済誌として知られ、1895(明治28)年創刊の『東洋経済新報』と同じく長い歴史を持つものでしたが、諸事情から2001年に休刊しました。今年(2021年)で休刊から2
二重子音字がフランス語の数多くの語の正書法綴りに出現するにもかかわらず、 そのような語の発音に長子音が現れることは比較的稀である。 以下のような例が確認される[3]。 [ʁʁ]という発音が、動詞courir(「走る」)とmourir(「死ぬ」)の未来形と条件法に出現する。例えば、条件法のil mourrait [ilmuʁʁɛ](「彼は死ぬだろう」)は半過去のil mourait [ilmuʁɛ] (「彼は死につつあった」)と対立をなす。未来形と条件法で正書法上<rr>を持つ他の動詞は単に[ʁ]と発音される――il pourra(「彼は出来るだろう」)、il verra(「彼は見るだろう」)。 接頭辞in-がnで始まる語幹に結合する場合、形成された語は任意で長子音[nn]としても発音される。これはim-、il-、ir-などの接頭辞でも同様である。 inné [in(n)e](「生来の」)
昨日の記事「#4331. 英語史のための音声学・音韻論の入門書」 ([2020-11-26-1]) で,音声学 (phonetics) と音韻論 (phonology) の両分野の入門的参考文献を紹介したが,同じ言語音を扱う分野ながら両者がいかに異なるのかという難しい問題について,改めて考え出した.この問題については,カジュアルながらも「#3717. 音声学と音韻論はどう違うのですか?」 ([2019-07-01-1]) の記事で紹介したが,両者の区別について,もっと専門的な立場からの文章を引用したい.島岡ほか(編)の専門的文献解題の冒頭 (5) からの言である. 音声学 (phonetics) と音韻論 (phonology) はどちらも音声を研究する学問であるが,その研究方法は質的に異なっている.すなわち,音声学は,音声の正確な観察とその記述および音声が生じる過程や機構の解明をねらいと
Kokoha Doromamire No EDEN -There is no eden of goddess.- ヒプマイ部屋です、短編とたまに更新される中編を中心としています 直接的ではありませんが性的な表現・暴力表現を含む場合があります。ご注意ください。 一郎と左馬刻ヒロイン:幼馴染の鈴永 藍子さん 寂雷と乱数ヒロイン:女医の葉山 あかねさん その他:名字 名前さん 幼馴染: 女医: その他: ヒロインは二人、それぞれが一郎と左馬刻編、寂雷と乱数編に対応しております。 ヒロインは同時には登場しません。 世界軸は同じですので、それぞれのキャラが別のヒロインに言及することはあります。 その他の名前変換は一部の短編にのみ使用します。 基本的に時系列順でお話が増えていきます。下に行くほど新しいです。 シリーズは基本的に上から順番に読んでいただくことを想定しています。 スマートフォンでは右上のメ
NONSTOP JP Ver.お披露目! 久しぶりのブログです、下半期一本目のエントリもOH MY GIRLことおまごるになりました 6月29日、おまごる公式Twitterから”NONSTOP”の日本語バージョンの音源配信がいきなり告知されました。 #Eternally Live ver. MV ▶https://t.co/SEzer1AW88#Nonstop MV ▶https://t.co/3sO3SzN238 日本オリジナル曲含むサマーソング3ヶ月連続配信決定! 第一弾!8冠達成の大ヒット曲の日本語ver. 「Nonstop Japanese ver.」絶賛音源配信中! ▶https://t.co/oQcTM7rw8E#OHMYGIRL #OMG #おまごる— OH MY GIRL JAPAN OFFICIAL (@OHMYGIRLJAPAN) 2020年6月28日 さっそくNONS
目次. 第1章 オノマトペとは何か第2章 音韻・形態的考察第3章 統語的考察第4章 意味的考察第5章 範疇化:語はどのような場合にオノマトペであるか. 上記内容は本書刊行時 ...
京王電鉄株式会社と国立大学法人電気通信大学 坂本真樹教授との共同出資により設立された、感性AI株式会社は、2023年8月10日(木)にマーケティングソリューション「感性AIアナリティクス」のバージョンアップを実施する。 このバージョンアップに伴い、感性AIアナリティクスの音韻印象評価機能の一部を試すことのできるサービス「音韻診断」の無料提供を8月3日より開始した。 同社は、今後も、ユーザーからの要望を反映した機能アップデートや、精度向上に向けたAIデータ拡充を継続的に実施し、ユーザーに満足してもらえるサービスの提供に向けた開発・改善を続け、ものづくりにおける感性価値創造を目指すとのことだ。 「感性AIアナリティクス」について 同ソリューションは、消費者データを学習したAIが、「ネーミング」「キャッチコピー」「パッケージ」といった商品の重要な要素の感性データを瞬時に出力するイメージ分析AIツ
放送の様子はこちら(下記サイトでは音声配信も行っています)。 「雑音が混じっても音が正確に聞こえる原理~「音韻修復」とは何か」(Screenless Media Lab.ウィークリー・リポート) 2020.3/20 TBSラジオ『Session-22』OA Screenless Media Lab.は、音声をコミュニケーションメディアとして捉え直すことを目的としています。今回は、音が途切れているにも関わらず、私たちがその音を正しく聞き取るメカニズムについて紹介します。 ◾音韻修復とは 私たちの社会は音で溢れており、音だらけの中を生きていると言えます。そのような環境においては、例えば以前紹介した「カクテルパーティー効果」や「選択的聴取」のように、自分にとって必要な音は自然と聞こえるようになる仕組みが、私たちの多くに備わっています。 音を聞き取る力に関連する現象は他にもあります。 通常、ある音
ウクライナとロシアのちがいの問題を、ウクライナ語とロシア語に焦点をあてて考えてみます。 それは「音韻論的な言語問題」といってもいいもので、「身体感覚の統合」の問題です。 南部の港湾都市オデッサ(写真①)では、人びとはおもにロシア語を話しています。オデッサ近郊の村では、おもにウクライナ語を話しているところもあるようです。他方、首都キエフ(写真②)では、ロシア語もウクライナ語も話されています。最東部の都市ハリキウ(写真③)でも同様です。しかし、公共の広告や地下鉄内の公共放送はすべて、ウクライナ語に統一されています。ロシア語で日常生活はできても、「公共空間」で表現されていることは国語であるウクライナ語が分からなければ、十分には理解できません。 写真①:黒海に臨むオデッサ。手前は、映画『戦艦ポチョムキン』で有名な「オデッサの階段」。写真の左手方面が、現在ロシアに占領されているクリミア半島。 写真②
This paper describes a change in the degree of the independence of the postpositional mora by taking notice of the position of kana in the scores of shomyo, Japanese Buddhist chants. An investigation into the scores of the Nanzan-shin School, the Soo-in School and the Tendai School revealed that the postpositional mora acquired its independence as a unit of syllabication during the Medieval Japane
〘 名詞 〙 ある言語のある音の発音が時代とともに一斉に変化すること。普遍的変化と個別的変化とに大別される。日本語において、前者の例として、ハ行子音がfからhに変化したとか、語中・語尾のハ行子音がfからwに変化したなどの類、後者の例として、「そそく」が「そそぐ」に変化したなどの類がある。 言語音声における変化。言語音声は一部ずつ絶えず変化している。そのため、小規模でわずかな音声の変化も、長い期間を経れば、音韻体系までも大きく変貌(へんぼう)させてしまう。音韻変化には、〔1〕個々の音が内的原因から個別的に変化する場合と、〔2〕隣接する音の影響により条件的に変化する場合とに分けられる。 〔1〕個別的変化は、古い世代と若い世代との間にみられる発音方法の相違に基づくとする説と、調音運動における労力をできる限り節減しようとする経済的傾向に帰因するという説がある。 〔2〕条件的変化については、ある音が
以前,人から薦められて面白かった本について書いた(美しい星 (三島由紀夫)).今回のエントリでは,「古代国語の音韻に就いて」(橋本 進吉 (著),岩波文庫)を紹介したい. 「古代国語の音韻に就いて」は,大学に入学した年,文系の友人にすすめられて読んだ本である.大学で,本格的な学問や自由な雰囲気などを初めて経験し,全国から集る様々な個性を持った友人に刺激され,熱に浮かされたようになっていた時期だったように思う.このようなときに薦められた本であるから,印象に残っている.岩波文庫であることと,題名にある「古代国語」や「音韻」等の言葉から,大学生ともなると難しそうな本を読むものだと感心した記憶がある.一方で,薄い本であるし,大したことはないだろうという,若い頃にありがちな反発のような感情も覚えた.考えてみれば,この本を薦めてくれた友人も,私と同様,大学進学後の熱に浮かされたような状態でこの本を読み
音韻論を身近に感じる方は少ないと思いますが、20世紀でもっとも影響力のあった思想の一つである「構造主義」に大きな影響を与えた研究、といえばイメージが変わるのではないでしょうか? また、私たちは普段使う日本語の「音」について知る機会が、あまりありませんよね。音韻論を知ることで、当たり前すぎて気づかなかった日本語の特徴を学ぶことができます。 そこで、この記事では、 音韻論の定義・意味 音韻論の具体的な研究内容 音韻論と構造主義との関係 などをわかりやすく解説します。 興味関心のある箇所だけ構いませんので、読んでみてください。。 このサイトは人文社会科学系学問をより多くの人が学び、楽しみ、支えるようになることを目指して運営している学術メディアです。 ぜひブックマーク&フォローしてこれからもご覧ください。→Twitterのフォローはこちら
形態音韻論(けいたいおんいんろん、英語: morphophonology)または形態音素論(けいたいおんそろん、英語: morphophonemics)は、言語学の一分野で、形態変化に伴う音韻の交替を扱う。形態論と音韻論の境界的な分野である。 概要[編集] 形態音韻論が使われる典型的な場合に、英語の規則的な名詞複数形や動詞過去形がある。名詞複数形は単数形の語末が歯擦音ないし破擦音ならば /ɪz/、それ以外の無声音ならば /s/、有声音(有声子音および母音)ならば /z/ を加えることによって作られるが、これを音韻論によって扱うことはできない。なぜならば複数語尾と無関係な場合には母音のうしろに /s/ が続くことは珍しくないためである(house /haʊs/ など)[1]。このように(音韻的でなく)形態的な条件のもとで規則的に異なった音が現れる場合、形態音韻論では同じ形態音素の列(英語の複
英語の音韻論と、英語の発音と、ときどき日常。このブログは、筆者の大学・大学院での主専攻である英語音韻論や英語音声学を主とし、英語学、言語学、日常のこと、私の興味のあること等を纏めたものである。 筆者は2024年3月に大学院博士前期課程を修了。 質問等コメント大歓迎。 ※ 転載禁止 ※ 引用禁止 英語におけるtの弾音化が、どういった条件で起こる(=生起環境)のかについては、前回のブログ記事において簡単に記述した。 (2)/t/→[D] / [+sonorant] ___ a(#(#))[+syllabic], b〈-stress〉 ただし、次の条件を設ける。 a. aの条件がなければbの条件があり、aの条件があればbの条件はない。 b. aの条件は2語にまたがる場合の弾音化のみ適用 c. 人為的にゆっくりと話す場合、(2)は適用されない。 引用: 歯茎閉鎖音の弾音化(4) しかしながら、tの
朝寒やフレーク浸る乳の色 高柳克弘 俳句は調べが重要。音韻が重視される所以です。とはいえ、わざとらしいほど同じ音が続くと作者の意図が透けてしまいます。ドヤ顔が見えてしまう訳ですよね。抑制を効かせながらさりげなく用いるのがポイント。ではどのくらいが適当なのか。掲句は、さすが程よい匙加減だなと感心してしまいます。 朝寒は晩秋の季語。「晩秋になると朝は著しく気温が下がり、手足の冷たさを覚える。いよいよ冬の近いことが感じられる」と歳時記に。冷え冷えとした晩秋の朝に、コーンフレークを食べている作者。肌寒いのに、食べ物まで冷たい。一層身にしむように感じられます。 この乳はもちろん牛乳。わずかに青みがかった白でなければなりません。豆乳だったら?少し黄色がかっている分、多少暖かく感じられるでしょう。 シリアルという言葉の代わりに、フレークと言っているのがポイント。フレーク、浸すとHの音が続いてふやけた感
はじめに『デジタル時代の中国学リファレンスマニュアル』に収録されている野原将揮『解説:音韻学~中古音と上古音』は、中古漢語と、上古漢語の近年の研究動向とその結果に基づく理論を簡潔かつ十分に紹介しており、初学者に有用な文章である。しかし、誤りもある。 特に見逃せないほどひどい問題を抱えているのがこの記述である。 20世紀後半以降、韻部研究における最も重要な成果は「一つの韻部に対して、母音は一つであるとは限らない」という点が明らかになったことです(根拠となるのは前舌母音仮説、円唇母音仮説、六母音仮説等と呼ばれるものですが、ここでは仮説の説明はしません)。[……]従来の研究では元部に *-an というように、ただ1種類の韻母を認めるだけでした。[……]しかし近年の研究では、元部に主母音の異なる3種類の韻母(*-an、*-en、*-on)を認めます。 野原将揮(2021: b44)3つ目の文章だけ
古代中国の文章・文物・歴史・研究について。とりあえず漢文(古典漢語)や漢字について徒然なるままに、また学会覚書、購書記録なども記していきます。 古典漢語(漢文)を読むにあたって、音韻はやっぱり避けて通れないところ。大学院の指導教官は、読みにくいところにさしかかると、中国語で読んで調子のよい方で句読を打ってました。 自分は歴史学徒なので、古典漢語の音韻とは縁遠いのですが、修士一年の時に読んだ、宇都宮清吉先生の『漢代社会経済史研究』1955年に収録されていた、王褒の「僮約」という奴隷との契約文書が韻文の形で残っているのを、脚韻を手がかりにして鮮やかにテキストを校勘されていたのを読み、音韻の重要性を初めて知りました。論文そのものも、重要な問題を数多く指摘しており、古代四川の状況を考える上で示唆に富む素晴らしい論文だと思います。 でも、素人にはなかなか理解しづらく、難しいのが中国語の音韻学。 なか
*『CROSSOVER』47(九州大学大学院地球社会統合科学府、2022年3月)の「自著を語る」というコーナーに、昨年12月に出た拙書『形と形が出合うとき』をめぐる文章を寄稿しました。大学の広報誌という、やや手に入れにくい媒体ですので、多くの方々に読んでいただけるよう、noteにも貼り付けておきます: ========== 2021年12月、九州大学出版会より『形と形が出合うとき――現代韓国語の形態音韻論的研究――』を上梓した。第12回九州大学出版会学術図書刊行助成対象作である。 本書は、私の初の著書ではあるが、完全な書き下ろしではなく、これまでに私が学術雑誌に発表してきた論考群のうち、とりわけ韓国語(朝鮮語)の形態音韻論に関わるものを選択的に集めて編集した、いわばコンピレーションとでも言うべき著作である。もちろん、書物として編み直すにあたって、諸々の鈇鉞を加えてあり、初出論文と異なる点も
複合名詞になる(合成語が構成される)とき、変音現象がおこることがあります。語の構成要素の音素が変化する現象のことを変音現象と呼びます。以下ではその現象9つの解説を例を併せて解説していきます。 連濁(れんだく) 後項成分の語頭音が濁音になる現象。 ほん(本)+たな(棚)➔ほんだな(本棚) hon+tana➔hondana 他の例:本棚 長靴 円高 山桜 三千円 火花 肩車 他にも細かい規則がある。 連濁は修飾している時に起こり易い 尾ひれ 尾びれ(←修飾しているから連濁発生) 後部要素が外来語のときは,連濁は起こりにくい 「雨ガッパ」 しかし、古くからあるものは起こる時がある。これは、外来語が日本語に昇格した証として捉えることができる 連濁を起こしにくい状況 格関係がある複合語(稲刈り)や、複合語全体が「~する人」となっているものは連濁を起こしにくいです。以下、3つを紹介します。 ①並列関係
音声学と音韻論の違い音声学(phonetics)と音韻論(phonology)は、どちらも「音声」を扱うということで似ているのですが、以下のような違いがあります。 以下、音声学と音韻論、それぞれ私の理解している範囲で違いを書きたいと思います。 音声学音声学のほうは、「言語音の諸特徴を記述する」とありますが、人間が発するあらゆる音声を対象にします。 実際に使われている音を対象にし、その音がどう調音され、どう伝達され、どう知覚されるのかを研究する分野です。 音声学とその3つの分野(調音音声学・音響音声学・知覚音声学)について ↑詳しくはこちらもご覧ください。 また、音声学では音声を記述するといいましたが、記述にあたっては、国際音声記号(IPA)という国際的な音声記号があります。 音声学の特徴として、ある言語に限ったことではないということがあります。人間が使う「音声」に着目しているので、ユニバー
表示モード データ詳細 DB 論文集 文献ID 200000201788 研究図書室請求記号 815/Mi17 論文著者名 西山 國雄 論文著者名別表記 論文名 活用形の形態論,統語論,音韻論,通時 論文名別表記 図書編著者名 三原 健一;仁田 義雄 図書編著者名別表記 誌名・書名 活用論の前線 シリーズ 誌名・書名別表記 巻号 ページ pp.153-189 総ページ数 発行 くろしお出版 発行年月 2012.11 発行国 キーワード 章タイトル・目次 1.本稿での方法論 2.学校文法の問題点 3.仮定形 4.連用形 5.未然形と通時的視点 6.音韻規則の分類と帰結 7.動詞連体形の形態論,統語論,音韻論,そして歴史的変化 8.古語助動詞の終止形と連体形 9.古語形容詞の終止形と連体形 10.準体詞「の」の出現と発達 11.結語 分野 日本語史;文法 論文著者名ローマ字 nisiyama
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