中国の会社法では、企業内に中国共産党委員会(党委)を設置することが義務づけられている。この法律が、中国内で事業を展開する西側諸国の企業にも適用され始めたとき、企業側は当初、それをさほど重くは受け止めていなかった。 たとえば、英大手金融機関HSBCホールディングスは2022年7月、外資系金融機関としては初めて、中国の証券子会社内に党委を発足させたが、同社はそのとき、これによって同社の方向性が左右されることはないし、党委が日常業務で正式な役割を担うこともないと述べていた。 しかし、中国全国人民代表大会の開催を前にした2023年2月末、4大監査法人の1つである会計事務所EY(アーンスト・アンド・ヤング)の中国部門(EYチャイナ)北京支社内に設置された党委が、党員に対して党員バッジの着用を求めたことが報道された。 西側諸国の金融機関内に党委が設置されたからといって、中国共産党がその顧客の資金を管理