要点 細胞膜構成要素である脂質分子で覆われた人工細胞中でDNAによるコンピューティングに成功した 論理ゲートの一種であるAND演算を行い、入力のDNA分子を変換し、RNAとし、出力した 出力されたRNA分子の情報を、ナノポアを用いた電流計測により電気信号として取り出せた 概要 東京農工大学工学研究院生命機能科学部門の川野竜司テニュアトラック特任准教授、東京農工大学大学院生の大原正行(当時)、東京工業大学情報理工学院情報工学系の瀧ノ上正浩准教授のグループは、DNA分子を用いて計算を行うDNAコンピューティングの計算結果である出力分子をナノポア[用語1]と呼ばれるチャネル型の膜タンパク質により、電気情報として検出することに成功しました(図1)。私たちが日常使用しているコンピュータや、それらを組み込んだ工学ロボットは、電子を情報媒体として2進数の計算情報処理を行います。一方、分子ロボット[用語2