したがって、君主は、平時においては傭兵に、戦時にあっては敵に剥奪されてしまうのだ。そもそも、傭兵にとっては給料を受け取るため以外に、戦場にとどまる動機も愛着もまったくない。その給料の額たるや、君主のために生命を投げ出すにはあまりに少ないのだ。 君主が戦争をしないうちは兵としてつかえようとするが、いざ戦争になると戦線から逃げ出すか、どこかにいなくなるかのどちらかだろう。 これは今日のイタリアの没落が、長年にわたって傭兵に頼り切っていた結果であることを見れば明らかだ(「君主論」執筆時のイタリアは統一国家でなく、各都市が独立国の様相で乱立していた)。傭兵軍が勇敢に見えるのは仲間内にいるときだけで、外国軍がやってきたとたんに化けの皮がはがれてしまった。こうして、フランスのシャルル王は、実際に戦うことなく、チョーク1本で印をつけるだけでイタリアをまんまと占領した。 外国軍頼みで国を乗っ取られることも