TPPに関する議論の中で、ISD(Investor-State Dispute settlement 投資家対国家紛争仲裁)条項が盛んに取り上げられている。同時に、TPP反対派のISD条項に対する誤解、あるいは牽強付会が目につくので、できるだけ正確かつ客観的に検討してみる。 まず、本来の、あるいは一般用語としてのISD条項は、 ・開発途上国において、先進国の投資財産を、投資受入国である開発途上国による収用や法律の恣意的な運用などによるリスクから投資家を保護する目的で、 ・投資受入国が投資保護協定(※)に違反したことにより損失をこうむった投資家が、投資受入国を訴えることを想定し、 ・公平を期すために、投資家の本国の裁判所でも投資受入国の裁判所でもない、第三者機関(国際仲裁機関)による仲裁を受けるための規定 である。 ※ 投資保護協定はIIA(投資保護協定)やBIT(二国間投資協定)と