広い室内にクリスマスツリーが飾られていた。「ほら見てごらん。きれいだね」。バギーと呼ばれる車椅子に乗った女児(8)は、そう話しかけられてうれしそうな表情。それを見て、この人の目尻がさらに下がる。 1986年の入局以来、アナウンサーとして30年勤務したNHKを昨年、早期退職。小児・周産期が専門の国内最大級の病院、国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)に転職した。同センターが開設した重病の子どもとその家族の短期入所施設「もみじの家」で、事務全般を管理する「ハウスマネジャー」を務める。 事業計画の策定や収支の計算、講演などの広報活動が主な仕事。慣れないことも多いが「毎日が生まれ変わったような気持ち」と、表情はすがすがしい。それにしても、脂の乗りきった時期に、華やかで安定した職場を飛び出したのはなぜ?