脱・石炭火力発電の機運が世界各地で急速に高まる中、石炭重視の姿勢を続ける日本への風当たりが強まっている。 発電所の建設計画が目白押しだが、石炭は火力の中でも二酸化炭素(CO2)の排出が特に多く、地球温暖化対策の大きな障害になりかねない。政府は「基幹電源」としている石炭の位置づけを見直し、野放図な拡大に歯止めをかけるべきだ。 国内では福島第一原発事故の後、各原発が止まったのを補う形で、コストが低い石炭火力の稼働が増えた。いまは発電量の3割余りを担い、さらに民間の建設計画が全国で約40基ある。 すべて実現すれば石炭火力の発電能力は4割ほど増し、CO2排出量が国の想定を大幅に超える恐れが強い。国際的な環境保護団体などから厳しく批判されており、石炭を重視する米トランプ政権とともに孤立しかねない状況だ。 世界の潮目を変えたのは、15年に採択された温暖化対策のパリ協定だ。欧州などの先進国が次々と脱石炭