レファレンス 2010. 2 1 主 要 記 事 の 要 旨 失業保険と生活保護の間 ―ドイツの求職者のための基礎保障― 戸 田 典 子 ① 平成 20 年 9 月のリーマン・ショック後の雇用危機の中で、日本のセーフティネットの 脆弱さが明らかになった。雇用保険は給付期間が短く、非正規労働者にとっては加入自体 が困難である。生活保護は、就労世代をカバーしようとしない。2 つの制度の間に落ちて しまう困窮した人々の姿が広く報道され、政府も数次の経済対策により、制度の間を埋め る施策を行ってきた。恒久的な支援制度の創設も予定されている。 ② 諸外国には、 「失業扶助」 と総称される、 失業保険と生活保護の間に位置する制度がある。 その一つであるドイツの「失業扶助」は、1918 年に法制化され、主に失業保険の給付期 間が満了した者を対象とし、2004 年まで続いたが、離職前の賃金に対応する給付を