眠れずにうとうとしながら、自分の居ない間の為の引継ぎも滞りなく済ませて休暇前の仕事を終え、 夜行バスに乗り込み、殆ど眠れないまま12時間、彼女の住む町にやってきた。 いつもは渇望する気持ちばかりでバスを降りるのだが今回はちょっと違う。 「大丈夫、怖い父親じゃないから」 「母は父さえ陥落すればついてくるから」 そうは言ってもおカタい仕事をしている体と声の大きな(と彼女に聞いている)父親、 先月、一泊お泊りのお伺いを立てただけで激怒した父親、それは怖くないわけがない。 到着した日は彼女とふにゃふにゃ過ごす。 ウィークリーマンションの手続きを済ませ、9日もの滞在のために必要な品をダイソーで買い込む。 彼女とマグカップを選んだり安い食料品店を物色したり。 その夜は浴衣で花火。 ほぼ二徹の身には普通はキツいスケジュールだが好きでたまらない優しさあふれる彼女と居れば不思議と辛くない。 ただ、明日に向け