タグ

ブックマーク / kasasora.hatenablog.com (3)

  • セフレですよ、不倫ですよ、ねえ、最低でしょ - 傘をひらいて、空を

    仕事の都合で別の業種の女性と幾度か会った。弊社の人間が、と彼女は言った。弊社の人間が幾人かマキノさんをお呼びしたいというので、飲み会にいらしてください。 私は出かけていった。私は知らない人にかこまれるのが嫌いではない。知らない人は意味のわからないことをするのでその意味を考えると少し楽しいし、「世の中にはいろいろな人がいる」と思うとなんだか安心する。たいていはその場かぎりだから気も楽だし。 彼らは声と身振りが大きく、話しぶりが流暢で、たいそう親しい者同士みたいな雰囲気を醸し出していた。私を連れてきた女性はあっというまにその場にすっぽりはまりこんだ。私は感心した。彼女は私とふたりのときには同僚たちに対していささかの冷淡さを感じさせる話しかたをしていた。 どちらがほんとうということもあるまい。さっとなじんで、ぱっと出る。そういうことができるのである。人に向ける顔にバリエーションがあるのだ。私は自

    セフレですよ、不倫ですよ、ねえ、最低でしょ - 傘をひらいて、空を
    sakuragaoka
    sakuragaoka 2019/09/18
    セフレは本来対等な関係。騙してセフレ扱いするのはただの詐欺師でありそうまでしないとセックスできない弱者。そんなことを権力に感じるのは認知が歪んでる。実際そういう奴はいた。
  • 愛に殉じたそのあとに - 傘をひらいて、空を

    里佳子さんがふたつ年上の夫と結婚して三年になる。子どもができたので退職するという。おめでたい話だ。けれど里佳子さんに限っては少なからぬ数の社員が個人的にざわついており、不審がった後輩が私のところに理由を尋ねに来るほどなのだった。彼は訊いた。なんで家庭に入るとまずいみたいな感じなんですか。あの人旦那さんラブだし別によくないですか。そうとも里佳子さんは旦那さんラブだよと私はこたえた。だから私たちはどうしたらいいかわからない。 最初に里佳子さんとその夫の問題に気づいたのは、自分の結婚式の二次会に彼らを招待した社員だった。里佳子さんたちはまだ新婚だった。ふたりのそばを通ったときに聞こえたせりふに彼女はひやりとした。これだから頭の悪い女はいやなんだ。 あとは里佳子さん人から、少しずつ聞き出した。里佳子さんは愚痴を言わない。ただ彼女が当たり前だと思っている話が、当たり前でない内容をふくんでいる。里佳

    愛に殉じたそのあとに - 傘をひらいて、空を
    sakuragaoka
    sakuragaoka 2012/03/20
    「誰飯」発言は言語道断だが、他は受け止め方の問題な気がする。何でも聞いてくれる人が居ればそれでよいこと。
  • 彼女の砂漠の女 - 傘をひらいて、空を

    彼女はこの十年で二度職場を変えた。二つ目の職場にいたときの彼女は、継続的に摩耗していた。首筋から背中にかけて、骨でしかないはずの場所から常にかすかな痒みが滲んでいた。 私の骨髄が劣化している、と彼女は思った。骨の中身が腐った水になってそこから虫が湧いているみたいだ。それからその比喩のばかばかしさに少し笑った。骨の中で虫が育って生きていられるはずがないじゃないか。 それからこの思いつきそのものを骨の病気にかかった人に失礼だからやめなさいと言う人がいるんだろうなと思った。独白での言い回しにさえ監視の目を意識するような怯懦が習い性になっていた。彼女は玄関でを脱ぎながらそのことに気づいて台所から古いカップを持って玄関に戻りそれを三和土に投げつけた。いい音がした。それは最初に親しくなった男の子が(彼は男の子で、彼女ももちろん女の子だった。十八歳のかたくなで潔癖な女の子だった。彼は彼女を好きだと言っ

    彼女の砂漠の女 - 傘をひらいて、空を
    sakuragaoka
    sakuragaoka 2010/08/11
    おもしろい。
  • 1