全国に1811団地・77万戸ある公団住宅の住民の間で、来春に予定される家賃値上げへの反対運動が起きている。首都圏の地方議会でも値上げ反対の意見書・陳情採択が相次いだ。背景には、公団住宅の住民の高齢化と低所得化があり、ひいては高齢者らの住まいについての社会的安全網「住宅セーフティーネット」のあり方をめぐる論議がある。(徳光一輝) ■表でチェック■ 公団住宅の世帯主の年齢は?年収は? ◇ 「年金は家賃でほとんど消えてしまう。物価も上がり、もう暮らしていけません」 東京都内の公団住宅に住む無職女性(88)はこう訴える。女性は昭和40年代から35年以上、この団地で暮らしてきた。会社員の夫と昨年死別。年金は月額約11万円なのに対し、3DKの家賃は共益費を含め7万8000円。年金から介護保険が天引きされる上、今春から後期高齢者医療制度も始まった。わずかばかりの蓄えを取り崩す日々という。 「野