「時間に追われ、仕事をこなしきれない」。千葉県睦沢町の事業所「けやき」の女性職員(55)は嘆く。施設では多くの人の利用時間が5時間半程度だったが、4月から個別に見直して6時間超に延ばした。 これまで、生活介護の基本報酬は利用時間で差がなかったが、5時間以上6時間未満では大きく減ったため=表、6時間以上にして減収を少しでも抑える狙いもある。ただ、利用者を車で家に送り届ける時刻が遅くなり、職員が事業所に戻ってから記録や掃除、翌日の準備などがしにくくなった。「利用者に応じてどう支援するかをチームで共有する時間もない。やりたい支援ができず、サービス残業もある」と女性職員。感染症対策や防災など多岐にわたる他業務の時間の確保も悩ましい。 施設長の西希仁(のぶひと)さん(56)が3月の利用者20人の実際の利用時間を基に、改定後に施設が得る基本報酬を試算したところ、トータルで月額約82万円の減収となった。