日銀が13、14両日に開いた金融政策決定会合で、長期国債の買い入れ額を現行の月6兆円程度から減額する方針を決めた。行き過ぎた円安の抑制を念頭に置いた措置であり、決定に異論はない。 ただ、国債買い入れの減額だけで、金利上昇に誘導して為替市場での円安の流れを止めるには無理がある。日銀は早期に追加利上げに踏み切り、大規模な金融緩和からの脱出を図らねばならない。
![<社説>日銀の金融政策 物価の番人に回帰せよ:東京新聞 TOKYO Web](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/23b94253f0e0d227b9fe1b1e7d0958fd2f5dff1c/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fstatic.tokyo-np.co.jp%2Fimage%2Farticle%2Fsize1%2Fc%2F1%2F4%2F5%2Fc1454d715dbcd2a3e78dcba3fc33e415_1.jpg)
電気・ガス料金の負担を軽減する政府の補助金が、5月使用分を最後に終了する。電気料金は、再生可能エネルギー普及のため料金に上乗せされる賦課金も2024年度は増える。その結果、本年度の電気・ガス料金は標準世帯で約3万円の負担増になる。物価高に加え、実質賃金が23カ月連続のマイナスと、家計の厳しさが増す中、消費行動への影響も懸念される。(山中正義) 「物価高で困っていると周りもよく言っている。補助がなくなると大変」。足立区の都営住宅で夫と年金生活を送る女性(78)は落胆した。暑さや寒さの厳しい季節は冷房・暖房機器の使用が欠かせない。電気料金が1万円を超える月もあるといい、「今まで以上に節約を工夫しないと」と頭を悩ます。 補助金は4月使用分までは、電気料金で1キロワット時当たり3.5円、ガス料金で1立方メートル当たり15円がでるが、5月でほぼ半減。6月以降は廃止され、電気料金負担は標準世帯(使用量
日銀は19日の金融政策決定会合でマイナス金利の解除を決めた。今後は次の利上げのタイミングを模索するが、国の借金である国債の利払い費が増えることも、金利上昇時に生じる懸念だ。財政の専門家は「国債費の増加が重荷になる前に、予算の見直しなど財政再建を急ぐ必要がある」と指摘する。 マイナス金利など日銀の大規模緩和の下では金利が低く抑えられるので、政府は借金である国債発行をしやすくなり財政が緩んだ。緩和開始前の2012年度末に705兆円だった国債残高は22年度末に1027兆円に膨張。23年度末には1075兆円に達する見込みで、緩和前の1.5倍となる。 財務省は2月、金利が上昇した際の利払い費増について試算を公表した。名目経済成長率3%と消費者物価上昇率2%を前提にした場合、27年度の想定金利は2.4%に上がると仮定。利払い費は15.3兆円に増え、24年度の9.7兆円から1.6倍に増える。
能登半島を襲った大地震・津波により、2024年の幕開けは衝撃で覆われた。もちろん、引き続き被災者に応える最大限の災害対応は必要だが、だからといって、震災以外の疑惑・問題を覆い隠したり、災害に便乗した動きを見過ごすことはできない。政治とカネ、改憲、復興名目の増税、原発再稼働…「ショック・ドクトリン」にどう対応すべきか。(宮畑譲、木原育子)
経済同友会の新浪剛史代表幹事は5日、経済3団体の共同記者会見で、大阪・関西万博の会場建設の人手不足が深刻になる中、能登半島地震が起きたことに絡み「(震災の被害は)大変厳しい状況にある。人命第一という考えを世界は理解してくれるはずだ」と述べ、万博延期の可能性に言及した。
日本の金融・財政政策の行き詰まりが顕著だ。政府・日銀はここ10年、大規模な金融緩和策や財政支出でお金を配ってきたが、実体経済はよくならず、最近は円安による物価高の副作用が目立つ。最新の著作でさまざまな通貨の存亡の歴史を掘り下げ、自らもバブル崩壊後の金融危機対応にあたった元日銀局長の田辺昌徳氏は、政策迷走の陰で「円」という貨幣のガバナンス(統制)不全が進行すると危ぶむ。(聞き手・池尾伸一) 田辺 昌徳(たなべ・まさのり) 1952年生まれ。東京大経済学部卒。日銀信用機構局長、預金保険機構理事長などを経て2015年から武蔵野大客員教授。日銀時代は信組の破綻処理や受け皿銀行の整備、北海道拓殖銀行の破綻処理などに尽力。預金保険機構では経営が悪化した日本振興銀行について日本初のペイオフ(預金の払い戻し制限措置)を指揮した。今年9月に刊行した「ガバナンス貨幣論」(岩波書店)で、貨幣を「社会的共通資本」
政策評価は与党について「デフレからの脱却、力強い経済の再生に加え、G7広島サミット(先進7カ国首脳会議)の議長国としての取りまとめや日韓関係の改善、積極的な外交・安全保障政策を展開し、高く評価できる」と指摘した。 一方、自民党の課題として経済成長と財政健全化の両立をはじめ「こども・子育て政策において、広く国民全体が負担する財源のあり方の検討」を明記。岸田文雄首相が増税を否定する中で、あくまでも消費税増税を強く求めた格好だ。
日銀に対する「現行の金融政策への批判」(金融政策の見直し等を求める声)の声が100件を超えるのは昨年6月からの1年間で初めて。黒田氏が総裁を務めていた3月は23件だったが、植田氏が就任した4月には60件に増加。5月も68件だった。 具体的には、国民からの「金融政策関連」の意見・要望のうち「金融政策への批判」が植田氏の就任後に急増。日銀は、増加の理由を「3~4月の正副総裁交代に伴う注目度の高まり」に加え「物価上昇や為替円安」があったとしている。 「為替関連」の意見・要望についても1ドル=140円台へと円安が再び進んだ6月には「円安対応を求める声等」が75件となり、1ドル=150円台に乗せた昨年10月(60件)を超える件数だった。具体的な意見・要望の内容を見ると「円安により、原材料価格が上がって本当に困っている」などの声があった。
消費税のインボイス(適格請求書)制度が10月から始まることに伴い、毎月の電気代が来春、月1〜2円程度ではあるが値上がりする予定だ。同制度によって新たに発生する電力会社の負担分を電気代に上乗せして補うためで、わずかな金額とはいえ消費者にしわ寄せがいく格好。インボイスに反対する人たちからは「公平性を欠き、制度の問題が浮き彫りになっている」と不満の声も上がっている。(砂本紅年) 新たな負担は、一般家庭の太陽光パネルなどで発電された電気を買い取る「固定価格買い取り制度」(FIT)により生じる。これまでは納税額を少なくする消費税の「仕入れ税額控除」という仕組みにより、電気を発電事業者から買い取る時に支払う消費税と、消費者に電気を売る時に受け取る消費税は相殺されているとみなし、電力会社は納税する必要がなかった。 しかし、インボイス制度開始後は、相殺するにはインボイスが必要になる。発電事業者である一般家
「ザイム真理教」という表現は、著者の森永卓郎氏はネット・スラングだとしているが、私の知る限り、最初にこの言葉を使ったのは、西田昌司・参議院議員である。西田議員は、国会において、経済学者顔負けの理論や知識によって、日本の財政破綻はあり得ないと論じ、積極財政を説いている。だが、マスメディアは、西田議員の主張に一切耳を貸さず、積極財政を「バラマキ」と呼んで嘲(あざ)笑い、財務省に言われるがまま、緊縮財政や増税を唱えるばかりだ。そこで西田議員は、ネット動画を通じて直接国民に発信するようになり、均衡財政主義をカルトの様に妄信する風潮を「ザイム真理教」と呼んだ。それがネットで人気を博し、流行したのだ。 本書もまた、ベストセラーとなっている。だが、「あとがき」にあるように、大手出版社数社が本書の出版を拒否したという。実は、本書の約二カ月前に出版された拙著『どうする財源』(祥伝社新書)も、均衡財政主義を批
原発の60年超運転を可能にする束ね法「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」が31日、参院本会議で与党と日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決、成立した。老朽原発の長期運転や原発産業への支援強化などが盛り込まれ、東京電力福島第一原発事故後に抑制的だった原子力政策の大転換となる。 福島事故後に導入された「原則40年、最長60年」とする運転期間の規定は、原子力規制委員会が所管する原子炉等規制法から削除。経済産業省が所管する電気事業法に改めて規定された。最長60年の枠組みは維持しつつ、再稼働に向けた審査などによる停止期間を運転年数の算定から除外。その分だけ60年を超えた運転が可能になる。 これまでは規制委が運転延長の可否を審査し認可していたが、今後は経産省が電力の安定供給に貢献するかなどの観点から審査し、認可する。具体的な審査基準は今後策定する。規制委は延長の可否の判断には
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