児童虐待を受けた子どもを親から適切に保護するため、厚生労働省は一時保護する仕組みの強化に乗り出す。現行の児童福祉法では児童相談所(児相)が必要と判断すれば強制的に引き離せるが、ちゅうちょして被害が拡大することもある。厚労省は有識者による検討会を7月に設置し、一時保護の判断に裁判所が関わる方向で議論を進める。 塩崎恭久厚生労働相が28日の閣議後会見で明らかにした。検討会の座長には駿河台大学の吉田恒雄学長が就く予定。秋ごろに結論をまとめる。 裁判所が一時保護の判断を担えれば、児相は子どもの保護や家庭支援などに専念できる。塩崎氏は「不幸な事件が起きないよう司法の関与が大きな議論の対象となる」と語った。 児童虐待は年々増加し、2014年度に児相が対応したのは約8万9千件に上る。児相は再発防止に向けて親を指導する役割もあり、親との対立を避けるため一時保護をためらうこともある。今年2月には、両親から虐
中核市「慎重」7割=都内15区は設置方針-児童相談所でアンケート・時事通信 人口20万人以上の中核市47市の7割強に当たる35市が児童相談所(児相)の設置に慎重であることが、時事通信社が行ったアンケートで分かった。一方、東京23区のうち15区は2017年4月の改正児童福祉法施行から5年以内に設置する方針で、中核市と23区で対応が大きく分かれた。 児相は都道府県と政令市に設置が義務付けられているが、増加し続ける児童虐待に対応が追い付いていない。今月27日に成立した改正法では、児相を増やすため、新たに23区による設置を認めるほか、施行後5年をめどに全ての中核市と23区が設置できるよう国が必要な支援を行うと明記した。 調査は19~26日、全国の中核市47市と東京23区を対象に実施。児相設置に関する方針とその理由を尋ね、全70市区から回答を得た。 中核市では32市が「未定」としたほか、大津、
急増する児童虐待への対応を強める改正児童福祉法が27日の参院本会議で、全会一致で可決、成立した。新たに東京23区による児童相談所(児相)の設置を認め、全国に47ある人口20万人以上の中核市にも設置を促す。虐待に関する通告や相談にきめ細かく対応できる体制の整備を図る。 改正法は一部を除き来年4月の施行で、東京23区も児相を設けられるようになる。東京23区と、いまも設置権限がある中核市で5年後をめどに開設が進むよう政府が支援する。厚生労働省は虐待対応にあたる専門人材を育成したり、施設整備費、人件費を自治体に財政支援したりすることも検討している。 虐待が疑われる場合、児相が裁判所の許可を得て強制的に自宅に立ち入る臨検・捜索の手続きも簡素化。より早く子どもの安全を確認できるようにする。親とのトラブルに適切に対応できるよう、児相に弁護士の配置を原則、義務づける。 児相は47都道府県と20政令指定市に
児童虐待問題に取り組むNPO法人・児童虐待防止全国ネットワークが5月上旬、今国会での成立に向けて議論が続いている児童福祉法改正案を考えるシンポジウムを都内で開催した。児童相談センターの職員や児童虐待問題に取り組む自治体職員らが登壇し、児童虐待を防ぐために、改正案をどう活かすべきか、意見を交わした。 ●児童の「権利」を正面から認めた 改正法案では、監護・教育のために必要な範囲を超えて児童を懲戒してはならないことや、県、市町村など自治体の役割の明確化、児童相談所へ弁護士を配置することなどが盛り込まれた。 児童虐待防止全国ネットワークの吉田恒雄理事長は、改正法で児童の養育・保護・成長などについて「等しく保障される権利を有する」と、明確に「権利」が明記されたことについて、「児童の権利を正面から承認したことは大きく評価できる」と語った。 一方で、親の子どもに対する懲戒権について、「監護及び教育に必要
相模原市は22日、両親から虐待を受けて市児童相談所(児相)に通所していた男子中学生(死亡当時14)が、自殺を図って2月末に死亡したと発表した。児相には強制的に親から子どもを引き離して保護する職権などが認められているが、児相は「急迫した状況ではなかった」などとして保護していなかった。 児相によると、2013年11月、生徒の顔がはれているなどと、市の担当課から通報があった。児相は当初、学校などを通じて対応していたが、14年6月の深夜に生徒がコンビニに駆け込み、警察官に保護される事案が発生。生徒が「親から暴行を受けた」などと説明したことから、以降は定期的に両親と生徒への直接指導を続けていた。 だが、14年10月に母親の体調不良で両親への指導ができなくなった。児相は学校で生徒への指導は続けてきたが、生徒は11月中旬に親族宅で自殺を図った。その後、意識不明の状態が続いていたが、今年2月に死亡した。
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