増田亨氏の「現場で役立つシステム設計の原則]」批判の第2編です。 (2)ポリモーフィズムは何のために?オブジェクト指向の要件本書には「変更を楽で安全にするオブジェクト指向の実践技法」というサブタイトルが付与されています。オブジェクト指向が何かという点については、論者によって違いはあるものの、以下の3つが要件とされることには、多くの人が合意するでしょう。 カプセル化インヘリタンス(継承)ポリモーフィズム(多態)前回で明らかになったように、カプセル化は、オブジェクト指向とは独立にモジュール分割の指導原理としてデイビッド・パーナスにより提唱された「情報隠蔽」を敷衍したものです。オブジェクト指向の要件ではありますが、オブジェクト指向固有のアイデアではありません。 インヘリタンスは便利な機能ですが、コンポジションや移譲により代替できるので、オブジェクト指向の本質的な要件とは見做されなくなってきたかと