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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/column (6)

  • 「建築のジェノサイド」に気付かない日本

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔9月3日号掲載〕 鎌倉を世界文化遺産に登録しないように──ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関イコモス(国際記念物遺跡会議)がそう勧告したことを受け、松尾崇・鎌倉市長と黒岩祐治・神奈川県知事は会見で無念さをにじませた。 鎌倉市当局は中世の都市としての「物的証拠が不十分」と指摘されたことを認め、私にこう説明した。人類の遺産として保護する価値があると世界に認めてほしいのは、鎌倉を取り囲む山々とその麓に点在する寺院や遺跡だ。そこに日独自のサムライ文化があると自分たちは考えているが、イコモスにはその意図が十分伝わらず、「武家の古都」とする根拠が不十分だと判断された、と。 黒岩知事は今回の勧告に「目の前が真っ暗になるような衝撃を受けた」と語った。こんな妥当な判断に衝撃を受けているようでは、知事の体が心配になる。そもそも県の誇る珠玉・鎌倉がじわじわ破壊さ

  • 北京の夢

    「ぼく、仕事辞めたよ。大連に行くことにした」 劉くんがぼそっと言った。まさか、と思いつつ、「旅行?」と尋ねたら、「ううん、水曜日に引っ越すんだ。別に持っていくものもないんだけど」と答えた。それを聞いて「やっぱり...」と心のなかでつぶやきつつも、何を言っていいのか思いつかず言葉が出てこなかった。 言葉が見つからなかったのは、劉くんには申し訳ないが、彼が北京からいなくなることがショックだからではなかった。だが、「キミまでもが!」という思いが先走ったからだ。彼自身に何があったのか尋ねる前に、頭のなかを今年すでに北京を離れた知り合いの、さらにそのまた知り合いたちの顔が走馬灯のように横切った。その数をあとで指折り数えたら、もう10人近くもいた。 もちろん、彼らが北京を離れた理由はそれぞれだ。任期切れ、あるいは担当していたプロジェクトが終わった、あるいは結婚転職など、直接の理由だけを見ると、これほ

  • 炎上した「愛心」

    2013年1月4日午前8時40分、河南省蘭考県で起きた火災が7人の子供の命を奪った。焼けたのは14人の子どもたちが暮らすアパート。そのうち4人は養母の袁厲害が運転する電動三輪車に乗って正月休み明けの小学校へと出かけ、もう1人は72歳になる袁の母親に付き添われて学校に向かった後に火災が起こった。 黒煙が上がっていることに最初に気がついたのは近くに住む袁の長女。妊娠5カ月の彼女が慌てて夫に連絡し、その夫が駆けつけた時には建物は煙に包まれ火が燃え盛っていたという。同時に駆けつけた袁の最も年長の養子が中に飛び込み、助け出せたのは一人だけだった。 亡くなったのは小児麻痺や心臓病、脳障害、知恵遅れなどの障がいを持つ、生後7カ月から5歳の子どもたち、そして毎日学齢期の子どもが学校へ、そして大人たちが仕事に出かけた後に彼らの世話をしていた知的障がい者の20歳の若者。消防署によると、そのうちの誰かが屋内で火

  • 中国新トップ、斜めから眺めてわかった意外な共通点

    中国共産党の総書記に習近平が選ばれ、習体制が立ち上がってから、すっかり国家主席、首相(国務院総理)を務める胡錦濤と温家宝の陰は薄くなった。これまでトップ交代の折には「華やかで、麗しき未来」が謳われてきた中国だが、今回は官報メディアはともかく全体的にメディアを見渡しても「華々しさ」は薄れてしまった感じだ。 そのひとつは「メディア」の枠が広がったこと。今や胡や温が就任した10年前と違い、一般に言われる「メディア」はテレビ、ラジオ、新聞の他に、ネットのポータルサイト、ブログ、マイクロブログ(ツイッターや微博)、そしてさらには携帯電話に届く同様のニュース配信の他、「口コミ」的な微信もある。昔から「口コミ」情報が重視されてきた中国では、海外を含む遠く離れたところにいる人にも届けられる新しいこのサービスは立派な「メディア」となっている。 ネットサービスである微信はテキストメッセージ中心のSMS(ショー

  • 「親日」か「反日」かでは語れない領土問題

    香港人活動家の尖閣上陸で始まり、19日の日曜日には中国各地での反日デモにまで発展した騒ぎに、「これからどうなるのだろう」と感じている日人は少なくない。わたし個人は逆に中国人の方が泰然としているという気がしている。というのも中国人はある意味、単純明確に「領土問題」としてこの事件をとらえているのに対して、逆に日側には見えていない点があまりにも多く、その状態で解読しようとすればするほどわからなくなり不安に結びつく、つまり「知らないこと」が猜疑を生んで怖れや戸惑いに結びついているように見える。 今回まず明らかになった「不明点」は、日社会には尖閣(中国では「釣魚島」、台湾や香港では「釣魚台」と呼ぶ。稿では中国側視点を紹介する場合は「釣魚島」で統一する)を巡る領土紛争についての認識に大きな誤解があることだ。 活動家の上陸が伝えられた瞬間から、ツイッターなどでは「反日」という言葉が飛び交い出した

  • 外食怖い

    「もう外は怖いよ」。いつもは泰然としている、ある文化人と一緒に夕を取る約束に出向いたら、彼は現れるなりこう言った。彼や彼の周囲の友人とはよく中国の暗い部分の話をするが、こんなに暗い顔をしている彼は初めてだった。 きっかけは9月中旬に明らかになった、有名四川料理チェーン「俏江南」の南京店で再生油が使われていたというニュースだ。中国語で「地溝油」と呼ばれる再生油の再利用問題は、昨年初めに中国の政府系メディアが大々的に報道して撲滅キャンペーンを張ったことが日でも「下水油事件」として報道されたので、ご記憶の方も多いはずだろう。 もちろん、彼も昨年のニュースは知っているし、顔をしかめていた。しかし、今回名指しされたのが全国で支店展開する大型店舗で、また経営者が超有名芸術家の作品をオークションで競り落として有名になったり、他にも社会エリートに人気のクラブを運営する社会的地位のある人物なので、周囲

    外食怖い
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