山梨県道志村では、4期16年にわたって村議の無投票当選が続いている。 一人を選ぶ首長選ではなく、複数の議員を選ぶ地方議会選挙が4期連続で無投票になるケースは少ない。村内で取材を進めると、選挙戦を展開する活力が村から奪われている現状が見えてきた。 ◆戦えばしこり 「自分は村政にタッチするつもりはなかったんだが」――。ある元村議の男性は、そう前置きして自身が立候補した経緯を振り返る。 きっかけは地区の先輩から「出たらどうだ」と勧められたこと。同じ地区の別の男性も立候補を検討しており、2人が出れば選挙戦になる状況だった。 地区では告示数か月前に有権者が集まり、誰を候補者にするか話し合う。立候補を検討していたもう一人の男性は、会議で沈黙したままだった。「選挙になればしこりが残る。譲ってくれたということなんだろう」 同村議選は、1996年に定員12人に対して13人が立候補して選挙戦になったのを最後に