タグ

ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/noguchi (13)

  • 学者による政策提言の正しいあり方──学術会議問題をめぐって

    <日学術会議の最大の問題は、科学的観点のみによっては合意不可能であるはずの政策的な判断を、あたかも専門家による科学的観点からの総意であるかのように装って一般社会に提示している点にある...... > 菅義偉政権が誕生して一ヵ月にもたたないうちに、思いもよらない騒動が巻き起こった。それは、日学術会議が決めた新会員候補のうちの6人の指名を政府が拒否したという、いわゆる学術会議問題である。この問題が明らかになって以来、メディアやネットでは、この政府の対応の是非をめぐる論議が拡大し続けている。 筆者は、政府に就任が拒否された6人の方々の学問的な業績や政治的な立場については、ほとんど何の知識も持っていない。したがって、この政府の判断それ自体に関しては、筆者は是とも非とも言うことはできない。にもかかわらず筆者がここで私見を述べる必要があると考えたのは、この問題が「一般社会に対する専門家の政策的な発

    学者による政策提言の正しいあり方──学術会議問題をめぐって
    shibusashi
    shibusashi 2020/10/18
    『どのような政策提言もそれが究極的には必ず何らかの価値判断に基づくものである以上「〜である」という科学的実証の領域と「〜すべきである」という規範の領域を明確に切り分けて議論することが必要』
  • 雇用が回復しても賃金が上がらない理由

    <現在の日経済は、一定の景気回復によって雇用は改善したにもかかわらず、未だ十分な名目賃金上昇が実現されていない。その理由は何か。そして、今後の経済政策で重要なことは何か> 日経済は現在、深刻な人手不足に直面しているかのように言われている。確かに、今年に入って、完全失業率はバブルが崩壊して以来久しく見ることが出来なかった2%台にまで低下した。有効求人倍率にいたっては、バブル期のそれを飛び越えて、高度成長の余韻が残っていた1970年代初頭の水準にまで改善した。 そうした中で、パートやアルバイトなどの非正規雇用の賃金は、明確に上昇し始めている。しかしながら、正規雇用も含めた就業者全体の賃金上昇トレンドは、未だにきわめて弱々しい。 日の就業者の平均的な名目賃金すなわち額面上の賃金は、バブル崩壊後もしばらくは上昇し続けていたが、消費税増税を発端とする1997年からの経済危機を契機に下落し続ける

    雇用が回復しても賃金が上がらない理由
    shibusashi
    shibusashi 2020/09/19
    2017年の記事。『企業の労働需要は賃金が高ければ減り低ければ増える。それは、より低賃金である非正規雇用の比率が大きくなれば労働需要はそれだけ増え、(完全雇用となる)失業率はその分だけ低下して当然である』
  • 政治家にとってマクロ経済政策がなぜ重要か──第2次安倍政権の歴史的意味

    安倍以降の政権は、マクロ経済政策について政治の側から明確な指針を提示することができるか...... Franck Robichon/REUTERS <第2次安倍政権の歴史的意義とは、「政治によるマクロ経済政策の丸投げシステム」そのものを終わらせた点にある......> 第2次安倍晋三政権が、唐突にその終焉を迎えた。しかし、第1次安倍政権がわずか1年弱で終わったのに対して、第2次政権は歴代最長の7年8か月を刻んだ。その違いを生み出した最も大きな要因とは何かといえば、それはマクロ経済政策の有無である。 第1次安倍政権は、財政再建よりも経済成長を優先するという「上げ潮戦略」の提唱者であった中川秀直が幹事長ではあったものの、政権自体の政策方針は、小泉純一郎政権以来の「構造改革」路線の継承という以外にはほとんど不明であった。それに対して、第2次安倍政権は、その発足当初から、デフレ脱却を政策目標とし、

    政治家にとってマクロ経済政策がなぜ重要か──第2次安倍政権の歴史的意味
    shibusashi
    shibusashi 2020/09/05
    『石破さんの支持が上がらないのはマクロ経済政策がないから。ブログを見たけれどもどこかの夕刊コラムみたいで全然政策のことを書いてない。マクロ経済政策の無い政権は支持できない』やるなー、薄口政治評論家
  • 日本経済は新型コロナ危機にどう立ち向かうべきか

    <新型コロナ危機、東京オリンピック延期へのあるべき経済政策を考える。そして、「政策の是非を判断するための思考枠組み」を明確化する......> 世界は現在、まさに新型コロナ危機によって覆い尽くされている。幸いなことに、中国以外では最も早く感染事例が報告された国の一つであった日では、少なくとも現在までのところ、その後の一部欧米諸国のような社会全体での爆発的な感染拡大は生じていない。しかし、その日でも、旅行業、飲業、レジャー産業、スポーツや音楽等のエンターテイメント産業等が典型であるように、それに伴う深刻な経済活動停止状況が生じている。その負の影響は累積的に拡大しつつあり、否応なく経済全体に及び始めている。 この状況をこのまま放置できないことは、誰の目からみても明らかである。実際、政府は既に何弾かの緊急経済対策を打ち出している。また、政治の世界では、与野党を問わず、さまざまなレベルの大小

    日本経済は新型コロナ危機にどう立ち向かうべきか
    shibusashi
    shibusashi 2020/04/01
    『バブル崩壊後の30年間、一度も完全雇用を達成したことがなかった。それは旧日銀と財務省が金融や財政の引き締めを繰り返したためである。』
  • MMT(現代貨幣理論)の批判的検討(6完)─正統派との共存可能性

    ●これまでの記事はこちら <モズラーによって発見されたMMTの中核命題や、それに基づく会計分析それ自体は、必ずしも正統派と共存不可能ではない......> 経済学派としてのMMTの一つの大きな特徴は、自らを正統派と対峙する異端派として位置付け、現代の主流派マクロ経済学を全体として拒絶している点にある。その主流派ないし正統派としてMMTの主な批判となっているのは、新しい古典派マクロ経済学というよりは、ニュー・ケインジアンによるNMC(新しい貨幣的合意)である。これは、現代のマクロ経済政策とりわけ金融政策に理論的根拠を提供しているのが、もっぱら広義のニュー・ケインジアン経済学であるという事情を反映している。 MMT派はまた、新古典派的総合の系譜にある新旧のケインジアンを亜流ケインジアン(Bastard Keynesian)と呼び、彼らと対峙し続けてきたジョーン・ロビンソンやハイマン・ミンスキー

    MMT(現代貨幣理論)の批判的検討(6完)─正統派との共存可能性
  • MMT(現代貨幣理論)の批判的検討(5)─政府予算制約の無用論と有用論

    ●これまでの記事はこちら <MMTとヘリコプター・マネー論は、しばしば混同されるものの、基的に似て非なる政策戦略である......> MMTによれば、現代の主流派マクロ経済学の大きな誤りの一つは、「政府の赤字財政支出は、希少な民間貯蓄を奪い、利子率を引き上げ、民間投資をクラウド・アウトする」と論じている点にある。MMTはそれに対して、政府の赤字財政支出は、それ自身が民間にとっての資産(貯蓄)となるので、民間投資のクラウド・アウトは原理的に生じないと主張する。これは、赤字財政は原則的に許容されるべきというMMTの結論を支える一つの大きな論拠となっている。 連載(4)で検討したように、正統派からみたこの議論の問題点は、MMTが政府の赤字財政支出を基的に金融的な側面でのみ捉えており、財市場に与える影響を考慮していないところにある。というのは、民間投資のクラウド・アウト、金利上昇、インフレの

    MMT(現代貨幣理論)の批判的検討(5)─政府予算制約の無用論と有用論
    shibusashi
    shibusashi 2019/09/08
    『新旧ケインジアンの多くが含まれる赤字ハト派と、ラーナーからMMTに至る赤字フクロウ派は、少なくとも不況下あるいは不完全雇用下では、政府による積極的な赤字財政という政策戦略を共有できる』
  • MMT(現代貨幣理論)の批判的検討(4)─クラウド・アウトが起きない世界の秘密

    ●これまでの記事はこちら <MMTは「政府財政は景気循環を通じて均衡する必要すらない」と結論しているが、それがどのような推論から導き出されるのかを検討する......> その主唱者たちによれば、MMTの目的は、主流派マクロ経済学という「歪んだメガネ」によって生み出された財政と金融に関する誤った観念を排し、それをMMTから得られる正しい把握に置き換えていき、それを通じてマクロ経済政策を正しい方向に導いていくことにある。MMT派の教科書Macroeconomicsの第8章では、そのMMTによって駆逐されるべき主流派の誤謬(Mainstream Fallacy)として、以下の9つの命題が掲げられている。 誤謬その1:政府は家計と同様な「予算」の制約に直面している。 誤謬その2:財政赤字(黒字)は悪(善)である。 誤謬その3:財政黒字は一国の貯蓄を増加させる。 誤謬その4:政府財政は景気循環を通じ

    MMT(現代貨幣理論)の批判的検討(4)─クラウド・アウトが起きない世界の秘密
    shibusashi
    shibusashi 2019/09/08
    『正統派の多くは、「赤字財政が明確に許容されるのは基本的には不完全雇用時である」と考える』
  • MMT(現代貨幣理論)の批判的検討(3)─中央銀行無能論とその批判の系譜

    MMT派と正統派とは、基的に水と油にように混じり合わないマクロ経済思考の上に構築されている。しかし、反緊縮正統派の側からは時々「少なくともゼロ金利であるうちはMMTと共闘できる」といった発言が聞こえてくる。それはなぜか......> ●前回の記事はこちら: MMT(現代貨幣理論)の批判的検討(2)─貨幣供給の内生性と外生性 MMT(現代貨幣理論)の主唱者たちによれば、MMTと正統派の最も大きな相違の一つは、前者が貨幣内生説であるのに対して後者は貨幣外生説を信奉している点にある。しかしながら正統派にとってみれば、貨幣内生と外生の相違は、単に現実を理論化する場合の抽象の仕方の相違にすぎない。実際、近年のニュー・ケインジアンのモデルも含めて、ヴィクセルに発する系譜のモデルは基的にすべて貨幣内生である。 正統派にとっては、質的な対立点はまったく別のところにある。それは、貨幣供給の内生性を強

    MMT(現代貨幣理論)の批判的検討(3)─中央銀行無能論とその批判の系譜
  • MMT(現代貨幣理論)の批判的検討(1)─政府と中央銀行の役割

    <現在、世界および日の経済論壇において、賛成論と反対論の侃々諤々の議論が展開されているMMT。その内実を検討する......> 消費増税を含めた財政をめぐる論議が続く中で、MMT(現代貨幣理論)に注目が集まっている。7月中旬には、その主唱者の一人であるステファニー・ケルトン(ニューヨーク州立大学教授)が来日し、講演や討論を行い、昨今のMMTブームを反映するかのように大きな盛り上がりを見せた。その模様は一般のマスメディアでも幅広く報じられた。 MMTの生みの親であるウオーレン・モズラーのSoft Currency Economics II序文によれば、その最初の契機は、国債トレーダーを経て証券会社の創業者となったモズラーが、1990年代初頭に当時「財政危機」が喧伝されていたイタリア国債の売買を行った時に得た一つの「発見」にあった。その把握が、それ以前からポスト・ケインジアンの一部に存在して

    MMT(現代貨幣理論)の批判的検討(1)─政府と中央銀行の役割
  • 増税があらゆる世代の負担を拡大させる理由 | 野口旭 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    <増税論をめぐっては、政府債務の将来世代負担論がしばしば主張されるが、赤字財政政策は状況によっては将来負担を減少させる場合さえあることを明らかにする> 稿は「財政負担問題はなぜ誤解され続けるのか」(2018年12月10日付)の続編である。この前稿では、「政府債務は必ず将来世代にとっての負担となる」という一般的通念が経済学的には誤りであることは、最も幅広く読まれてきた経済学の教科書にさえ銘記されていることを確認した。にもかかわらず、そのような政府債務の将来世代負担論は、政策論議の中で現在でも公然と主張されているのである。 稿ではさらに進んで、赤字財政政策はむしろ状況によっては将来負担を減少させる場合さえあること、そして赤字財政政策の負担と呼べるものが現実にあるとすれば、それは政府債務それ自体というよりは、それを縮小しようとして行われる不適切な緊縮政策によるものであることを明らかにする。

    増税があらゆる世代の負担を拡大させる理由 | 野口旭 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
    shibusashi
    shibusashi 2018/12/28
    『赤字財政政策がもたらす「負担」は、完全雇用時と不完全雇用時ではまったく逆転する(略)不完全雇用時に行われる赤字財政政策は、場合にはよっては、それが行われなかった場合よりも将来負担を減らす可能性があ』
  • 数十年ぶりに正常化しつつある日本の雇用

    <アベノミクスによって需要不足がほぼ解消されたことで、社会全体の生産可能性の拡大が、実質賃金の増加という形で、人々の厚生にそのまま結びつき始めた...> 日の賃金上昇が、ここにきてようやく格化し始めた。厚生労働省の毎月勤労統計によれば、5月の現金給与総額は15年ぶりの伸びである前年比2.1%増となり、6月のそれは21年5カ月ぶりの3.6%増となった。これは、この5年半に及ぶアベノミクスの結果、日経済が1997年4月の消費税増税による経済危機を契機として始まった賃金・物価の下方スパイラルからようやく抜け出しつつあり、賃金が労働生産性の上昇を反映して増加するような「正常な成長経路」に復帰しつつあることを示唆している。 ブルームバーグ2018年7月9日付の記事「15年ぶり賃金上昇、人手不足続く」に掲載されている「賃金・雇用・生産性12チャート」には、この5年半のアベノミクスによって、日

    数十年ぶりに正常化しつつある日本の雇用
    shibusashi
    shibusashi 2018/09/01
    『日本政策投資銀行の設備投資計画調査によれば、2018年度の全産業の国内投資は17年度の実績から21.6%多い19兆7468億円となり、伸び率としては38年ぶりの高さとなった』
  • なぜ「構造改革論」が消えたのか

    <日の経済論壇をかつて支配した構造改革主義の政策命題が、現実そのものによって反証された> 日経済に長期不況が定着しつつあった1990年代末から2000年代初頭の経済論壇を席巻したのは、何よりも「構造改革論」であった。テレビでは当時、ダウンタウンの松人志が缶コーヒーを手にしながら「構造改革のキモは改革を構造することではなくて構造を改革することやね」としたり顔で語るコマーシャルがよく流されていた。そうした他愛もない禅問答のようなセリフを単なるシャレでなくて深い意味があるかのように勘違いさせてしまうような空気が、当時は確かにあった。 ところで、筆者は以前のコラム「黒田日銀が物価目標達成を延期した真の理由」(2016年11月25日付)の中で、黒田日銀が2%インフレ目標の達成を実現できずにいるのは、2014年4月に実行された消費税増税による予想外の消費減少という問題以上に、実際の完全雇用失業率

    なぜ「構造改革論」が消えたのか
    shibusashi
    shibusashi 2018/06/02
    『総需要が減少した場合には、GDPギャップが拡大し、失業は拡大し、物価は下落する。それに対して、構造的失業の拡大によって総供給が縮小した場合には、インフレ・ギャップが発生し、物価は通常は上昇する』
  • アベノミクスが雇用改善に寄与した根拠(4ページ) | 野口旭 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    <アベノミクスをどう評価するかが、今回の衆院選の争点の一つになっている。日の雇用状況がアベノミクスの発動を契機として顕著に改善したことは明らかであるが、批判的な論者は、そう考えてはいない。真実は果たしてどちらにあるのか> 解散総選挙によって、これまでの安倍政権の4年半にわたる経済政策すなわちアベノミクスをどう評価するのかが、改めて争点の一つになっている。 第2次安倍政権が、持続的な景気回復を曲がりなりにも実現させてきたことについては、政権側も政権批判側もほとんど異論はないであろう。確かに、アベノミクスが来その目標としてきたはずのデフレ脱却は、未だに完遂されてはいない。しかしながら、バブル崩壊後の1990年代以来20年間以上にわたって続いてきた日経済の収縮トレンドからの反転は、この4年半の間に着実に実現されてきた。それはとりわけ、雇用についてより明確にいえる。 日の完全失業率は、19

    アベノミクスが雇用改善に寄与した根拠(4ページ) | 野口旭 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
  • 1