かつて、「ある国」の政府の負債残高(いわゆる「国の借金!」)がGNP(国民総生産)の2倍を超え、対GNPで実に288%にまで達したことがあった。「国の借金!」がGNPの2.8倍を超えたわけである。 この「ある国」とは、別に近未来の日本のことではない。過去、19世紀のイギリスのことである。 「ムダの削減」で財政健全化を達成したわけではない 19世紀初頭のイギリスは、巨額の費用をかけてナポレオン戦争(1803~15年)を戦わなければならなかった。何しろ、ヨーロッパのほとんどはナポレオン率いるフランスの手に落ちたため、イギリスはまさしく単独でヨーロッパ全土を相手に戦ったようなものであった。 当然ながら、政府の軍需予算は巨額に達し(今も昔も、戦争には金がかかる)、「国の借金」はみるみるうちに膨らんでいったわけである。 しかし、別にイギリス政府は破綻などしなかった。(※本稿において「破綻」とは、政府