地球温暖化問題が論じられるときに、「海に沈む国」としてよく登場するのがツバルです。島で最も高いところでも海抜4.6メートルしかなく、温暖化によって海面が上昇した場合、水没する危険性があるといわれています。その一方で、「海面上昇よりもむしろ、人間の活動による環境汚染こそが問題」という議論や「ツバルは消滅するどころか国土面積が拡大している」と議論もあります。そうしたツバルの実情について、ジャーナリストの石弘之氏が解説します。 国際空港ビルを出て、バイクの多さに驚いた ツバルはニュージーランドとハワイのほぼ中間に位置する群島だ。私がツバルを訪れたのは10年あまり前。フィジーから週2便しかないフィジーエアウェイズで2時間ほど、南太平洋のエリス諸島にあるツバルに着いた。空から見た島々は、深い群青色の海に白い小石をばらまいたように見える。 ツバルは9つの環礁からなり、総面積は約26平方キロで東京・品川