タグ

ブックマーク / blog.tatsuru.com (23)

  • 大衆の変遷 - 内田樹の研究室

    だいぶ前に吉隆明の著作の解説に付した文章だが、「岸信介と60年安保」について言及した箇所があり、それが7月15日のできごとに関連しているような気がしたので、 「大衆」の変遷 私自身は高校生のときから大学院生の頃まで吉隆明の忠実な読者だったが、その後、しだいに疎遠になり、埴谷雄高との「コム・デ・ギャルソン論争」を機に読まなくなった。その消息については別のところに書いたのでもう繰り返さない。たぶんその頃、吉がそれまで政治評論において切り札として使っていた「大衆」という言葉に不意にリアリティを感じられなくなってしまったからだろうと思う。それは吉のせいではない。彼がその代弁者を任じていた、貧しくはあるが生活者としての知恵と自己規律を備えていた「大衆」なるものが、バブル経済の予兆の中でしだいに変容し、ついには物欲と自己肥大で膨れあがった奇怪なマッスに変貌してしまったことに私自身がうんざりした

    sin16waki
    sin16waki 2015/07/26
  • 磯江毅さんの展覧会に行く - 内田樹の研究室

    磯江毅さんの展覧会(「存在の美学」)を見になんばの高島屋に行く。 磯江さんは山画伯のスペイン苦学時代の友人で、写実主義の画家である。 絵を拝見するのははじめてである。 順繰りに6人の画家の作品を眺めてから、山画伯と磯江さんにシロートの適当な感想を申し上げる。 写実絵画からは腐臭がする。 どうしてかしらないけれど、写実が端正で緻密であればあるほど、そこに描かれているものから腐臭や屍臭に似たものが漂ってくる。 それがぼくはわりと好きなんですけどね、と申し上げる。 磯江画伯がぐっと膝を乗り出して「そうなんですよ」と言う。 「写実主義の絵画には時間が塗り込められていますから。」 それはどういうことですか、とお訊ねする。 写実画はものすごく時間がかかるのだそうである。 今回出品されていた葡萄の絵の場合、制作に一月かかっている。 葡萄は当然腐る。 腐ってどんどん形態が変わってしまっては写生できない

    sin16waki
    sin16waki 2015/04/26
  • 『日本の反知性主義』のまえがき - 内田樹の研究室

    『日の反知性主義』は3月刊行予定。編者として「まえがき」を書いたので、それを掲載しておきます。 どういう趣旨のなのか、その緊急性は何か、それをぜひご理解ください。 編者のまえがき みなさん、こんにちは。内田樹です。 書、『日の反知性主義』は昨年の『街場の憂国会議』に続いて、私がその見識を高く評価する書き手の方々に寄稿を依頼して編んだアンソロジーです。書の企図が何であるかは昨夏に発送した寄稿依頼の書面に明らかにされております。それを再掲して、書編纂の意図を示しておきたいと思います。まずそれをお読みください。 私たちは先に晶文社から『街場の憂国会議』を刊行しました。これは特定秘密保護法の国会審議においてあらわになった立憲政治、民主制の危機について、できるだけ多様な視点からその文脈と意味を考察しようとした試みでした。不肖内田がその編著者を拝命いたしましたが、多くのすぐれた書き手の方に

    sin16waki
    sin16waki 2015/03/04
  • 平田オリザの法外な過激さについて - 内田樹の研究室

    想田和弘監督の『演劇1』『演劇2』の公開が始まった。 オフィシャル・パンフレットにちょっと長めのコメントを載せたので、それを転載。 たいへん面白い映画なので、みなさん見に行きましょうね! 『演劇1』『演劇2』、まとめて5時間42分を三晩かけて見た。たいへんに面白かった。何がどう面白かったのか、手持ちの映画批評の用語ではうまく表現できない。そういう種類の経験だった。 私は何であれinnovativeなものに対しては基的に好意的な人間である。自分がそこで経験したことを記述したり、人に説明したりするためには、新しい概念と新しい言葉を自分でつくり出さなければならないという切迫を愛するのである。まだ見終わったばかりの、興奮さめやらぬ状態で、この映画のどこが私に切迫してきたのか、それについて書いてみたい。 この映画の「成功」(と言ってよいと思う)の理由は二つある。 一つは「観察映画」という独特のドキ

    sin16waki
    sin16waki 2014/12/29
  • ネット時代の共生の作法 - 内田樹の研究室

    ある学会誌からインタビューの申し込みがありました。携帯の廃棄物としての重要性を論じるという切り口だったのですけれど、いつのまにあぜんぜん違う話になってしまいました・・・ 学会誌なので、一般読者の目に触れる機会がないと思いますので、ここに採録しておきます。 現在、人口比一人1.3台所持しているといわれる携帯電話。その一方で、出荷数2,610万台のうち、その70%の1,780万台が廃棄されています。これだけ消費されている携帯電話ですが、ケータイやネットによるいじめや犯罪など、現代の社会問題としてもクローズアップされてきています。この膨大な廃棄物となる携帯電話は、何のために利用され、わたしたちのくらしとどう折り合いをつけていくのか。人間の社会活動に造詣の深く日和らない、武道家であり思想家である内田樹氏に、ネット社会のありようやこれからの社会の行方を伺いました。みなさんとともに考えていきたいと思い

    sin16waki
    sin16waki 2014/09/05
  • 「若者よマルクスを読もう2」まえがき - 内田樹の研究室

    『若者よマルクスを読もうII』 が7日に書店に並ぶので、販促のために「まえがき」を掲げておきます。おもしろいですよ。買ってね。 みなさん、こんにちは。内田樹です。 『若者よマルクスを読もうII』は石川康宏先生と僕の同名の共著の続編です。このシリーズの企図はオリジナルの「まえがき」にも、書に収録した『韓国語版への序文』にも書いてあります。若い人たちにひとりでも多くマルクスを読んで欲しい。それが著者ふたりの素朴な思いです。 今、若い人たちはもうマルクスを読みません(日だけでなく、世界中がそうです)。若い人に限られない。もう誰もマルクスを読まない。僕たちはこの否定的な現実から出発しなければならないと思います。でも、なぜ誰もマルクスを読まなくなってしまったのか? 超大国アメリカの人たちは1950年代なかば、マッカーシズムの時代に「マルクスを読む」という知的習慣を国民的規模で放棄しました。「私

    sin16waki
    sin16waki 2014/09/04
  • 大瀧詠一の系譜学 - 内田樹の研究室

    2013年12月31日、大瀧詠一さんが亡くなられた。 むかしばなしを一節語って供養に代えたい。 1976年の3月に野沢温泉スキー場で『楽しい夜更かし』を聴いたのが最初の大瀧音楽経験だった。スキー場から戻ってすぐにレコード店に行って『Niagara Moon』を買い、以後37年忠実なナイアガラ-として過ごした。 大瀧さんとはじめてお会いしたのは2005年8月21日。そのときの感動については当時の日記に詳しいので再録。 「行く夏や明日も仕事はナイアガラ 長く生きているといろいろなことがある。 まさか大瀧詠一師匠にお会いできる機会が訪れようとは。 お茶の水山の上ホテルの玄関で、キャデラックで福生にお帰りになる大瀧さんを石川くんとお見送りして、ただいまホテルの部屋に戻ってきたところである。 午後3時から始まった対談は二次会のホテルのレストランから「営業時間終わりです」と言われて追い出されるまでなん

    sin16waki
    sin16waki 2013/12/31
  • 日本のシンガポール化について 実態 (内田樹の研究室)

    「シンガポールに学べ」という論調をよく見かける。 今朝の毎日新聞にもそういう記事が出ていた。 こんな記事である。 シンガポールの高級住宅街に一人の米国人移民が暮らす。ジム・ロジャーズ氏(70)。かつてジョージ・ソロス氏と共にヘッジファンドを設立。10年間で4200%の運用成績を上げたとされる伝説的投資家だ。市場は今もその言動を追う。 「シンガポールは移民国家だからこそ、この40年、世界で最も成功した国となった。移民は国家に活力や知恵、資をもたらす」。プールサイドで日課のフィットネスバイクをこぎながら熱弁をふるう。 シンガポールの人口531万人のうち4割弱が外国人。超富裕層から肉体労働者までさまざまな移民を積極的に受け入れる。少子化にもかかわらず人口は過去10年で100万人以上増えた。1人あたり国内総生産(GDP)は2012年は世界10位。5万ドルを超え、日をしのぐ経済成長を遂げる。「外

    sin16waki
    sin16waki 2013/08/20
  • 同一労働最低賃金の法則について - 内田樹の研究室

    自治労のセミナーで「橋下政治について」のシンポジウムに招かれた。 コーディネイターはTBSの金平茂紀さん。パネラーは香山リカ、湯浅誠のご両人と私。 個別的な政策の適否や政治手法については、もう多くの人が語っているので、屋上屋を重ねることもない。 まだ、この政治現象について「誰も言っていないこと」を言わないと、せっかく日帰り東京ツァーに出た甲斐がない。 私は「海外メディアは橋下徹と大阪維新の会をどう見ているか」というところから始めた。 私はフランスの『リベラシオン』の電子版で定期的に「フランスのメディアは日での出来事をどう見ているか」をチェックしているが、『リベラシオン』にはキーワード「hashimoto」でも「maire d’Osaka」でも記事は存在しなかった。 『ル・モンド』には「大阪のポピュリスト市長が既成政党と官僚に全方位的に攻撃を加えている」という記事があったが、日におけるこ

    sin16waki
    sin16waki 2012/07/26
  • 相互扶助と倫理について - 内田樹の研究室

    片山さつき議員による生活保護の不正受給に対する一連の批判的なコメントが気になる。 「相互扶助」ということの義に照らして、この発言のトーンにつよい違和感を持つのである。以下は朝日新聞の報道から。 人気お笑いコンビ「次長課長」の河準一さんの母親が生活保護を受けていたことが、週刊誌報道をきっかけに明らかになった。4月12日発売の週刊誌「女性セブン」が最初に匿名で報じた。「推定年収5千万円」の売れっ子芸人なのに母親への扶養義務を果たさないのは問題だ、と指摘した。翌週にはインターネットのサイトが河さんの名前を報じ、今月2日に自民党の片山さつき参院議員が「不正受給の疑いがある」と厚生労働省に調査を求めたことをブログで明かすと、他の週刊誌や夕刊紙が相次いで取り上げた。 報道を受け、所属事務所よしもとクリエイティブ・エージェンシーは16日、コメントを発表。河さんの母親が生活保護を受けていたことを認

    sin16waki
    sin16waki 2012/06/08
  • 沖縄タイムス・ロングインタビュー - 内田樹の研究室

    沖縄タイムスから基地問題と安保についてのインタビューを受けました。 記者の方が終わりに書いているように、僕はもちろん外交や安保のことについてはまったくの素人です。でも、どんな業種の人の話をきいても「筋の通った話」と「筋目がごちゃごちゃの話」は区別できます。 沖縄問題は、政治家や学者から「筋が通った話」を聴いた覚えがありません。 「筋が通っている」のは沖縄現地の人たちの「基地があるせいで、生活者レベルで苦しみが多い」ということと「基地があるせいで、経済的振興策の恩恵を受けている」ということに「引き裂かれている」という現実感覚だけです。 「引き裂かれていて、気持ちが片付かない」という沖縄の人の感覚だけは「筋が通っている」。 奇妙な言い方ですけれど、「これは筋が通らない話だ」というアナウンスメントがいちばん「筋が通っている」ということがありえます。 それは「自分の発信する情報の読み方を指示するメ

  • 経済成長の終わりと贈与経済の始まりについて - 内田樹の研究室

    平松邦夫さんの新しい政治運動のためのシンポジウムがあった。 労働組合や既成政党が土台という「ふるい」タイプのムーブメントはもう賞味期限が切れていると思うけれど、それへのオルタナティブがみつからない。 「オルタナティブがみつからないで困ったよ」という全員の困惑がはっきり前面に出ていたという点で、私にはなんとなく新鮮であった。 平松さんの市長時代の最後のパーティは選挙応援のためのものだった。3000人くらい集まった集会で、たいへんな熱気だったけれど、労組、政党、業界団体が集票マシンになるという、「ふるいタイプ」の集まりだった。こういうやり方では変化の激しい時代には対応がむずかしいだろうという気がした。 そのときよりはるかに人数は減っていたけれど、昨日のシンポジウムでは明らかに「みんな戸惑っていた」。 これはよい徴候だろうと私は思った。 戸惑うときには、しっかり戸惑った方がいい。 今までのやり方

    sin16waki
    sin16waki 2012/04/10
  • 大学における教育-教養とキャリア - 内田樹の研究室

    去年の11月に追手門大学の建学45周年行事にお招き頂き、記念講演をしました。 そのときの講演録が活字になって配布されました。 手元にはデータが残っていましたので、ブログでご紹介致します。 だいたい「いつもの話」なんですけど、ところどころ「新ネタ」もあります。 はじめに 僕が第一回目の講師だということで多少不安に思っています。僕は3か月前まで大学教師だったのですが、今では大学のことを忘れつつあります。今日は「大学における教育」というテーマですので、記憶が残っているうちに語ることができればと思います。 この3か月で「あなたは変わった」と周囲の人に言われる機会が増えました。「以前はもう少し節度があった」そうです。当時は神戸女学院大学という看板を背負っていたため、自制していた部分も多かったのです。看板がなくなった途端、気楽になってしまい、各所で「言いたい放題」になっています。組織の中の人間は気づか

    sin16waki
    sin16waki 2012/04/06
  • 教育の奇跡 - 内田樹の研究室

    『みんなのねがい』(全障研出版部)という媒体に教育について寄稿した。 「いつもの話」ではあるが、教育についてビジネスマンのような言葉づかいがあまりにメディアに瀰漫してるので、「教育はビジネスの言葉づかいでは語れない」という原理的なことを確認するために書いた。 「教える」という営みの質についてもっとも洞察に富んだ言葉を残したのは、フランスの精神分析家ジャック・ラカンである。ラカンは(やがてフランス中の知識人がエコール・ノルマルの講堂を埋め尽くすことになる)その伝説的なセミナールの最初の時間にこう述べた。 「教えるというのは非常に問題の多いことで、私は今教卓のこちら側に立っていますが、この場所に連れてこられると、すくなくとも見掛け上は、誰でも一応それなりの役割は果たせます。(・・・) 無知ゆえに不適格である教授はいたためしがありません。人は知っている者の立場に立たされている間はつねに十分に知

  • 『百年目』のトリクルダウン - 内田樹の研究室

    子守康範さんのMBSラジオ『朝からてんこもり』に三ヶ月に一度出演している。今回は「冬の出番」。 日曜に迫った大阪ダブル選挙の話は放送の中立性に抵触するデリケートな話題なので、微妙に回避。 子守さんが今朝の新聞記事から、ユニクロの柳井会長兼社長の「グローバル人材論」を選んだので、それについてコメントする。 柳井のグローバル人材定義はこうだ。 「私の定義は簡単です。日でやっている仕事が、世界中どこでもできる人。少子化で日は市場としての魅力が薄れ、企業は世界で競争しないと成長できなくなった。必要なのは、その国の文化や思考を理解して、相手と音で話せる力です。」 ビジネス言語は世界中どこでも英語である。「これからのビジネスで英語が話せないのは、車を運転するのに免許がないのと一緒」。 だから、優秀だが英語だけは苦手という学生は「いらない」と断言する。 「そんなに甘くないよ。10年後の日の立場を

  • 雇用と競争について - 内田樹の研究室

    フェリスへの行き帰りの新幹線車中で、下村治『日は悪くない、悪いのはアメリカだ』(文春文庫)を読む。 先日、平川克美君に勧められて、これと『日経済成長論』を買った。 下村治は明治生まれの大蔵官僚で、池田勇人のブレーンとして、所得倍増計画と高度成長の政策的基礎づけをした人である。 1987年のだから、24年前、バブル経済の初期、アメリカがレーガノミックスで「双子の赤字」が膨れあがり、日では中曾根首相が「国民一人100ドル外貨を消費しよう」と輸出過剰を抑制しようとしていた時代のである。 24年前に書かれた経済分析のが、四半世紀を経てなおリーダブルであるということにまず驚かされる。 リーダブルであるのは、(リーマンショックによるアメリカ経済の崩壊を含めて)下村が指摘したとおりに国際経済が推移したからである。 これだけ長い射程で日米経済のありようを見通せたのは、下村のものを見る眼がきちん

    sin16waki
    sin16waki 2011/10/20
    雇用と競争について (内田樹の研究室)
  • 格差と若者の非活動性について - 内田樹の研究室

    ある媒体から若者の労働観についてアンケートを受けた。 みじかい回答を期待していたはずだが、やたら長くなってしまったので、たぶんこのままでは掲載されないだろう。 自分としてはたいせつなことを書いたつもりなので、ここに転載して、諸賢のご叱正を乞うのである。 Q1.現在、世界では、経済格差(世代間格差ではなく、金持ちとそうではない人との格差)や社会への不満に対して、多くの若者たちが声を上げ、デモを起こし、自分たちの意見を社会に訴えようと行動しています。翻って日ではここ数十年、目に見える形での若者の社会的行動はほとんど見られません。これだけ若者たちにしわ寄せが行く社会になっているのに、そして政策的にも若年層に不利な方向で進んでいるのに、若者たちはなぜ、社会に対して何かを訴えたり行動したりしないのでしょうか? それは特に不満を感じていないからなのか、それともそうした行動に対して冷めているのか。ある

    sin16waki
    sin16waki 2011/10/19
    格差と若者の非活動性について (内田樹の研究室)
  • 内田樹の研究室

    ローカリズム宣言 地方移住のための情報誌「TURNS」で2年間ほど連載していたインタビューを採録しました。グローバル資主義の終焉、少子高齢化による過疎化と限界集落化という現実を踏まえて、「地方移住・帰農・山河の回復」というオルタナティブについて提言をしております。 昨日うかがった話では、地方移住支援のためのある NPO の窓口を訪れた人は去年一年で 25,000 人、10 年前の 10 倍にのぼるそうです。半数以上が 20 代 30 代とのこと。 この趨勢はもう止まることがないでしょう。 デコ/2017-12-07 変調「日の古典」講義 安田登さんと二人であちこちで行った対談の集成。話題は『論語』から能楽まで多岐にわたります。安田さんが何か驚くべきことを言うとこちらも負けじとさらに驚くべきことを言い、安田さんがそのような挑発を受け流すはずもなく、さらに驚くべき話で切り返す・・・という悪

  • 情報リテラシーについて - 内田樹の研究室

    朝日新聞の「紙面批評」に書いたものを再録する。 長すぎたので、紙では数行削られているが、これがオリジナル。 「情報格差社会」 情報格差が拡大している。一方に良質の情報を選択的に豊かに享受している「情報貴族」階層がおり、他方に良質な情報とジャンクな情報が区別できない「情報難民」階層がいる。その格差は急速に拡大しつつあり、悪くするとある種の「情報の無政府状態」が出現しかねないという予感がする。このような事態が出来した理由について考えたい。 少し前まで、朝日、読売、毎日などの全国紙が総計数千万人の読者を誇っていた時代、情報資源の分配は「一億総中流」的であった。市民たちは右から左までのいずれかの全国紙の社説に自分の意見に近い言説を見いだすことができた。国民の過半が「なんとか折り合いのつく範囲」のオピニオンのうちに収まっていたのである。これは世界史的に見ても、かなり希有な事例ではないかと思う。 欧

    sin16waki
    sin16waki 2011/09/16
    情報リテラシーについて (内田樹の研究室)
  • 教育基本条例について - 内田樹の研究室

    大阪維新の会が教育条例の素案をまとめた。 知事・市長による教育目標の設定や教育委員の罷免権など、教育委員会に対する政治主導を明記したほか、校長による教職員への権限強化など組織管理の徹底も打ち出している。 その趣旨は基条例の冒頭に示されている。 「教育行政からあまりに政治が遠ざけられ、教育に民意が十分に反映されてこなかったという不均衡な役割分担を改善し、政治が適切に教育行政における役割を果たし、民の力が確実に教育行政に及ばなければならない」。 教育の独立性についても、従来の教育現場からは違和感のある理解が示されている。 「教育政治的中立性や教育委員会の独立性という概念は、従来、教育行政に政治は一切関与できないかのように認識され、その結果、教員組織と教育行政は聖域扱いされがちであった。しかし、教育政治的中立性とは、来、教育法(平成18年法律第120号)第14条に規定されていると

    sin16waki
    sin16waki 2011/08/23
    教育基本条例について (内田樹の研究室)