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ブックマーク / ides.hatenablog.com (11)

  • アスペルガー症候群の予後は明るいと考えていたアスペルガー - 井出草平の研究ノート

    アスペルガー症候群を発見したアスペルガー自身は当初、この症候群の予後は明るいと考えていた。いろいろな論文で指摘されていることだが、メモとしてその部分を1944年の論文から抜き出し。 自閉症とアスペルガー症候群 作者: ウタ・フリス,冨田真紀出版社/メーカー: 東京書籍発売日: 1996/05メディア: 単行 クリック: 15回この商品を含むブログ (8件) を見る 大半の夥しい数のケースでは、抜群の職業上の成果が期待でき、これにより社会参加が実現します。能力ある自閉症の人々は高い地位に昇り、その人々でなければ成しえぬことがあるとさえ思えるような飛び抜けた成功を収められます。それはまるで、彼らは自分たちの欠陥を穴埋めする補償能力を備えているかのようです。その揺るがぬ決意とシャープな知的才能は、彼らの創意あふれる精神活動には欠くことのできない要素であり、特異な関心事に現れた頑固一徹さには限り

    アスペルガー症候群の予後は明るいと考えていたアスペルガー - 井出草平の研究ノート
  • 香山リカ『うつで困ったときに開く本』のQ17に間違いがある - 井出草平の研究ノート

    うつで困ったときに開く (朝日新書) 作者: 香山リカ出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2009/12/11メディア: 新書購入: 3人 クリック: 15回この商品を含むブログ (9件) を見る Q&A形式でうつの疑問に答える。とても良いだと思ったが「Q17「セロトニン」の入った品をべた方がいいの?」に間違いがある。経口投与でセロトニンは増やすことができないと書かれているが、実際には可能である。香山の該当箇所は以下の記述である。 しかし実際には、葉酸やアミノ酸をちょっと口から摂っただけでは、それが脳内のセロトニンやその代謝経路に直接、何らかの影響を与えることは期待できない。口から入って消化管からうまく吸収され、血流に乗ったとしても、それは「脳血液関門」という誰にでもある体内バリアシステムに阻まれ、脳の中に移行することはできない。 ところが最近は、さらに手の込んだ解説がつ

  • 社会に合わせようとするから、社会と合わせられなくなっている - 井出草平の研究ノート

    ひきこもりについての論考。「ひきこもり」は社会へ適応しないのではなく、適応しようとするために逆に適応できない状態に陥っているという内容。非常に的確で興味深い論文。 加藤弘通,2006, 「ひきこもりの青年にとって働くということ--社会に向き合って生きようとする姿」 (特集 若者が働くということ--発達心理学的な視点から) 『発達』27(108),28〜34 つまり、誇大な夢を語った。「意味がない」と退けたりすることには、それなりの意味があるのです。例えば、「意味がない」と貰うAさんは、「アルバイトが続かないこと」について次のようた話します。 アルバイトすること自体はそれなりに楽しいし、その日その日は充実している。でもそれ にハマって、周りから頼りにされればされるほど、「このままじやあ、タメだ」という思いが強くなってくる。「このままじゃあ、またルートからはずれちゃう、終わっちゃうって。もちろ

    社会に合わせようとするから、社会と合わせられなくなっている - 井出草平の研究ノート
  • ロストジェネレーションは計量的に支持されない - 井出草平の研究ノート

    ロストジェネレーションというのは1973〜1982年生まれの世代のことを指す*1。景気の悪かった、いわゆる「失われた十年」に就職をしなければならなかった世代である。彼らは不景気により、正規雇用を得ることができず、割をったということである。2005年に景気回復があり、これ以降の世代は就職状況が良かったという認識から、狭間の世代がロストジェネレーション(ロスジェネ)と呼ばれている。 ロスジェネのうち先頭の1973年生まれの人は高卒で1992年、短大卒で1994年、大卒で1996年に就職している。一番後ろの1982年生まれの人は高卒で2001年、短大卒で2003年、大卒で2005年(就活は2004年)に就職した人である。 Wikipediaにはこのような解説がある。 この氷河期世代には、安定した職に就けず、派遣労働やフリーターといった社会保険の無い不安定労働者(プレカリアート)である者が非常に

    ロストジェネレーションは計量的に支持されない - 井出草平の研究ノート
  • 戸塚ヨットスクール 18歳入所者、飛び降り自殺か - 井出草平の研究ノート

    また戸塚ヨットスクールで自殺者がでたようだ。 戸塚ヨットスクール:18歳入所者、飛び降り自殺か 毎日新聞 2009年10月19日 12時39分 19日午前9時40分ごろ、愛知県美浜町北方の「戸塚ヨットスクール」の男性コーチから「人が3階から飛び降りた」と110番があった。県警半田署によると、同スクールの寮西側通路で入所者の女性(18)が倒れているのが見つかったといい、病院に搬送されたが死亡が確認された。自殺とみて調べている。女性は16日から入所していたという。 同署によると女性は直前、コーチ1人と別の入所女性1人の計3人で、地上3階建ての寮の屋上で布団を干していた。作業中に約1.5メートルのコンクリート製の屋上のへりを乗り越え、西側路上に転落したらしい。同スクールは戸塚宏校長が情緒障害児に効果があるとして76年に美浜町に開設したヨット訓練校。【福島祥】 http://mainichi.jp

    戸塚ヨットスクール 18歳入所者、飛び降り自殺か - 井出草平の研究ノート
  • 早期教育を受けた子はAD/HDや発達障害になる? - 井出草平の研究ノート

    「パパ、ママたちへの警鐘 早期教育で病んだ子どもたちが増えている」 『週刊朝日』2009年09月18日号 (記者:中釜由起子) http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/asahi-20090909-02/1.htm 『週刊朝日』に元北海道大学教授の澤口俊之氏の発言として以下のようなことが載っていた。 元北海道大学教授で、現在、人間性脳科学研究所所長の澤口俊之氏は言う。 「いちばん重要なのは、脳の発達パターンに合わせるということです。われわれの研究所で、0歳児から追跡調査を続けたところ、早期教育を受けた子は、1歳児でもキレやすく、6歳くらいになると、多動性傾向が非常に強く、注意力散漫であることがわかりました。 今、幼児教室や幼稚園などでなされているIQテスト教育などは、科学的根拠がないものが多い。子どもの脳は未分化で、乳幼児のころに教えたことが脳の

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  • うつ病の投薬治療フローチャート - 井出草平の研究ノート

    うつ病の治療フローチャートをモーズレイから紹介。 The Maudsley Prescribing Guidelines, Tenth Edition 作者: David Taylor,Carol Paton,Shitij Kapur出版社/メーカー: CRC Press発売日: 2009/10/30メディア: ペーパーバック クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る うつ病の薬物両方は、以下のような流れで開始する。 治療抵抗性うつ病の投薬に関しては以前のエントリ「難治性うつ病への治療法」を参照。 うつ病治療の方法論は上のように標準化されている。標準化されているので、どこのクリニックでも行われているのかというと、そうでもないようなのだ。初診から薬が変わっておらず、症状の改善がみられないままにずっと同じ薬が投与されている人に頻繁に会う。「効かない薬は変更する」という当たり前の対

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  • ADHDと暴力性 - 井出草平の研究ノート

    平気で暴力をふるう脳 作者: デブラニーホフ出版社/メーカー: 草思社発売日: 2003/10/17メディア: 単行購入: 2人 クリック: 19回この商品を含むブログ (6件) を見る 書の主旨の主旨は次のようなものである。暴力性を生み出すのは「生まれ」(遺伝子)か「育ち」(環境)かという対立が長年あった。しかし、「脳」という概念がその対立を統合して、整合的に説明することができるという。紙片のほとんどは脳と暴力性の関係性について書かれているが、最終的に主役になっているのはADHDである。後半の部分からADHDについての抜き出してみよう。 児童精神科にとっての最大の問題は「攻撃」だという。 「攻撃は、児童精神科における最大の問題です」と、スタンフォード大学医学部の児童青少年精神科臨床サービス部長カール・ファインスタインは言う。子どもの問題行動を扱っているほかの専門家も同じ意見だ。フィラ

    ADHDと暴力性 - 井出草平の研究ノート
  • 鈴木謙介『サブカル・ニッポンの新自由主義』の仮説を量的実証するためのメモ書き - 井出草平の研究ノート

    サブカル・ニッポンの新自由主義―既得権批判が若者を追い込む (ちくま新書) 作者: 鈴木謙介出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/10メディア: 新書購入: 11人 クリック: 185回この商品を含むブログ (99件) を見る このエントリでは『サブカル・ニッポンの新自由主義』で示された仮説の実証可能性について少し考えてみようと思う。このの世間的評価はアマゾンの書評などをみると、評価している意見もあるが、一方で、「情報量が多いが」であったり「自分の中のもやもやをストレートに出したような」などの否定的意見もあり、個人的にはいろいろと示唆に富む記述が多かったと思うだけに、少し残念だと思ったので、書評のような形ではない角度からこので示された仮説について考えてみたい。 書では「インターネット」の話と「新自由主義」の話の2つの事が書かれており、結論部分にジモトについてなどの考察が書

    鈴木謙介『サブカル・ニッポンの新自由主義』の仮説を量的実証するためのメモ書き - 井出草平の研究ノート
  • 井出草平の研究ノート

    pubmed.ncbi.nlm.nih.gov Kato, T. A., Sartorius, N., & Shinfuku, N. (2024). Shifting the paradigm of social withdrawal: A new era of coexisting pathological and non-pathological hikikomori. Current Opinion in Psychiatry. https://doi.org/10.1097/YCO.0000000000000929 要旨 レビューの目的 ひきこもり症候群は、日では1990年代後半から注目されるようになった。ひきこもりは都市部に多く、精神障害と併存することが多く、今や世界中に広がっている。COVID-19以降の時代では、外出しないこと自体がもはや「ニューノーマル」としてpathol

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  • 精神医学が臨床的に有害というのはよく分からない話 - 井出草平の研究ノート

    ひきこもりの社会学』 座談会について 3 http://d.hatena.ne.jp/ueyamakzk/20071203 上山さんが「カテゴリー化と薬剤談義に終始するタイプの精神医学」を批判したエントリ。具体的にその代表としてhotsumaさんを批判しているようだ。 上山さんの今回のエントリで最も不思議に思うのは、援助の重要な一端を担い、また、臨床的にも制度的にも必要とされている精神医学を「臨床的に有害」と述べている不思議さである。実際に精神医学は臨床的に有効である。また、社会の中で必要とされている*1。 臨床での有効性については、hotsumaさんは以下のように反論されている。 ぼくは患者の一部には長時間の心理療法を提供しているし、時間が限られた環境に対応するための技法もたくさんある。つたないながら、精神薬理学的な治療以外の手段を自分が持っていないと思ったことはない。上山さんは議論を

    精神医学が臨床的に有害というのはよく分からない話 - 井出草平の研究ノート
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