この人と対面したら、私もすぐに見抜かれちゃうんだろうか……。 本書の表紙に載っている、あまりに眼光鋭い著者の写真を見て、一瞬眼を逸らしてしまった。 サブタイトルには「20年間無敗、伝説の雀鬼の“人間観察力”」とある。勝負の世界に生きてきた著者が、これまで相手にしてきた敵を見抜く技術の数々を伝授してくれるのだろうと、この本を手に取った。 ただでさえ複雑な人間関係が渦巻く社会に生きている以上、敵とは思わずとも、なかなか手強いなという仕事相手に遭遇することもたびたびある。相手が何を考えているのか今イチわからなかったり、とらえどころがなかったり……。常日頃、もっと観察眼なり洞察力を身につけたいと思っていた次第でありましたので、これ幸いと。 著者の桜井章一は、麻雀界ではその名を知らぬ者はいないと言われる人物で、彼をモデルにした小説や劇画、映画もあるほどだ。現役を引退した現在は、麻雀を通して人間力を鍛