中野目 純一 日経ビジネス副編集長 2012年4月から日経ビジネス副編集長。マネジメント分野を担当し、国内外の経営者、クリステンセン、ポーター、プラハラードら経営学の泰斗のインタビューを多数手がける。 この著者の記事を見る
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このコラムについて 自他共に認める「活字オタク」であるライフネット生命保険の出口治明会長兼CEO(最高経営責任者)。その柔軟な発想や思考を支える無数の読書歴の中から、ビジネスや悩み解決に効く、とっておきの本を毎回、数冊ずつ紹介します。 記事一覧 出口 治明(でぐち・はるあき) 立命館アジア太平洋大学(APU)学長 1948年生まれ。京都大学を卒業後、日本生命保険に入社。同社を退職後、2006年にネットライフ企画設立、代表取締役就任。2008年にライフネット生命保険に社名変更。2013年6月より現職。 プロフィール詳細 記事一覧 2015年11月2日 「戦争を経験するぐらいなら死んだ方がまし」 戦争をリアルに仮想体験できる本 こんにちは。すっかり涼しくなりました。今月は一転、重いテーマで選書をします。戦争です。 2015年9月1日 「年金不安」報道に煽られないために 「経済俗論」に振り回され
「ゴーストライター」が話題になっている。 想像をかきたてる言葉だ。 どうして、創作の場に「ゴースト」が出現するのだろうか。 人間が何かを書く(ないしは「創作する」)という行為は、本来なら、ほかの誰かが肩代わりできる作業ではない、と、私たちは考えている。 少なくとも、建前ではそういうことになっている。 「文は人なり」 と、ことわざにもある通り、文章(をはじめとする、楽曲や絵画や彫刻作品のような「制作物」)は、それを創造した人間の本質を、あますところなく表現する、いわば、作者の分身だからだ。 でなくても、「創作」という物語の中では、作者と作品は、水と魚のように不即不離な小宇宙を経て、最終的には不可分一体なアマルガム(合成物)を結晶することになっていて、それゆえにこそ、「芸術」と呼ばれる商品の主たる購買層は、もっぱら、創造性の魔法(あるいは「天才」という超越者)を奉ずる人々によって占められている
ビジネスのデジタル化と言えば、ネット販売の新しい手法や、SNS(交流サイト)のマーケティングへの活用、あるいはスマートフォン(高機能携帯電話)などのモバイル機器の活用に関心が集中しています。 しかし、当社で様々な業界を対象に1年間にわたって研究した結果をまとめたリポート「Finding your digital sweet spot(デジタルスイートスポットを見つける)」によると、今後5年間でデジタル化された取引から得られる収益へのインパクトは平均20%だということが分かりました。 これは確かに数字としては決して小さくはありませんが、一方、デジタル化によってコスト削減を実現すれば、企業収益に与えるインパクトは平均36%にも上ります。企業はもっとこの増加インパクト方に目を向けるべきだというのが、このリポートの主張です。 「コスト削減」と「顧客満足度」を両立させた銀行業界 デジタル化を、流通チ
日本発のイノベーションともいえそうなデジタル通貨、「ビットコイン(Bit Coin)」がここのところ、世界の新しいモノ好きの間で注目を集めている。ビットコインはインターネット上で流通する通貨だ。日本の通貨が円(JPY)であるのと同様、ビットコインの単位はBTCという。電子マネーの一種ともいえるが、一般的な電子マネーとの決定的な違いは、通貨そのものであるのにもかかわらず、国家権力が発行に一切かかわらないことである。 発行元国家を持たないこの通貨は、今のところアングラで、一部のギーク(オタク)や、あまり表沙汰にしたくないような取引をする人の間で使われているだけの様子だが、少しずつ一般の人々の間でもその利用者数を増やしている。ブログサービスの世界最大手の一つであるWordpressも、2012年にはビットコインを一部の決済手段として受け入れるようになった。 近代史上では恐らく初めてとなる無国籍の
ピーター・ドラッカーやマイケル・ポーターといった経営学の大家が著した“古典”を読むだけでは、複雑さを増している現代のビジネス現象を解明し、競争を勝ち抜く戦略を見いだすことはできない。現在進行形の事象から得られた最新の知見を学び、戦略を組み立てることが必要だ。 このコラムでは、気鋭の経営学者たちが現代経営学の最先端の世界へと誘う。まずは、ポーターらが確立してきた競争戦略論の新潮流について、4人の俊英に解説してもらう。 今回は企業の強さを「エコシステム(生態系)」という視点で分析しようとする新しい考え方を取り上げる。この考え方では、ある企業が競争において強さを発揮できている理由をその企業の戦略ではなく、その企業がほかの企業と形成している「生態系」に求めようとする。 現実の企業は、個々に独立しているわけではなく、様々な企業と関係しながらビジネスを行い、その関係の上に強みを構築している。こうした現
今週は時期がぴったりなのでバレンタイン商戦の行方について書こうと思っていたのだが、なんだか出鼻をくじかれている。 発端はツイッターだ。 お察しの通り、入り浸りなのだ。困ったことだ。せっかく2ちゃんねるから足を洗って真人間に一歩近づいたのに、予後がこれではなんにもならない。 SNSへの依存は、単純なネット依存と比べて、「やりとり」への依存を含んでいる分だけタチが悪いかもしれない。 単純なネット依存は、活字中毒とそんなに変わらない。どっちにしてもこっちのキャパシティー(容量)に限度がある以上、たいしたことにはならない。 が、コミュニケーションへの依存には限度がない。 われわれは、ラッキョウを剥くサルみたいに、コール&レスポンスの泥沼にはまってしまう。とても厄介なことだ。 タイムラインを漂流してきたのは、ジャストミートなバレンタイン情報ではない。バレンタインデーに向けて「女子力」を高めるという設
昨日28日から『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?』が書店に並んだ。本サイトでの「ローカリゼーションマップ」連載をまとめて、さらに書き下ろしの文章を加えている。最後のチャプターでは、ローカリゼーションマップの考え方を解説した。異文化市場向けに商品を作る際のヒントを提供できればと願っている。 今回より3回、連載書籍化にちなみ、通常の隔週のコラム掲載の谷間となる週に、新刊本のテーマをめぐるインタビューを紹介していく。ローカリゼーションに詳しい3人の方に原稿を読んで頂いた上で、インタビューしたものだ。直接、書籍について語ってもらうというよりも、本をネタに雑感を語りあうカジュアルなスタイルをとった。 トップバッターは、昨年末から著書『イシューからはじめよ』がベストセラーとなっている安宅和人さん。東京大学で修士号を取得した後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに勤めたが、一転してイェー
Sommer Saadi(Bloomberg Businessweekインターン、ニューヨーク) 米国時間2010年7月26日更新「B-Schools All A-Twitter Over Social Media」 米ボストンのハーバード・ビジネス・スクール(ハーバード大学経営大学院)や米ニューヨークのコロンビア・ビジネス・スクール(コロンビア大学経営大学院)をはじめとする欧米のビジネススクールが、経営学修士号(MBA)のカリキュラムにソーシャルメディア関連の授業を組み込むケースが増えている。講座案内や担当講師の説明によれば、ハーバード大とコロンビア大を含め、少なくとも6つの名門ビジネススクールがここ1年で、インターネットマーケティングやソーシャルメディア戦略に関する講座を新設している。ソーシャルメディアに精通したビジネスパーソンを求める企業の要望に応えるためだ。 ソーシャルメディア責任
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 前回は「私の履歴書には専門性がありません! “狭く深く”より、“広く浅く”がすごいわけ」と題して、「専門性にこだわらなくても未来のキャリアが開ける」ということをお話しした。 これまでの数回でお話ししてきた“今後のキャリア作り”という観点から、ここで一旦離れよう。今日は、“変化の時代を生き抜く”ための、“よく生きるために働く”ための糧となってくれる「5つのスキル」についてお話をしていきたい。 5つのスキルは、数年前に私が人事やキャリアコンサルティングを通して1万人以上の方にお会いしてきた中でまとめたものだ。現在、企業向けに実施している企業理念コンサルティングのベースともなっている。 “5スキル”は働く一人ひとりが、自立的に働けるようになるために
新年度が始まりました。何となく新しいことにチャレンジしてみたくなる春、経済を学んでみませんか? 入門書からデフレ、マクロ経済政策、世界金融危機まで学べる本を選んでみました。 経済学って一体何を学ぶ学問なの? 数字やむずかしい統計の知識がないと経済って分かんないんじゃない? 小難しい理論ばかりで実際の生活や仕事に役に立つの? お勉強はいいから、早く景気が良くなる方法を教えて! そんな食わず嫌いの人もいらっしゃるでしょうが、まずはこのうちの1冊でも読んでみてください。人はもう欲しいものはなくなってしまったのか、ものが売れないのはなぜか、経済成長は必要ないのか、デフレが怖いのはなぜか――。これらの疑問を整理し、問題の本質を知ることができるはずです。 経済学的思考の基礎や算数で考える統計学など、一人でも学べる入門書だけでなく、ある程度の知識がある人向けには、マクロ経済政策やデフレの本質について論じ
過去5回にわたって、新ウェブサービス「Twitter(ツイッター)」について、ジャーナリストやメディア関係者、企業経営者といったインタビューを通じて、社会に与えるインパクトを考察してきた。 最終回は、日本にTwitterを持ってきた張本人に、サービス開始から今後の展開までを聞く。ネットビジネス支援のデジタルガレージで、ベンチャー企業の発掘や育成などの分野を担当している枝洋樹氏だ。 NBO 「Twitter(ツイッター)」は、現時点で英語版以外には日本語版しかありません。日本市場の開拓に力を入れているように感じます。 枝 洋樹(以下、枝) 日本語版のサービスが始まったのは2008年4月ですが、その前から日本からTwitterへのトラフィックが多くありました。2006年に英語版でサービスが始まった時から、日本語でつぶやくことはできたんですよ。若干バグもあったようですが、回避するノウハウをみんな
壇上でマイクを握るのは、CEO(最高経営責任者)原田泳幸、60歳。静かな自信を感じさせる落ち着いた口調で、就任からの5年間を振り返る。 「全店売上高(FC店の売上高を含む全店舗の売上高の総計)、5183億円」。会場がわっと沸く。日本の外食産業で初めて5000億円の大台に乗せた。「経常利益182億円、当期純利益123億円」。減収減益は当然のこと、赤字決算すら目立つ外食産業にあっては「独り勝ち」の観がある好業績だ。社員たちから歓声が上がった。 売上高の伸びを描いたグラフが、壇上のスクリーンに大写しされる。見事に右肩上がりの弧を描くそのラインの傍らに描かれているのが、「赤いバス」のイラストだ。 同社の社員たちがそのイラストを目にするのは5年ぶりのことだった。強烈な記憶として目に焼きついている赤いバス。原田がそこに込めた真意を、誰もがよく知っている。 「バスに乗るか、乗らざるか」 5年前の2004
2008年12月期の全店売上高(フランチャイズチェーン店の売上高を含む全店舗の売上高の総計)は、前期比4.9%増の5183億円。国内の外食産業で初めて5000億円の大台に乗せた。 経常利益は同16.8%増の182億3900万円。当期純利益は、同58.5%増の123億9300万円。減収減益や赤字決算が相次ぐ外食産業で、「一人勝ち」と言ってもいい結果である。 消費不振が続く今期も増収増益を予想 2009年12月期の業績予想でも、全店売上高は同2.3%増の5300億円。経常利益は同20.6%増の220億円、当期純利益は同1.7%増の126億円と、増収増益を見込む。 日本マクドナルドの業績がここまで好調なのはなぜか。 多くの人は、「低価格」を理由として挙げるだろう。同社は、まだデフレが続いていた2000年にハンバーガーの価格を平日限定で65円に引き下げるなど、「価格破壊」によって業績を拡大。「ユニ
最終回の今回は、組織変革の「臨界点」について紹介し、総括したいと思います。 前回、「組織を変革する際には、そのきっかけをリーダー自らが創り出す必要がある」とお話しました。 ここで、リーダーが注意しなければならない重要なポイントがあります。それは、「組織変革には臨界点が存在する」ということです。どれほど組織に変革の兆候が見え始めたとしても、「臨界点を超えるところ」まで継続しなければ、慣性が働いて組織は元の状態に戻ってしまうのです。 リーダー自身が、「変革のトリガー」を引く この組織変革の臨界点について分かりやすく伝えるために、「メンバー20人の営業所が変化していくプロセス」を例に取って解説します。 私はコンサルティング会社を経営している関係で、経営者や営業・人事部門のリーダーにお会いして相談を受けることが多いのですが、以前、ある会社の営業所長からこんな悩みを相談されたことがあります。 「職場
一球ごとに、バッテリーの狙いを、素人にわかりよいことばにする。楽天のノムさんの、次の投球を読む解説は、聞くだけで野球について物知り気分となる面白さがある。「裏」を読むということでは、これはノムさんに似ているかも、と思わせるのが、本書だ。 著者は、前著の『本の読み方──スロー・リーディングの実践』で、デキルやつはやっているといわれる「速読」の不毛さを指摘し、本はじっくり、疑問に思うところは立ち止まり、できれば何度も読み返す「遅読」こそが、自分を養う力になると提唱している。 あっという間に読めた。すらすら読めた。というのが、いまは賛辞に使われたりするが、ほんとうにそれは褒められることなのか。著者は京大生時代にデビュー作『日蝕』で芥川賞を受賞し、それがあまりに難解すぎて歯が立たないと評判になった作家である。ものすごい量の本を読みこなしているであろう彼が、「遅読」。 さて、その続編にあたる本書でテ
突然ですが、問題です。 ・三菱グループの社員が飲むビールの銘柄は? ・帝国ホテルとホテルオークラの関係は? ・富士電機、富士通の「富士」の文字のいわれは? いずれも、日本企業、特に財閥の歴史と密接に関連する質問だが、全問すらすら答えられる人はどれくらいいるだろうか。 本書は、明治維新後から戦前にかけて成立した財閥の沿革を現在まで紐解き、企業と企業の意外なつながりや、創始者や中興の祖の隠れたエピソードを紹介する。事実の羅列が中心で、目を見張るような主張や発見が述べられるわけではないが、財閥企業で働く人はもちろん、就職希望の学生、取引のある営業マンは手にとってみてはどうだろう。 そもそも、「財閥」とはジャーナリズムが使い始めた言葉であり、手許の広辞苑にも「俗に、金持ちの意」とあるくらいだ。明治を過ぎたあたりから次第に、同一家族が経営母体となった巨大企業の連合体を指すようになり、現在は〈富豪の家
いまから15年前、「笑っていいとも!」に、小説家としてデビューしたばかりだった、演出家の久世光彦がゲスト出演したときのこと。 「直木賞、残念でしたね」という司会のタモリに対して、久世が「でも、山本周五郎賞はいただきましたから」といっていたのが妙に記憶に残っている。少なくとも当時高校生だった僕には、その態度を見て、直木賞落選をとくに悔やんでいるふうには思われなかった。 だが本書によれば、実のところ久世は複雑な心境を抱いていたようなのだ。このとき直木賞の候補にあがったのは、江戸川乱歩を主人公にした長編『一九三四年冬──乱歩』という、久世にとって初めての小説だった。同作が山本周五郎賞を受賞したのは直木賞候補にあがる前月(1994年6月)のことである。 久世は直木賞について、落選直後、朝日新聞に連載していたエッセイの最終回で次のように書いている。 〈自分が出会うなんて予想もしていなかったものは、や
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