4,000人が死亡、10万人以上が健康被害を受けた最悪の公害事件 ロンドンは温暖化対策やリサイクル政策などで世界の先端を行く「エコ・シティ」です。 2012年のロンドン・オリンピックでは「環境に配慮したオリンピック」がテーマだったし、行政のエコロジー政策と民間レベルでの環境保護意識は世界のお手本となるべきものです。 現代のロンドンがこのような環境保護意識が高いのも、かつての苦い経験があってのことに違いありません。 1952年12月に発生した大規模なスモッグは、5日間の間ロンドン市を襲い、これにより少なくとも4,000人が死亡、10万人が肺や呼吸器官に異常をきたす史上最悪の大気汚染事件でした。 1. 汚染物質に閉じ込められるロンドン 「霧の町ロンドン」 ロンドンは「霧の町」と言われることがあります。 地形的に霧が発生しやすいということではなく、産業革命の中心地であったロンドンでは、工場や家庭