土方 アメリカの作品でNetflixで配信されてます。当初の企画から予想だにしない方向へ企画変更されていく事態そのものが、めちゃくちゃスケールもでかくて面白い。始まりは、監督自らドーピングをバレないようにやって、自転車レースでどこまでいけるかっていうのを検証する、『スーパーサイズ・ミー』みたいなノリの人体実験ドキュメンタリーになるはずだったんです。ところが、ドーピングに協力的なロシアの研究所の気のいい所長が登場してからトーンが少しずつ変わる。まさにこの人が、いまもくすぶり続けるロシアが国家ぐるみで起こしたドーピングスキャンダルの全てを知る人物だったから。 佐々木 現代的だなと思ったのは、監督がうまく「自撮り」を取り入れている点です。ある種、泥臭い感じもするんだけど、その親しみやすいテイストのおかげで、「巨悪を暴いてやる」みたいなトーンにならない。国家規模の陰謀やドーピング問題を扱っているか
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