監督第一作にして各国の映画祭を総なめにしたコートニー・ハント監督と、今作でアカデミー主演女優賞にノミネートされたメリッサ・レオの息のあったコラボレーションがこの傑作を生んだ。思いがけず国境を渡る不法移民の密入国という犯罪に関与することになる主人公の主婦レイと、彼女と偶然出会う先住民であるモホーク族の若い女性ライラ。カメラは舞台となるアップステート・ニューヨークにある過疎化した街の風景、タイトルの由来となっているカチカチに凍ったセントローレンス川、そしてカナダとの国境に面したモホーク族の保留地を、冷え切った空気がスクリーンから伝わってくるような色調で切り取る。雑多に物が置かれたトレイラーハウス内の描写や、さびれた街の様子など、リアリティを追求した画面がひたひたと押し寄せるサスペンスを高め、ふたりを中心とした登場人物たちへの細やかな眼差しと、ぴりっとした緊張感を終始持続する編集のリズムはよどみ