千葉県市原市の山あいに位置する市原刑務所は、交通犯罪の受刑者を専門に収容する施設で、「交通刑務所」と呼ばれている。受刑者は更生プログラムや刑務作業に日々取り組み、一時の気の緩みで他人の人生を狂わせてしまった現実や加害者としての自分と向き合っている。施設での生活を取材した。(共同通信=永井なずな) ▽代償 「『取り返しがつかない』という言葉ですら表せない」。飲酒運転で死亡事故を起こして服役中の30代男性が昨年11月、刑務所内で記者のインタビューに応じた。服役して1年半が過ぎ、刑期を7割ほど終えた男性。事故時は20代後半で、妻と子どもを持つ「ごく普通の会社員」だった。 その日、外出先で酒を飲んだ。「酔いが覚めたら車で帰ろう」。そう考えて仮眠を取った後、慣れた道を運転し、高齢者の乗る自転車に追突し、逮捕された。「取り調べで、刑事さんから『落ち着いて聞いて』と言われ、相手の死亡を告げられた。とても