彼女はついにホールの外で泣き出してしまいました。 厳しいレッスンに耐えてきて、やっとたどりついた演奏会の日。しかし、途中で暗譜が分からなくなり数回止まってしまったのです。 ピアノは、コンクールや受験では暗譜が義務づけられていて、止まらずに最後まで弾きとおせるかどうかというのは大きな採点ポイントとなります。どんなに素晴らしい才能にあふれていても、止まってしまうことは失敗となってしまうのです。 演奏後、聴きに来ていた彼女の先生からお叱りを受けているのがそばにいて聞こえました。 先生も一生懸命教えていらしたことを聞いていました。期待していたのでしょう。もどかしくも腹ただしい気持ちが感情的にさせてしまっていることが分かりました。 しかし、音楽である程度のレベルまで到達するような人はセンシティヴな人が多く、自分が失敗したことのショックをだれよりも一番感じています。常に自分を強く責めているのです。 私