「ゴリラ女房」という民話が沖縄にある。あるのだ。細かいことは、たとえばtera(西)さんの【妖怪図鑑】新版TYZのゴリラ女房の項を参照されたい。 この「ゴリラ女房」、妖怪数寄の中の一部には以前から知られていたが、世間への知名度は低く、なにしろ二十年前にその存在を知った京極夏彦氏がディープな妖怪マニア「妖怪馬鹿」を自認する友人の村上健司・多田克己両氏に話したところすぐには信じてもらえなかったというほどなのである。 そんな「ゴリラ女房」が、先日深夜番組とはいえラジオで取り上げられ、世間の耳目を集めたということで私の周囲のゴリラ女房好きたちも騒然としている。 私はかつて、同人誌『空亡 年末号』(2018 亀山書店)においてゴリラ女房の類話としてUMA「ビッグフット」が人間の男をさらう話を把握しようとする試み『ビッグフット女房譚』を発表したことがあった。『空亡 年末号』はすでに版元の亀山書店にも在