第122回 消費税論議を吹き飛ばす、相続税改正の大きなパワー 経済アナリスト 森永 卓郎氏 2008年3月3日 消費税率引き上げ論争の陰にすっかり隠れてしまっているが、実は、手がつけられていないもう一つの税制改革がある。それが、相続税の課税強化だ。不思議なことに、一切議論になっていないが、これは非常に大きな問題をはらんでいるのである。 現在、相続税の課税対象になっている金額は11兆円である。さらに、基礎控除があったり固定資産の評価の問題があったりして、実際に納税された相続税はわずか1兆円に過ぎない。 2007年度の税収53兆円のなかにあって、1兆円というのは確かにたいした額ではない。だが、この相続税は使い方しだいで、財政赤字を根本的に解消するほどの大きなパワーを持っていることを知っておいていただきたい。 内閣府が2月8日に発表した2006年度の「国民経済計算」という統計によると、国