日本型の社会組織が、ITを抑制するように働いた ── 日本は柔軟に対応できるといわれたはずなのですよね。ところが、いまは逆のことが起こっている。 野口 それは、GPTの種類によるのですね。「電力の場合にはイギリスに不利な技術変化だったけれど、ITは逆で、日本に不利な技術変化だ」というのが、この本の主張です。 例えば、ITは1980年代以降のものですから、その頃すでに企業の中堅になっていた世代の人たちが、いま企業において決定権を持っているわけですね。その人たちは、新しい技術に適応力を持っておらず、ITが得意なのは若い人です。だから、もし会社の中でITを活用するようなことになったら、下克上が起こる。 そういう人たちがITの導入に積極的な考えを持つとは考えられません。これは、日本型企業のひとつの特徴である年功序列制が、新しい技術の導入に抑制的に働くことを意味します。 ── ITと年功序列という話
積読・読書途中の本に関する雑感や、オンライン上の面白コンテンツ、そして世の中の不合理に対する暴言を脊髄反射的に記す。 yutakashino (柏野 雄太) another weblog: kashino.exblog.jp Archive Amazon.co.jp: 非線形な世界: 大野 克嗣 http://www.amazon.co.jp/dp/413063352X 理論統計力学の第一人者であるイリノイ大学の大野克嗣さんの新著である。 単純にこれ面白い。 たしかに、計算論だとかOdlyzkoのRiemannζの非自明の零点の分布の数値計算だとか哲学だとか文学などが、各章の脚注や課題にちりばめてあって、そんなの一言じゃ説明しきれんだろ、なぜそれらを一々言及する必要があるのだ的な衒学臭にまみれているといえば、そういえる(そして、Odlyzkoの業績への言及は、言及されている前後の文脈を見て
本は分解・スキャンして寝床を確保 (作業手順解説) 猫本棚 白光 ハッコーヒーティングガン 883B 100V-1KW平型プラグ 883-13 "1: まず本のカバーを外してから背表紙を剥がします。このときドライヤーで本の背を暖めて糊を溶かし気味にすると楽に背表紙を剥がせます。ヒートガン(工業用ドライヤー)があるとより手早く作業できます。それから、ユリイカの目次やラノベの擬似ポスターのように折り返しになってるページは、この作業のすぐ後に展開しておきましょう。忘れて裁断すると涙目になりますから。" プラス 断裁機 PK-513L 裁断幅A4タテ 26-106 "2: 次に本の背を綴じた糊を含めて5〜10mmほど裁断機で裁ち落とします。糊が残っているとスキャナに汚れがついて画像に黒い縦スジが入るので余分に切るのがコツです。この裁断機は力をかけずとも垂直に裁ち落とせるので特にお勧めです。(PK-
ナシーム・ニコラス・タレブの『ブラック・スワン』を下巻の3分の1ぐらいまで読みました。評判通りの(?)悪文、ではなくて文学的な文章なので、理解しようとしながら読むと結構時間がかかります(『まぐれ』はそれほどでもなかったような気がするんだけど……)。僕?すでに全てを理解するのはあきらめていますが何か。 というわけでちゃんとした書評は弾さんにお任せするとして、ちょっと面白いと思った箇所を。上巻の後半部分、情報の多さが必ずしも良い結果をもたらさないことを解説する部分で、こんな実験が紹介されています: 人を集めて2つのグループに分け、ピンぼけの消火栓を見せる。それがなんだか見分けられないぐらいのピンぼけだ。一方のグループでは、解像度を10段階に分けてゆっくり上げる。もう一方のグループではもっと素早く5段階で上げる。同じ解像度の画像のところで、それぞれのグループに何の画像か尋ねる。写っているのが消火
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林譲治「ルナ・シューター」 (幻狼ファンタジアノベルス)が3巻で完結した。面白かった。 2025年、月に人間とは異なる知性体が出現し、人類と戦闘状態に突入する。敵は人間のような形状をした「ラミア」。ラミアはロボットなのか、ヒューマノイドなのか、知性体なのか、別の知性体が作り出した道具なのか、そもそもどこから来たのか、何の為に来たのか、皆目分からない。 地球からの補給が限られる月面での戦闘は困難を極めた。最小の物資と損害で最大の戦果を挙げるため、人類が採用した戦闘法は、遠距離からの狙撃だった。 第1巻では、月面での長距離狙撃戦が展開する。第2巻では月面に駐在する軍隊内の軋轢と、その結果の暴走がとんでもない結果を呼び込む。第3巻では一気にハードSF成分が増え、様々なSFガジェットが組み合わされ、驚愕のラストへと至る。 特筆すべきは、月面の緻密な描写だ。会津大学の平田成さんと寺薗淳也さんがアドバ
2009年05月19日15:30 カテゴリ書評/画評/品評SciTech 飛ばない鳥のとんだ能力 - 書評 - ダチョウ力 買いそびれていたのを昨日入手。 ダチョウ力 塚本康浩 これは、すごい。 本や著者、というよりダチョウという生き物が。 あの飛ばない鳥が、ペンギンのように天敵がほとんどいない南極や孤島でもなく、ヤンバルクイナのように森に身を隠すのでもなく、敵だらけのサバンナで生き延びてきたわけがよくわかる。 本書「ダチョウ力」は、「だちょうりょく」でも、ましてや「だちょうか」でもなく「だちょうぢから」と読む(奥付にわざわざルビがふってある)。子供の頃から鳥が好きで、その好きな鳥を殺めてしまった痛い思い出を胸に獣医師になって....というとずいぶんまっすぐな道を歩んできたようだが、しかしそれなら臨床に行くはずが、研究者となり、そして同じ鳥類でも飛ばない鳥にはまったのはなぜか。 目次 -
阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」 2009年5月15日 [書評]菅原出著『戦争詐欺師』のススメ――21世紀の『おとなしいアメリカ人』 友人の菅原出君が、講談社から『戦争詐欺師』(税+1800円)という、面白いノンフィクションを出した。 私もイラク侵攻直後に『イラク建国』(中公新書)を出したことがあるので一読したが、みなさんにお奨めしたい。彼とはもう10年くらいの付き合いになるだろうか。アムステルダムで修士号をとって帰国後、何かの縁でお会いしたとき、ジョン・フォスターダレスが所属した名門法律事務所サリバン&クロムウェルに小生が感心を持っていると打ち明けたら、その事務所の歴史を書いた本のコピーをいただいた。 へえ、同好の若手がいるもんだ、と感心した。彼の興味は間戦期のアメリカがいかにドイツに投資していたかの研究で、02年に『アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか』(草思社)という本に
はじめに 巨大な対象の全貌を見通すには、対象から距離を取らなければならない。21世紀になってからの7年という期間は、20世紀という巨大な対象の全貌が姿を現すのに十分な時間であったかどうかは分からないが、20世紀にはどのような著作が出版されたのかを纏めてみようと私が思い立ったのは、著作の被引用数、すなわち任意の著作が他の著作にどれだけ引用されているかが、Google Scholarを用いて調べられることが分かったからである。この小論の目的は、被引用数という指標を用いて、20世紀の文系学術書のランキングを作ることである。以下には、「文系学術書」という限定が必要であった理由を記そう。 ある著作の被引用数という指標は、その著作が学術の世界でどれだけ影響力があったかを客観的に知る手がかりになる。被引用数という指標は、引用し、引用される著作のネットワークの中で、任意の著作がどのようなポジションにいる
Carl Edward Rasmussen and Christopher K. I. Williams The MIT Press, 2006. ISBN 0-262-18253-X. Gaussian processes (GPs) provide a principled, practical, probabilistic approach to learning in kernel machines. GPs have received increased attention in the machine-learning community over the past decade, and this book provides a long-needed systematic and unified treatment of theoretical and practical
字面だけ見ると 「ラブひな !」 に響きが似てますが,超数学 (メタマセマティクス) のことです (ギャグがいちいち古い管理人) メタマス! - オメガをめぐる数学の冒険 (via 最上の日々 10月22日(月) ▼ チャイティンの「 メタマス 」(白洋社)を読んでいるところ。) ちなみに,現在わたしは風邪で寝込んでいて,寝床でちょっと読んでました.昨日も寝込んでたので,たまたま普段はみないテレビの NHK スペシャル,100年の難問はなぜ解けたのか〜天才数学者 失踪の謎〜 を見て,数学熱が再燃したというのもあります. よりによってこんな変な時間に目が覚めてしまい,眠れなくなってしまったので,非常にぽわーんとした頭でこれを書いてます.日本語がおかしいかもしれない. まだ本論 (本全体 300 ページ中,200 ページぐらい.残りは作者の論文が付録として 2 つ付いてる) の半分ぐらいしか読
SICPは、よい内容について書かれた本であり、最良の本だった時期もあった。 けれども、今となっては、理解が難しく内容の割には時間がかかる、時間の無駄ともいえる本といってもいいかもしれない。 もちろん、Schemeの可能性、数値計算、プログラミング、コンピュータ教育の歴史、そしてSICP自体のすべてに興味があれば、効率がいい本かもしれない。 けれども、コンピュータ教育の歴史、SICP自体に興味がないのなら、あまり効率のいい本とはいえない。特に、Scheme、数値計算に当面の興味はなく、プログラミングについてだけを学びたいのであれば、時間の無駄でしかないと思えるし、今となっては足りない部分もある。 SICPの欠点として、まず、次の点が挙げられる。 日本語がよみにくい サンプルに数学の知識が必要 プログラムがよみにくい 日本語がよみにくいというのはよく指摘される。ただこれは翻訳だけが悪いのではな
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