3月23 中西嘉宏『ロヒンギャ危機』(中公新書) 8点 カテゴリ:社会8点 ミャンマーから隣国のバングラデシュに大量のムスリムが難民として流出しているロヒンギャ問題。この問題がノーベル平和賞を受賞したアウンサンスーチーが率いるNLDの民政化で起きたことも世界に衝撃を与えました。「ジェノサイド」との訴えもあるロヒンギャへの弾圧とノーベル平和賞というのは、いかにも釣り合いがとれないものだからです。 本書は、「そもそもロヒンギャとはどんな人びとなのか?」、「ミャンマーにおいて、なぜムスリムが敵視されるようになったのか?」、「長く続いた軍政はこの問題をどのように扱っていたのか?」、「なぜ民政に移管されてから軍事的な衝突が起きたのか?」、「アウンサンスーチーは、なぜ弾圧を止められなかったのか?」といったさまざまな疑問に答えてくれる本です。 「あとがき」の日付に「2020年11月」と書いてあるので、本
ミャンマーに暮らしていても、自動小銃の引き金に指をかけた国軍の兵士たちの姿を見ることは極めて限られている。軍の活動が続く前線に向かう国軍兵士たち=ミャンマー南東部、カヤー州で2015年、宇田有三さん撮影 宇田さんがこの20数年間、欠かさずにやってきた日課がある。 ミャンマー情報省のサイトから英語とミャンマー語の国営紙をダウンロードして読み込む作業だ。「国際社会では反体制派の人々の動向に関心を払う人が多い。自分は、ミャンマー政府が何を考えているかを追いかけようと思った」 ミャンマー人の知人らから「クーデターが起きたかも知れない」という連絡が入った2月1日、宇田さんはいつもの作業を終えたところだった。「クーデターなら、放送局などを占拠するはずだ。本当なのか」といぶかしい気持ちでいると、情報省のサイトに接続できなくなった。 宇田さんは「驚きと安心と反省が入り交じった気分になった」と語る。「流血は
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長引く影響から,経済や雇用環境などが悪化し,自殺者数の増加が問題となっている。2020年の自殺者は2万1081人で,2019年の2万169人を上回った1)。対前年比で男性は23人減少したのに対し女性は935人増え1),女性の自殺者の増加が懸念される。 患者に日々向き合う医療者は,コロナ禍の自殺問題をどうとらえればよいか。自殺対策に長年かかわる本橋豊氏は「非常時こそ自殺問題に関する常識が試されている」と語る。災害時の心のケアに長年携わってきた精神科医の金吉晴氏と共に,コロナ禍の自殺問題を洞察するための視点が検討された。 本橋 COVID-19は本邦の自殺問題をあらためてクローズアップしました。一般に大規模災害の後には被災者のメンタルヘルスが悪化し,自殺者数が増加することが知られています。感染症パンデミックも一つの災害(クライシス)ととらえられるの
〔連載〕続 アメリカ医療の光と影 第15回 Conflict of Interest(利害の抵触)(1) ボランティアの死 李 啓充 医師/作家(在ボストン) (前回2526号) 先天性疾患を持つジェシー ジェシー・ジェルシンガーは先天性代謝異常オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症(OTCD)の患者だった。OTCDは,遺伝性の尿素サイクル異常症の中では最も頻度が高く,米国では4万人に1人の頻度で起こるとされている。X染色体劣性遺伝で,患児の大部分は男児である。通常,出生直後に高アンモニア血症を呈し,患者の半数は生後1か月内に死亡する。出生直後の高アンモニア血症を生き延び,その後,食餌・薬物治療を続けたとしても,精神遅滞などの障害を残す頻度が高いとされている。ジェシーのOTCDは幸い病型が軽く,食餌・薬物療法のおかげで,彼は正常な発育をとげた。 思春期の少年が束縛を嫌うのは発育過程としては
The Genecialist Manifesto ジェネシャリスト宣言 「ジェネラリストか,スペシャリストか」。二元論を乗り越え,“ジェネシャリスト”という新概念を提唱する。 【第24回】 ジェネシャリスト診断学 その1 ジェネラルに考える 岩田 健太郎(神戸大学大学院教授・感染症治療学/神戸大学医学部附属病院感染症内科) (前回からつづく) 診断とは,患者に起きている現象に対して相応する名前(コトバ)をつけてあげる作業をいう。その現象を時間で切れば「病歴」となり,空間で切れば「身体診察所見」となり,あるいは血液検査や画像検査所見となる。切り口はいろいろだが,それぞれのアプローチは病気という全体的で総合的な現象を部分的に説明したものだ。部分から全体を透かして見ることができれば,それが「診断」である。 * ジェネ“ラ”リスト的に診断を考えるとき,「蹄(ひづめ)の音を聞いたら,シマウマで
黒内障(こくないしょう)とは、眼球自体には特に器質的な異常が認められないのにもかかわらず、重度の視力障害が発生したり、失明状態に陥ったりする状態の総称である。先天性のものもあれば、後天性のものもあり、原因も様々である。 レーバー先天性黒内障[編集] レーバー先天性黒内障(英語版)とは、ドイツ人眼科学者のTheodor Leberが報告した、先天性の視力障害である [1] 。 なお、日本語表記では、レーベル先天性黒内障などとも書かれる場合がある。レーバー先天性黒内障の患者に対して網膜電位図検査を行うと、患者の網膜において視細胞の活動がほとんど見られないことが判る [2] 。 レーバー先天性黒内障の原因遺伝子は複数存在しており、様々なタイプの遺伝子異常によって発生することが知られている [2] 。 なお、レーバー先天性黒内障の患者は、黒内障とは別に白内障などを合併している症例も見られる [1]
桿体細胞(かんたいさいぼう英: rod cell)は、視細胞の一種。桿細胞、桿状細胞、棒細胞などとも呼ばれる。眼球の網膜上に存在し、色素としてロドプシンをもつ。医学生理学分野では、桿体細胞の代わりに杆体細胞(かんたいさいぼう)と記述されることが多い。 桿体細胞は単独の視物質のみを発現し、光の強弱に応じた明暗を認識し、これを光覚と呼ぶことがある[1]。表面的には色覚にはほぼ関与しないが、感度が高い。暗所では錐体細胞はほとんど働かず、主に桿体細胞が働く。このため暗所では、物の形がかなり判る場合であっても、色の差異はあってもはっきりとは判らない。 光刺激への反応[編集] 光刺激の受容[編集] ロドプシン(桿体細胞に含まれる光受容色素)が受容したシグナルは増幅して伝達されるため、ロドプシン一分子が活性化すると細胞内で急速に反応が進む。一旦ロドプシンが活性化すると、多数のトランスデューシンが活性化さ
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