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ブックマーク / blog.livedoor.jp/yamasitayu (6)

  • 児玉真美『安楽死が合法の国で起こっていること』(ちくま新書) : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    12月21 児玉真美『安楽死が合法の国で起こっていること』(ちくま新書) カテゴリ:社会8点 相模原障害者施設殺傷事件、京都ALS嘱託殺人事件、そして映画『PLAN 75』など、日でもたびたび安楽死が話題になることがあります。 安楽死については当然ながら賛成派と反対派がいますが、賛成派の1つの論拠としてあるのは「海外ではすでに行われている」ということでしょう。 著者は以前からこの安楽死問題について情報を発信してきた人物ですが、著者が情報発信を始めた2007年頃において、安楽死が合法化されていたのは、米オレゴン州、ベルギー、オランダの3か所、それとスイスが自殺幇助を認めていました。 それが、ルクセンブルク、コロンビア、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア(一部を除く)、スペイン、ポルトガルに広がり、米国でもさまざまな州に広がっています。 では、そういった国で実際に何が起こっているのか?

  • 五十嵐彰、迫田さやか『不倫―実証分析が示す全貌』(中公新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    2月14 五十嵐彰、迫田さやか『不倫―実証分析が示す全貌』(中公新書) 8点 カテゴリ:社会8点 お堅いイメージの強い中公新書とは思えぬテーマですが、カバーの見返しにある次の内容紹介を見れば、書がどんなかよく分かると思います。 配偶者以外との性交渉を指す「不倫」。毎週のように有名人がスクープされる関心事である一方、客観的な情報は乏しい。経済学者と社会学者が総合調査を敢行し、海外での研究もふまえて全体像を明らかにした。何%が経験者か、どんな人が何を求めてどんな相手とするか、どの程度の期間続いてなぜ終わるか、家族にどんな影響があるか、バッシングするのはどんな人か。イメージが先行しがちなテーマに実証的に迫る。 ただし、不倫のような世間的によくないとされていることを調べようとすると大きな問題に突き当たります。 例えば、周囲の知り合いの既婚者に「不倫したことある?」と聞いて回って、結果として不倫

  • 賀茂道子『GHQは日本人の戦争観を変えたか』(光文社新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    7月13 賀茂道子『GHQは日人の戦争観を変えたか』(光文社新書) 7点 カテゴリ:歴史・宗教7点 副題は「「ウォー・ギルト」をめぐる攻防」。GHQが終戦直後に行ったとされる「ウォー・ギルト・プログラム」を扱ったになります。 この「ウォー・ギルト・プログラム」については評論家の江藤淳がとり上げたことで世に知られました。江藤は戦後民主主義の「自由」な言論空間が実はGHQによる検閲と洗脳によってつくられたということを『閉ざされた言語空間』で主張しました。 ただし、江藤は評論家ですし、たまたま目にした資料からこの政策について論じており、その実態はどうだったのか? どの程度の影響力があったのか? といった疑問は残ります。  書は、アメリカが日人のどんな戦争観を問題視し、どのようにアプローチしようとしたかを分析し、「ウォー・ギルト・プログラム」の実態を明らかにしようとしています。 江藤の主張

    takahiro_kihara
    takahiro_kihara 2022/07/14
    "外相重光葵の講義"?
  • 細谷昂『日本の農村』(ちくま新書) 6点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    7月6 細谷昂『日の農村』(ちくま新書) 6点 カテゴリ:社会6点 1934年生まれで、長年、日の農村社会学を牽引してきた著者による。日の今までの農村社会学の研究を引きながら、北は北海道から南は沖縄まで、さまざまな地域の農村のあり方について、主に経営のあり方や家族のあり方などに注目しながら論じています。 これまでの研究を紹介する概説的な性格が強く、何か目新しい考えが提示されているわけではないのですが、沖縄や鹿児島の農村のあり方は、私たちが一般的に持つ「農村」のイメージとは大きく違うもので、興味深いと思います。また、同じ地主と小作の関係といっても、地域によってそのあり方は大きく違うことなどもわかるでしょう。 単一的なイメージで語られがちな「日の農村」の多様性を教えてくれるです。 目次は以下の通り。1 日農村を見る視座第1章 「同族団」とは何か第2章 「自然村」とは何か第3章 歴

    takahiro_kihara
    takahiro_kihara 2021/07/09
    "本書は「日本の農村」がそうした単一的なイメージに収まらないものであることを教えてくれます。"
  • 中西嘉宏『ロヒンギャ危機』(中公新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    3月23 中西嘉宏『ロヒンギャ危機』(中公新書) 8点 カテゴリ:社会8点 ミャンマーから隣国のバングラデシュに大量のムスリムが難民として流出しているロヒンギャ問題。この問題がノーベル平和賞を受賞したアウンサンスーチーが率いるNLDの民政化で起きたことも世界に衝撃を与えました。「ジェノサイド」との訴えもあるロヒンギャへの弾圧とノーベル平和賞というのは、いかにも釣り合いがとれないものだからです。 書は、「そもそもロヒンギャとはどんな人びとなのか?」、「ミャンマーにおいて、なぜムスリムが敵視されるようになったのか?」、「長く続いた軍政はこの問題をどのように扱っていたのか?」、「なぜ民政に移管されてから軍事的な衝突が起きたのか?」、「アウンサンスーチーは、なぜ弾圧を止められなかったのか?」といったさまざまな疑問に答えてくれるです。 「あとがき」の日付に「2020年11月」と書いてあるので、

  • 坂井豊貴『多数決を疑う』(岩波新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    5月11 坂井豊貴『多数決を疑う』(岩波新書) 9点 カテゴリ:政治・経済9点 サブタイトルは「社会的選択理論とは何か」。単純な多数決の問題点を指摘し、その代替案、さらには多数決に依拠している現在の政治のこれからのあり方を問う非常に面白いになっています。 個人的にこのが素晴らしいと思った理由は2つあって、それは(1)社会的選択理論を初歩から丁寧かつ明晰に説明している点、(2)明晰であるがゆえに著者との根源的な政治観や人間観の違いが明らかになって政治に対する認識がより深まった点、の2点です。 まずは(1)の部分から。 社会的選択理論の入門書というと、佐伯胖の『「きめ方」の論理』あたりが有名だと思いますが(佐伯胖のでは「社会的決定理論」となっている)、さすがにもう35年も前のですし、何よりも300ページ近い、それなりに専門的なです。 また、社会的選択理論に触れたの中には、いきなり「

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