「経済成長の実現と二酸化炭素排出量の削減の二兎を同時に追えるというような、都合の良い話はない」。『人新世の「資本論」』を上梓した経済思想家・斎藤幸平氏は、そう指摘します。各国で推進されているSDGs(持続可能な開発目標)も望ましいもののようでいて、利潤第一の資本主義の論理によって骨抜きにされ、タイムロスにつながるリスクが高いと言うのです。政治学者・中島岳志氏との対談の後編は、どうすれば今のシステムを変えられるのか、その方策についてお届けする。 SDGsでは現在の危機に対処できない 中島:最近、資本主義を批判しているように見えて、実は資本主義を後押ししている「まやかしの思想」が気になっています。 その典型がSDGs(持続可能な開発目標)です。最近では政治家や財界人、学者までSDGsのバッジをつけ、あたかも自分たちが環境に配慮しているかのようなフリをしていますが、あの程度の取り組みでは現在の危