大田昌秀・佐藤優著『徹底討論 沖縄の未来』(芙蓉書房出版)のなかに大田氏が「なぜ沖縄だけが日本から分離されたのか」という問題について考察した一節がある。戦争に負けたのは日本全体であるにもかかわらず、なぜ四十七都道府県のなかで沖縄だけが切り離されなければならなかったのか。この疑問を解くために大田氏は、アメリカの国立公文書館に何年も通い続け、〈本当にショックを受けるほど多くの事実関係について知ることができました〉(137ページ)という。 大田氏によれば、沖縄の分離は〈沖縄戦が始まる二年ほども前から米軍が周到に企図していたこと〉(138ページ)なのだという。米軍は1945年3月26日に慶良間諸島の阿嘉島に上陸すると、米国海軍政府布告第一号(ニミッツ布告)を公布する。その内容は、〈同日以後、北緯三十度以南の南西諸島における日本の行政権、司法権を停止して、米軍の占領下に置くというもの〉(139ページ